評価年月日 平成20年4月22日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1ー1.供与国名サモア独立国 1ー2.案件名「島嶼間フェリー建造計画」 1ー3.目的・事業内容本計画は、サモア独立国のサバイイ島とウポル島間を結ぶフェリーであるレディサモアII号の代替として新規船舶を建造し、2島の人的交流及び物資流通を促進することにより、安定的かつ安全な離島のライフラインを確保し、かつ、離島の地域振興を図ることを目的とする。供与限度額は13.19億円であり、フェリー1隻(全長46.7メートル、総トン数1,000トン、貨物積載重量190トン、乗客定員740人)の建造を行うものである。。 1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がサモア独立国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により建造された船舶の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2ー1.必要性(1)サモア独立国の首都所在地であり経済の中心であるウポル島には同国人口の73%が、面積が最大でココナッツなど農産物の主生産地であるサバイイ島には24%が居住しているが、開発の遅れたサバイイ島には産業が少なく、また、教育機関も限定されていることから、サバイイ島の住民の多くが就業及び教育機会をウポル島に求めており、2島を結ぶフェリーは、人的交流及び物資流通の大動脈として、同国の経済振興上、重要な役割を果たしている。特にサバイイ島の住民にとってフェリーは、生活必需品の入手はむろん、通勤や帰省等の手段として不可欠なライフラインであり、2006年には延べ57.6万人の乗客と5.7万台の車両輸送に従事した。 (2)現在、2島間の海上交通については、同国政府の100%出資により設立されたサモア船舶公社が所有するレディサモアII号(定員480名)とフォッツ・オ・サモアII号(定員110名)が当たっており、一日に1~3往復している。特に、レディサモアII号は、乗客の約7割と車両の約5割の輸送を担っており、乗船率100%以上の便が年間85回にも及んでいる。しかしながら、レディサモアII号は船齢19年に達し老朽化が著しく、突然の故障により年平均14日間、67便の欠航を余儀なくされている上、修理費も増加傾向にあり、安定的かつ安全な運航が困難な状況に至っている。 (3)このような状況を改善するため、サモア独立国政府は、「島嶼間フェリー建造計画」を策定し、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。 2ー2.効率性(1)既存のフェリーの輸送実績及び今後の需要予測から、関連法規・基準等と照らし合わせて、過載せず適正な状態で需要を賄うことができる貨物輸送能力及び旅客輸送能力のフェリーを設計した。 (2)また、燃料消費効率のよい主機関を選択することにより、燃費効率を向上させるとともに、既存岸壁、水路及び転回場所を改修整備することなく利用可能な全長、幅、喫水とし、本計画の効率性を高めている。 2ー3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。 (イ)突然の故障による予期せぬ欠航日数が急減し、運行の安定化が期待される。 (ロ)定員が480名から740名に増強されることにより乗客定員超過の航海が減少するとともに、小型乗用車積載能力が30台から37台程度に増強される等、離島のライフラインの安全性の向上と増強が期待される。 (ハ)サバイイ島産品の都市部への輸送が促進され離島の現金収入が増加したり、サバイイ島への物資の流入が盛んになり観光開発及び生活改善が促進するといった間接的効果が期待される。 (2)2006年の第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議において、我が国からは経済成長、持続可能な開発、良い統治、安全確保及び人と人との交流を重点分野とする3年間で450億円規模の支援を行うことを表明しており、運輸インフラの整備はこの支援方針とも合致する。 (3)さらに、本計画の実施により、日本とサモア独立国の二国間関係強化への効果が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)サモア独立国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |