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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年5月1日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 セーシェル共和国

1ー2.案件名

 「マヘ島零細漁業施設計画」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、セーシェルにおいてプロビデンス地区における新漁港建設及びベル・オンブレ漁港における製氷施設整備を行うことによって、両地区の零細漁業及び関連産業の振興を図るとともに、セーシェルの主要港であるビクトリア漁港の混雑解消により同港の漁獲物の水揚げ・準備作業の円滑化及び漁船の安全係留を達成することを目的とする。供与限度額は10億8,900万円であり、プロビデンス地区において、岸壁、管理棟、漁具倉庫、製氷機棟、荷捌き場、フォークリフト等の、及びベル・オンブレ地区において製氷機棟、フォークリフト等の建設・調達を行うものである。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がセーシェル共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設あるいは整備された漁港の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)セーシェルは、主に観光業(その関連産業含む)と水産業にその経済を依存しているが、観光業は国際情勢等の影響を受けやすいことから、漁業、農業等の開発に取り組んでいる。特に、水産業を国家経済発展のための最重要産業として位置づけており、我が国のこれまでの協力もあり、漁獲量が過去10年で大幅に伸びている。

(2)その結果、、水揚げ量1,722トン(2006年)を誇り、中規模・零細漁業による漁獲量の42%を占めるビクトリア漁港小規模漁業施設(1997年に水産無償資金協力により整備)では、利用漁船数の増加・漁船船体の大型化により、岸壁が非常に混雑し、水揚げ効率の悪化による漁獲物の鮮度低下や係留の危険性増大を招いている他、漁船の出漁に不可欠な氷の需要に対して供給が追いつかないという問題を抱えている。

(3)このような背景のもと、セーシェル政府はビクトリア漁港の港内混雑の問題を解決するため、プロビデンス地区における漁港の建設と、既存のベル・オンブレ漁港の整備を目的として「マヘ島零細漁業施設整備計画」を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)漁獲物の効率的な陸揚げ、漁船の安全な係留・給油のために、岸壁は捨石護岸上に、漁船の動線が錯綜しないように計画した。また、建築施設の配置は、氷・人・魚の動線を考慮して計画し、効率性を重視した設計になっている。

(2)建築構造は、地盤が比較的軟弱なため、製氷器及び荷捌き場については鉄骨造とし、さらに軽量屋根材を使用して施設重量を軽量化した。

(3)製氷機能力は、1日当たりの係留漁船数に補給率(係留漁船の中で氷・燃料等を補給する漁船の割合)と漁船の大きさに応じた氷搭載量を勘案して計画した。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、プロビデンス漁港とベル・オンブレ漁港への漁船の移動によって、ビクトリア漁港の利用漁船数は減少し、ビクトリア漁港の混雑が解消され、水揚げ・出漁準備作業の円滑化、安全係留の実現が期待される。

(2)ベル・オンブレ漁港における漁業活動の活性化により、流通・販売等の関連産業への波及及び労働者の雇用等の経済効果が期待される。

(3)また同国は、2007年に「水産開発計画2017」を策定し、持続的な資源利用のための水産資源管理、水産インフラ施設の整備等を掲げており、本計画は同国の開発計画と合致する。

(4)さらに、本計画の実施により、我が国とセーシェルの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)セーシェル共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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