広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年3月24日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 ネパール

1ー2.案件名

  「カトマンズ-バクタプール間道路改修計画」

1ー3.目的・事業内容

 本プロジェクトは、ネパールの首都カトマンズ市と観光都市バクタプール市を結ぶ道路を4車線化すること等により、当該道路の交通渋滞や交通事故の軽減等を図ることを目的とする。供与限度額は26.89億円であり、カトマンズ-バクタプール間道路(約9.1キロメートル)の4車線化、交差点(5箇所)の改良、バス停(14箇所)の整備、4車線化道路間に位置するマノハラ橋及びハヌマンディ橋の整備等を実施するもの。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がネパール政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)近年、ネパールの政治・経済・行政の中心であるカトマンズ盆地には人口集中が顕著になっている(総人口約2,530万人のうち、カトマンズ盆地176万人)。カトマンズ-バクタプール間道路は、カトマンズ盆地内の首都カトマンズ市と観光都市バクタプール市を結んでおり、上記の「戦略道路網整備計画」の中で最も交通量の多い道路(上下線合計:カトマンズ側約50,000台/日、バクタプール側約15,000台/日)であり、交通容量が超過しており、渋滞が恒常化している。さらに、大型車両と、歩行者、バイク等が混在して通行しているため、交通混雑だけでなく、交通事故の要因にもなっている(事故車両台数340台/年)。

(2)また、カトマンズ-バクタプール間道路は、中国と首都カトマンズを結ぶアジア・ハイウェイ42号線の一部をなしていることに加え、現在建設中のシンズリ道路が開通した後には東部テライ平原から首都カトマンズ市に向かうために通過する道路になることから、今後、更なる交通量の増加が見込まれている。そのため、現在の交通事情の問題を解消することにより、農産物等の物流の効率化、道路周辺住民の生活環境の改善が必要な状況になっている。

(3)このような状況を改善するため、ネパール政府は、現在2車線であるカトマンズ-バクタプール間道路約9.1キロメートルを4車線に拡幅するための改修について、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)本件を実施するにあたり、カトマンズ-バクタプール間に位置する2橋については、新たに4車線の橋梁を新たに建設することなく、既存の橋梁の舗装面を改修することで2車線分として活用し、残り2車線分だけの橋梁を新たに建設し、コスト面での効率性を確保した。

(2)また、当該道路は将来的には、現在建設中のシンズリ道路が開通した後には東部テライ平原から首都カトマンズ市に向かうために通過する道路になることから、現在の交通事情だけでなく、将来的な必要性を考慮した上で整備しており、本案件の効率性を高めている。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

  • カトマンズ-バクタプール間の交通量が約2倍(現在:約4万台/日→2021年:約8万台/日 (ジャリブティ付近))に増加するとともに、交通渋滞の緩和により、カトマンズ-バクタプール間の所要時間が約半分(現在:48分(渋滞時)→2021年:23分)に短縮されることが期待される。
  • 道路拡幅と交差点改良及びバス停整備により、大型車両と歩行者、バイク、自動三輪車等が区分けされ、交通事故の減少が期待される。

(2)また、ネパールにおいては、今後20年間の方針として「戦略道路網整備計画」を2005年12月に策定し、効率的、効果的、安全かつ信頼性のある戦略道路を連結することで人々のより良い生活を目指すこととしており、本件の実施は、同国の開発計画に合致する。また、我が国の対ネパール援助方針においても、「地方における貧困削減」や「民主化・平和構築支援」を重視した支援を行う方針であり、また、地方の貧困削減にも不可欠である経済成長の基盤となる、道路、電力等の基礎インフラ整備を促進することとしており、我が国の援助方針とも合致する。

(3)さらに、本計画の実施により、日本とネパールの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ネパール政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



このページのトップへ戻る
目次へ戻る