評価年月日 平成20年 3月24日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1ー1.供与国名パキスタン・イスラム共和国 1ー2.案件名「ファイサラバード上水道整備計画(第2期)」 1ー3.目的・事業内容本プロジェクトは、パキスタン第3の都市ファイサラバード市における給水事情(給水量・給水時間の改善)を改善することを目的とする。供与限度額は44.42億円であり、取水井・取水ポンプ室(25井)、導・送水管(延べ25.7キロメートル)、中継ポンプ場、最終配水池・最終配水ポンプ場等の建設等を実施するもの。 1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がパキスタン政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備された上水道施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2ー1.必要性(1)パキスタンにおいては、上水道普及率が人口の63%(2001年)にとどまっており、肝炎、下痢、チスフ等水因性疾患が5歳未満乳幼児死亡数の60%を占めるなど、安全な飲料水の普及が課題となっている。パキスタン政府は、このような状況を改善するため、良質の飲料水を全国民に提供するための指針として、2005年に「国家飲料水政策」を策定し、給水普及目標を2015年までに全国民の93%にすることを目標とし、最小給水量は都市部:40㍑/人・日、地方部:20㍑/人・日等に規定している。 (2)パンジャブ州中央部に位置し、カラチ、ラホールに次ぐパキスタン第3の都市であるファイサラバード市(人口260万人(2007年))では、1972年に策定されたマスタープランに基づきADBの支援の下1992年に完成した上水道設備により市内に上水を供給しているが、予想を超える人口増加や急激な取水により水圧が不足しほとんど取水ができないなどにより、逼迫する水需要に対応することができない状態にある。この結果、市内の給水は一日3回各1~2時間の時間給水に限定されているほか、市郊外の地区では市内送水管の設計上の問題などにより、最低限必要な飲料水等の供給が困難な状態に陥っている。 (3)このような状況の下、パキスタン政府は、持続的開発が可能な水源の確保により水需要の逼迫を緊急に緩和するとともに、市内配水の不均衡の解消及び水道の安定供給を図るため「ファイサラバード上水道整備計画」を策定し、取水井、導・送水管、配水場等の建設及び市内配水管の改修に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力の要請があったものである。 2ー2.効率性(1)本件を実施するにあたり、最終配水池では既存の配水池と新規の配水池を連結して、既存の配水池の水を新規の配水池を通じて配水可能とすることにより、既存の配水池に設置してたポンプ基が故障した際にも、市内への給水が可能になるよう設計したことにより、給水活動の効率性を確保した。 (2)また、第1期において、市内の配水幹線網を改善したことにより、本計画による市内への給水範囲が拡大しており、第1期の成果と本計画の成果が相乗効果となり、本案件の効率性を高めている。 2ー3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
(2)また、パキスタンにおいては、2005年に「国家飲料水政策」を策定し、給水普及目標を2015年までに全国民の93%にすることを目標としており、本件の実施は、同国の開発計画に合致する。また、我が国の対パキスタン国別援助計画においては、「安全な飲料水の確保と衛生改善」を重点課題として支援を行う方針とされており、我が国の援助方針とも合致する。 (3)さらに、本計画の実施により、日本とパキスタンの二国間関係強化への効果が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)パキスタン政府からの要請書 (2)JICAの事業化調査成果報告書(JICAを通じて入手可能) (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |