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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月30日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 ニカラグア共和国

1ー2.案件名

 「北部地域教育施設改修及び機材整備計画」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、ニカラグア北部の開発が遅れている中部山岳地帯に位置する5県(マタガルパ県、ヒノテガ県、エステリ県、マドリス県、ヌエバ・セゴビア県)において、初中等教育施設の整備・改修を行うことにより、同地域の教育環境を改善することを目的とする。コミュニティ開発支援無償資金協力として10.16億円を供与するものであり、北部5県の27初等教育施設の整備及び教育家具の調達(ヒノテガ県7校、マタガルパ県8校、エステリ県5校、ヌエバ・セゴビア県5校、マドリス県2校における計226教室、16校長室・副校長室、18教員室、3補助ユニット、トイレ整備(22校))を事業内容とする。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がニカラグア政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)ニカラグアでは、1988年の暫定停戦合意までの約10年間、左派革命政権と反革命勢力「コントラ」の間で激しい内戦が行われ、国土と社会経済に荒廃をもたらした。1990年の民主選挙後は、1994年に世銀・IMFの構造調整を受け入れるなど、着実な経済復興に取り組んできているが、依然として中南米地域の最貧国の1つである。

(2)ニカラグア政府は、2003年に国家開発計画を策定、教育を社会経済開発を達成するための根本的基盤と位置づけ、学習の質の向上のためには教育施設の建設・修復が重要であるとしている。また、2015年までに果たすべき教育目標として初等教育純就学率90%の達成を掲げ、2004年から2006年までに全国で3,218教室の整備を行ってきた。

(3)しかしながら、依然として教室は絶対的に不足しており、2007年現在、基礎・中等教育における1教室あたり生徒数は58人と、ニカラグアが定める定員35名を大きく上回っている状況である。

(4)特に中部山岳地帯に位置する5県では、簡素な小屋や民家で授業を実施したり、二部制、三部制で授業を実施する学校もあり、就学率が全国平均を大きく下回っており(初等教育(全国平均85.8%、5県平均79%)、中等教育(全国平均45.7%、5県平均37.7%))、非識字率も5県平均で29.7%に達するなど、教育の遅れが深刻である。

(5)こうした中、ニカラグア政府は、中部山岳地帯に位置する5県(10市)において優先的に対策が必要な27教育施設の改善につき、我が国のコミュニティ開発支援無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

 本計画は、当初、一般プロジェクト無償案件「北部地域の自然災害に備えた教育施設の建設計画」として要請された経緯があるが、現地調査を通じて、当該地域における災害発生状況と設計基準を確認の上、高度な自然災害に対応する施設より、より多くの教育施設を整備するニーズが高いことを踏まえ、現地仕様の設計・仕様を可能とするコミュニティ開発支援無償資金協力案件として実施することとした。この結果、当初要請は18施設(約17億円)であったが、約10億円により27教育施設の整備が可能となる見込みであることが確認された。過去のニカラグアにおける教育分野での一般プロジェクト無償案件に比して大幅なコスト削減が可能となるものであり、「ODA点検と改善2006」で掲げたコスト縮減目標にも資するものとなる。本計画は、投入内容の適切化を通じて、ニカラグア教育セクターに対するインパクトを最大化することに配慮している。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

  • 対象地域において、良好な環境で学習できる生徒数が大幅に増加する。
  • 対象地域において、現在、2,500名余が二部制での授業を余儀なくされているが、これら生徒の学習環境が大幅に改善する。

(2)本計画は、ニカラグアの開発計画とニーズに合致している。また、我が国の対ニカラグア国別援助計画は、初等教育における就学率改善の取組みと教育の質的向上を重点分野としており、本計画は我が国の対ニカラグア協力方針にも合致している。

(3)本計画の実施により、日本とニカラグアの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ニカラグア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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