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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年1月16日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 カメルーン共和国

1ー2.案件名

 「第四次小学校建設計画」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、カメルーン中央部及び東部に位置し、教室不足の深刻なアダマウア州及び東部州において、小学校教室の建設及び教育用機材の整備を行うことにより、同地域の教育環境を改善することを目的とする。
 供与限度額は10.98億円であり、アダマウア州及び東部州の小学校10サイトにおける132教室、10の便所棟等の建設を行うとともに、教室用備品(生徒用及び教師用の机・椅子、収納棚)及び教育用機材の供与、施設の運営維持管理指導を行う。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がカメルーン政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)カメルーンは、2003年に策定された貧困削減戦略文書において、全国民への初等教育の普及を第一の目標としている。また、2006年4月に改訂された「教育セクター戦略」において、初等教育における地域間格差の是正と質の向上を主要な目標として、2015年までに初等教育修了率100%の達成や1教室あたり生徒数50人の実現等を目指している。

(2)カメルーン基礎教育省は、同目標達成のため、2015年までに23,000教室の建設と教員37,000人の養成・雇用が必要であるとし、教室建設及び教員養成を行っている。しかしなが ら、2000年の初等教育無償化による生徒数の急増(1999年:200万人→2008年:320万人)に施設建設が追いつかず、二部制による授業に加えて教室の過密化や、老朽化した施設での授業など、劣悪な教育環境にある学校が多い。

(3)アダマウア州および東部州では、1教室あたり生徒数が教育セクター戦略の目標値50人に対して、それぞれ約160人および約120人に及んでおり、教室不足の状況は深刻な状態にある。政府による教室建設が進められているものの、厳しい財政事情から、2008年における新設小学校の教室数は目標値の2,249教室に対して約1,460教室にとどまっている。

2ー2.効率性

(1)本計画は、当初3州(アダマウア州、東部州、北西州)約60サイトを対象に要請が出されたが、工事の効率化の観点から、カメルーン側との協議の結果、事業対象地を特に不足教室数の多いアダマウア州と東部州の2州10サイトに集中した。また、施設に関して、過去の利用状況や今後の利用計画を精査し、学校運営に必要不可欠な施設(教室、校長室、便所、倉庫)を最優先とし、多目的室及び取水設備を協力対象外とした。

(2)施設設計に際しては、既存施設の使用状況、維持管理状況や同国における標準的な小学校の設計を踏まえ、堅牢で十分な耐久性を備えた維持管理の容易な施設とする基本方針としつつ、教室棟階高の縮小や便所棟の縮小等によりコスト縮減を図った。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
 対象地域において、仮設及び老朽化により劣悪な状態にある100教室が建て替えられ、32教室が新設されることにより、適切な学習環境を備えた教室が整備され、15,840人分の就学環境が改善される。また、対象10サイトにおいて、整備された教室の割合が現在の約5%から約90%に増加する。

(2)カメルーンでは、貧困削減戦略文書(2003年策定)において、全国民への初等教育の普及を目標とし、「教育セクター戦略」に沿って、2015年までに初等教育修了率100%の達成や1教室あたり生徒数50人の実現等を目指している。本事業はこのようなカメルーンの開発計画と合致している。

(3)我が国はこれまでにもカメルーンにおいて小学校建設を行っており、これらの小学校は「日本の学校」として同国において高い評価を得ており、その外交的効果も大きい。本計画の実施により、両国の友好関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)カメルーン共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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