評価年月日 平成20年10月15日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1ー1.供与国名バングラデシュ人民共和国 1ー2.案件名「ダッカ市廃棄物管理低炭素化転換計画」 1ー3.目的・事業内容本計画は、バングラデシュの首都ダッカ市において、二酸化炭素排出量の少ない廃棄物収集車輌(天然ガス(CNG)車等100台)の導入及び車輌の維持管理のためのワークショップ(延床面積62平方キロメートル)の建設並びに収集車輌に関する維持管理技術指導等により、廃棄物 の適正な管理処理及び温室効果ガスの排出削減を図ることを目的とする。供与額は12.15億円。 1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がバングラデシュ人民共和国政府により実施される必要がある。 (1)本計画により導入した機材及び整備した施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2ー1.必要性(1)バングラデシュの首都ダッカ市は、人口急増と経済発展によりますます増大する廃棄物の管理とそこから放出されるメタンガス等の温室効果ガスが大きな社会的課題となっている。 (2)しかしながら、ダッカ市役所の保有する廃棄物収集車輌は、二酸化炭素排出量の多い老朽化したものが多く、2010年頃には多数の車輌が使用できなくなることが予想されている。同市役所では、廃棄物管理の強化と温室効果ガス削減のために、必要な維持管理費用について、市民から清掃税を徴収するほか、一般財源からも捻出しているが、本計画を実施するための十分な資金を調達できる目途はついていない。 (3)このような中で、同市役所は、我が国に対し、廃棄物の収集運搬と温室効果ガス削減を目的とする本計画を推進するために必要な機材の導入とそれらの維持管理に必要な施設の整備等につき要請してきたものである。 (4)本件については、社会開発の便益に加え、気候変動緩和の便益を有するコベネフィッツ型の協力として、同市における廃棄物収集処理輸送の改善と温室効果ガス削減の2点を目的として実施するものである。 2ー2.効率性(1)2005年に策定されたマスタープラン「ダッカ市廃棄物管理計画」に基づき、目標年度(2012年)に収集・運搬すべき廃棄物量を踏まえ、導入する収集車輌の台数を算定した。 (2)先行して実施している技術協力プロジェクトと連携し、廃棄物管理研修や収集運搬ルートの最適化等の結果を踏まえ、本件により供与する施設・機材のより効率的かつ効果的な活用を図る。 2ー3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
(2)また、同国の開発計画である貧困削減戦略文書においても、天然ガス車への転換がダッカ市の大気汚染の減少につながるとしているように、本計画の実施は、温室効果ガスの削減に資するとともに、同国の開発計画に合致する。さらに、我が国の対バングラデシュ国別援助計画においても、「環境」は「社会開発と人間の安全保障」の重点セクターに位置づけられており、1)都市インフラ整備、2)人材育成強化と制度改善、一般市民への意識向上等に取り組むとしていることから、我が国の援助方針にも合致する。 (3)さらに、バングラデシュは我が国とクールアース・パートナーシップを構築しており、本計画は同パートナーシップに基づく支援策である。本計画の実施により、地球温暖化防止に向けたバングラデシュの取組を促進するとともに、我が国とバングラデシュの二国間関係強化が期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)バングラデシュ人民共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) (3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |