2 実績から見た主要ドナーの政府開発援助概要
いかなる協力がODAに該当するのか、それをどのように報告するかについては、OECD/DACが国際的なルールを定めています。DACが定めるルールでは、ODAは、(ⅰ)公的機関またはその実施機関によって供与される、(ⅱ)開発途上国の経済開発や福祉の向上を主目的とする、(ⅲ)譲許的性格を有する(政府貸付等の場合、貸付条件(金利、償還期間等)が受取国にとって有利に設定されている)、の3要件を満たすものとされています。
このように、DAC諸国はDACが定めるルールに基づいて開発協力を行っていますが、主要ドナーが実施するODAの内容は国によって異なっています。ここでは、主にG7諸国を中心としたDACドナーの援助概要について2024年の実績を参考に概説します。
■主要ドナーの支援実績
2024年のDAC諸国のODA供与額(贈与相当額計上方式(GE方式))は、約2,145億4,900万ドルでした。国別実績(GE方式、DAC諸国における構成比)では、1位が米国(約654億7,500万ドル、30.5%)、2位がドイツ(約328億3,200万ドル、15.3%)、3位が英国(約179億ドル9,200万ドル、8.4%)、4位が日本(約164億9,400万ドル、7.7%)、5位がフランス(約154億4,700万ドル、7.2%)、6位がオランダ(約75億2,200万ドル、3.5%)、7位がカナダ(約73億8,700万ドル、3.4%)、8位イタリア(約68億4,100万ドル、3.2%)、9位ノルウェー(約51億7,900万ドル、2.4%)とG7諸国が上位を占めています注6。
■主要ドナーの支援分野
2024年の実績では、米国、英国、フランス、ドイツは、教育、保健、上下水道等の社会インフラ分野への支援を重点的に行っています。また、米国はODA全体の26%以上を人道支援等の緊急援助、食糧援助に充てています。一方、道路や橋、鉄道、通信、電力等の経済インフラ分野については、日本が最も多く43.3%を、次いでフランスが17.7%をそれぞれ配分しています。日本の協力に占める経済インフラ分野での支援が大きいのは、自らの戦後の復興経験からも、開発途上国の持続的な経済成長を通じた貧困削減等の達成のためには、まず経済インフラを整え、自助努力を後押しすることが不可欠と考えているからです(図表Ⅱ-7)。
■主要ドナーの支援地域
日本はアジア地域を中心に支援している(2024年の支出総額(以下同)の約54.6%)のに対し(図表Ⅱ-2)、米国、英国、フランスおよびイタリアはサブサハラ・アフリカ向け支援が1位(それぞれ26.2%、18.2%、29.7%、18.9%)となっています注7。また、地域別で見た主要DAC諸国からの支援実績の割合では、米国は中東・北アフリカ(29.2%)、サブサハラ・アフリカ(44.9%)、中南米(36.3%)、および欧州(55.5%)で1位となっています。大洋州ではオーストラリアおよびニュージーランドが総供与額の50.6%を支援しています。このように、各国による支援重点地域は、地理的近接性や歴史的経緯等による影響も受けています(図表Ⅱ-8)。
■援助形態別の実績
援助形態別に見ると、2024年のDAC諸国全体のODA実績のうち、贈与が約87.9%(二国間無償注8:約57.5%、二国間技術協力:約7.8%、国際機関向け贈与:約22.6%)、政府貸付等が約12.1%(二国間:約11.8%、国際機関向け:約0.3%)となっており、日本を除く主要DAC諸国実績上位10か国は、その多くを贈与(二国間無償、二国間技術協力、国際機関向け贈与)の形態で実施しています(図表Ⅱ-9)。
日本のODAに占める有償資金協力(円借款等)の割合が多いのは、開発を与えられたものとしてではなく、開発途上国自身の事業として取り組む意識を高めることが、効果的な開発協力のために重要との考えに基づき、開発途上国の人々自らによる経済成長への努力を支援することを目的としているためです。開発途上国側から見れば、自らが借りたお金で自国の経済や社会の発展を目指した事業を行うことになり、積極的に事業に取り組むことにつながります。有償資金協力(円借款等)が終了した後も、現地の人々が自らの生活を自立的に発展させていけるよう、人づくり、法制度整備などのソフト面の支援を組み合わせた協力を行っている点は、開発途上国の自助努力・自立的発展を重視する日本ならではの支援と言えます。
- 注6 : OECDデータベース(OECD Data Explorer)(2025年12月)。
- 注7 : OECDデータベース(OECD Data Explorer)(2025年12月)。
- 注8 : 二国間無償は、図表Ⅱ-1無償資金協力、債務救済、国際機関等経由を指す。
