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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月4日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 ミクロネシア連邦

1ー2.案件名

 「ポンペイ国際空港改善計画」

1ー3.目的・事業内容

 本プロジェクトは、首都の空港であると同時にポンペイ州唯一の空港であるポンペイ国際空港において、航空機離着陸時の安全性を向上し、また航空輸送容量を増加することを目的とする。供与限度額は29億1,300万円(国庫債務負担行為。平成20年度6億5,600万円、平成21年度17億6,700万円、平成22年度4億9,000万円)であり、ポンペイ国際空港の滑走路延長や航空灯火設置、旅客ターミナルビルの新築・改修等及び関連機材の供与を行うものである。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がミクロネシア連邦政府により実施される必要がある。

(1)本計画により改善されたポンペイ国際空港及び供与された機材の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)ミクロネシア連邦は2004年3月に「ミクロネシア戦略的開発計画」を採択し、運輸通信インフラ省は右に基づき「ミクロネシア連邦インフラ整備計画2004-2023年」を策定した。航空輸送セクターについては、その中で、1)航空輸送の十分な施設とサービスが提供されること、2)空港の安全が改善され、搭載重量制限が解消されること、3)全ての国内空港が安全に係る国際基準を満たすように改良されること、が目標として掲げられている。

(2)同国にとって航空輸送は近隣各国と同国を結ぶと同時に、国内に散在する島々の各州を結ぶ重要な交通手段である。ポンペイ国際空港は首都の空港であるが、ポンペイ島唯一の空港であり、現在長さ1,836メートルの滑走路を有している。ポンペイ国際空港からは現在、グアム方面へ週4往復、ホノルル方面に週3往復の便が運航されており、年間の旅客数は国際線・国内線合計で3万8千人(2006年)である。

(3)他方、同国際空港においては、1)滑走路は両端とも海に囲まれているが、滑走路末端と護岸までの距離が短く、安全のための用地が十分に確保されていない、2)滑走路が短いため旅客・貨物の搭載重量を標準の場合より約20%減らして運航する重量制限が強いられている、3)ターミナル・ビルが、現在の航空機材が運ぶ乗客数に対して広さが不足し、混雑している、といった問題を抱えている。

(4)このような背景のもと、ミクロネシア連邦政府は「ポンペイ国際空港改善計画」を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)2005年から2006年にかけて行われた開発調査「ポンペイ空港改善計画調査」に基づき、コンポーネントの必要性を再精査した上で、埋立面積や滑走路延長距離等の規模設定を行っている。

(2)また、ほぼ同時期に行われる予定の米国連邦航空局が行うAIPプロジェクト(滑走路既設部分の改良プロジェクト)も考慮に入れるなど、他の協力との連携にも留意している。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(イ)滑走路末端の用地が28メートルから約3倍の85メートルに拡張され、かつFAA(米国連邦航空局)基準に準じたブラストパッドが確保され、国際基準に適合した安全性が確保される。

(ロ)滑走路延長により、重量制限が緩和される。

(ハ)グアムへの直行便他、長距離路線の運行が可能な施設になる。

(2)2006年の第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議において我が国は、経済成長、持続可能な開発、良い統治、安全確保及び人と人との交流を重点分野とする3年間で450億円規模の支援を行うことを表明しており、運輸インフラの整備はこの支援方針とも合致する。

(3)さらに、本計画の実施により、我が国とミクロネシアの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ミクロネシア連邦政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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