評価年月日 平成20年4月4日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田 裕憲
1.案件名1-1.供与国名シエラレオネ共和国 1-2.案件名「フリータウン電力供給システム緊急改善計画(2/2)」 1-3.目的・事業内容本計画は、首都フリータウンとその周辺地域に電力を供給しているキングトム発電所に発電設備を増設することにより、安定した電力供給を図ることを目的とする。供与限度額は16.51億円であり、キングトム発電所発電設備(ディーゼル発電機5メガワット、2台)の増設及び発電施設の建設等を実施する。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がシエラレオネ共和国政府により実施される必要がある。
(1)本計画により整備される発電施設及び発電設備の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)シエラレオネでは、1991年より2002年の内戦終結宣言に至るまで断続的に続いた紛争により、電力供給設備は壊滅的な打撃を受けた。首都フリータウン及び周辺地域への電力供給を行っているキングトム発電所は、設備の老朽化と頻発する故障により計画停電が日常化し、一般家庭ではほとんど電力供給を受けられない状態(1週間に1日、数時間程度の電力供給)である。 (2)こうした状況を改善するため、シエラレオネ政府はフリータウンの首都機能の維持及び周辺地域住民に対して安定した電力供給を行うために必要な発電施設整備及び発電設備増強について我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。 2-2.効率性(1)本計画で調達する発電設備の容量(5メガワット、2台)については、計画対象地域における需要予測(ピーク負荷)を基に計画し、他ドナーによる新規電源開発とメンテナンスによる運転停止期間を考慮して適正な水準として決定した。 (2)発電施設については、発電設備及び補機の運用・維持管理が容易で且つ必要最小限の規模とし、更に工期短縮並びに建物重量の低減を図るため主要構造を鉄骨による建造とした。 2-3.有効性本件の実施により、以下のような成果が期待される。 (1)キングトム発電所の発電設備容量が10メガワット増加するため、フリータウンに対する総電力供給力がピーク負荷(45メガワット)を上回り、現在の停電状況が解消する。また、安定した電力供給が可能となるため、経済・産業活動の活性化が図られる。 (2)シエラレオネでは、2003年に国家長期計画「VISION 2025」を策定し、エネルギー分野において「シエラレオネ電力公社(NPA)の電力供給設備・系統の維持管理及び修復」を定めており、また、「貧困削減戦略文書」(2005~2007年)において「エネルギー、電力供給の改善」を定めて、首都機能の維持及び周辺地域住民に対する安定した電力供給を目指している。本計画の実施は同国の開発計画に合致するとともに、我が国の対シエラレオネ援助方針においても、平和の定着を着実に進めるため、人道・復興支援から開発支援への切れ目のない移行を支援し、教育、保健・衛生、電力等の基礎インフラ整備を重視することとしており、我が国の援助方針とも合致する。 (3)シエラレオネに対する二国間経済協力は2005年7月に再開された。本計画は、再開第1号案件である。本計画の実施により、我が国とシエラレオネの二国間関係の強化が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)シエラレオネ共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) (3)第37回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |