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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月7日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 ホンジュラス共和国

1ー2.案件名

 「テグシガルパ緊急給水計画(2/2期)」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、ホンジュラス共和国の首都テグシガルパ市において、給水関連施設の整備・改修を通じ、同市の深刻な給水状況を改善することを目的とする。供与限度額は13.12億円(国庫債務負担行為。平成20年度0.55億円、平成21年度9.63億円、平成22年度2.94億円)。本計画は下記のとおり、全体計画の2期目に該当する。なお、第1期(供与限度額4億8,600万円)は平成19年に交換公文署名済。)
(案件全体)
 送配水管の整備・改修(3路線、計19.7キロメートル)、配水池の整備(6地域、8ヶ所)、給水ステーションの整備(2箇所)、浄水場の拡張・改修
(うち第2期)
 送配水管の整備・改修(1路線、計15.3キロメートル)、配水池の整備(2地区、3ヶ所)、浄水場の拡張・改修

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がホンジュラス政府により実施される必要がある。

(イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)中米の最貧国のひとつであるホンジュラスの首都テグシガルパ市は、市街地、周辺部ともに起伏が多い複雑な地形であり、また、市街地の拡大を踏まえた計画的な施設整備が行われていないため、適切な給水サービスが行われていない地域が多く存在している。それに加えて水源水量の不足が極めて深刻であり、水源水量は需要量の約70%しかなく、給水事情は極めて逼迫している。

(2)このため、雨季期間中でさえも、24時間給水が行われる地区は全地区10%にも満たず、1日8時間以下に給水制限されている地区は全地区の50%以上にも及んでいる。さらに乾季には1日8時間以下に給水制限をせざるを得ない地区が全地区の94%にも上っている。こうした中、雨水を溜めて不足分を補うなどの対応をとらなければならない市民も多く、水因性疾患の原因となっている。

(3)これらの状況を改善するため、ホンジュラス政府及びテグシガルパ市の給水を担当する上下水道公社(SANAA)では、「テグシガルパ市上水道開発計画」を策定し、ダム建設、浄水場の建設・拡張、送配水管網の整備を緊急対応課題と定め、給水事情の改善に努めているところであるが、同市の地質、地形から新規ダム建設は極めて困難であり、また財政不足から十分な送配水管網の整備や改修が行えない状況にある、更には、老朽化した送配水管からの漏水が増加しているなど事態は極めて深刻となっている。

(4)以上の状況にかんがみ、ホンジュラス政府は、「テグシガルパ市上水道開発計画」に基づいた緊急対策として、送配水管の整備・改修、浄水場の拡張・改修、給水ステーションの整備等について我が国に対して無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)本計画を実施するにあたっては、平成12年度に実施した開発調査「テグシガルパ市水給水計画調査」に基づき協力対象を選定した上で基本設計調査を実施し、また、平成18年度には国別研修員受入「水道計画」コースを実施するなど、他の我が国の協力と連携させることで成果を高めるべく配慮を行っており、本件協力の効果的・効率的実施に努めている。

(2)また、本案件の当初計画には給水車の供与が含まれていたが、現地における活用実態と全体計画における位置づけを確認の上、先方政府と合意して同コンポーネントを協力対象から除外するなど、適正な計画内容としている。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

  • 浄水場の拡張及び改修により、供給能力が増加し、テグシガルパ市の給水人口数十万人の給水事情が改善する。
  • 送配水管及び配水管の整備により、漏水量が減少することから、給水量が増加(毎秒約14リットル)する。
  • 配水池の建設により、対象地区住民約9万人余が適正水圧による安定供給を受けることが出来るようになる。

(2)ホンジュラスはPRSP(貧困削減戦略文書)において、2015年に達成すべき目標の中に、「国民95%の飲料水・衛生施設アクセス達成」を挙げており、本計画はホンジュラスの開発計画に合致する。
 また、我が国の対ホンジュラス協力の基本方針は、ホンジュラス政府のイニシアティブを尊重しつつ、MDGs(ミレニアム開発目標)およびPRSPの目標達成に寄与することを目的の1つとしており、また、対ホンジュラス協力重点分野は「ホンジュラスのPRSPの優先課題である乳幼児および妊産婦の死亡の軽減に資する母子保健分野への協力、及び感染症対策、飲料水の確保、上下水道整備にかかる協力を引き続き我が国の最重点課題として位置づける」としている。
 従って、本件協力はホンジュラスPRSP、対ホンジュラス協力方針に合致している。

(3)本計画の実施により、日本とホンジュラスの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ホンジュラス共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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