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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月9日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田 裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 マリ共和国

1-2.案件名

 「シカソ地域飲料水供給計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、マリ国内でも特に無給水村落が多いシカソ州の小規模村落を対象に人力ポンプ付き深井戸及び簡易給水施設を建設することにより、対象村落の住民が安全な飲料水を利用できるようになり、住民の生活環境及び衛生環境の改善を図ることを目的とする。供与限度額は10.19億円(国庫債務負担行為:平成20年度0.84億円、平成21年度4.95億円、平成22年度4.40億円)であり、シカソ州の5県(ブグニ県、カディオロ県、コロンディエバ県、シカソ県及びクチアラ県)を対象に、人力ポンプ付き深井戸91村落150箇所及び簡易給水施設5村落5箇所の建設、並びに給水施設の運営維持管理指導を行う。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がマリ共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設される給水施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)シカソ州では、小規模な村落(人口400人以下)では未だ衛生的な井戸を持たない村が多い。このため住民は遠方の深井戸か伝統的な浅井戸を利用せざるを得ないため、水汲みに携わる婦女子の過酷な労働や不衛生な水の利用による水因性疾患(下痢、腸チフス等)の深刻な問題を抱えている。

(2)このような給水状況を改善するため、マリ政府は同州の小規模村落に地表の汚水による汚染が及ばない安全な深層地下水を取水できる人力ポンプ付き深井戸の建設、給水人口が2,000人を超える大規模な村落には共同水栓方式の簡易給水施設の建設、並びに給水施設の運営維持管理を行うための技術指導について我が国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)人力ポンプ式深井戸は、シカソ州に生産工場があるため周辺地域に普及しており、また、スペアパーツを含めた製品の供給体制、実績、価格とも優れている型式のハンドポンプを採用した。

(2)簡易給水施設は、運転に特別な操作を必要とせず、日常の点検作業も不要、また、燃料費が不要で維持管理費が少なく、環境への影響もないソーラーパネル方式を採用した。

2-3.有効性

 本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)本計画対象村落において、約70村落の無給水村落に衛生的な給水施設が建設され、安全な飲料水を利用できる住民が増加することが期待される。

(2)マリは「貧困削減戦略文書」に基づき、水供給分野において3つの戦略文書を策定して、2015年までに安全な飲料水と基礎的な衛生施設を利用できない人の割合を半減する、との目標を定めており、本計画の実施は同国の開発計画に合致する。また、我が国の対マリ援助方針は、基礎生活分野(水供給、教育、保健・医療)や基礎インフラ分野に重点を置いて支援を行う方針であり、本計画は我が国の援助方針にも合致する。また、我が国は、1980年代より給水施設の建設を実施してきており、このような我が国の継続的な支援は、同国の不衛生な水の利用により発生する「ギニア虫症」(ギニア・ウォーム)対策に大きく貢献することから外交的意義は大きい。

(3)本計画の実施により、日本とマリの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)マリ共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)第37回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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