2025年版開発協力白書 日本の国際協力

国際協力の現場から 02

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国際機関で活躍する日本人の声
~シエラレオネで若者を“平和の担い手”へ~

バイクライダーたちを対象とした性的暴力防止の研修(写真:UNDP)

バイクライダーたちを対象とした性的暴力防止の研修(写真:UNDP)

バイクライダー組合と警察当局の対話風景(写真:UNDP)

バイクライダー組合と警察当局の対話風景(写真:UNDP)

国連開発計画(UNDP)シエラレオネ事務所でプログラムアナリストを務める八代歩弓(ほゆみ)氏は、幼少期から平和構築に関心を抱き、ボスニア・ヘルツェゴビナのNGOや国連日本政府代表部での勤務を経て、2022年から、ニューヨークの国連事務局の国連政務・平和構築局平和構築支援オフィス(DPPA-PBSO)において外務省が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)として働き始めました。その後、「もっと裨(ひ)益者と、直接関わることができる現地で働きたい」との思いから、2024年には西アフリカの大西洋沿岸に位置するシエラレオネへ赴任しました。

シエラレオネは、内戦後の平和構築の取組が国際社会からも一定の評価を得ているものの、国内には現在も紛争の根本要因となる貧困や不平等などの課題が根強く残っています。そのような中、八代氏は、街中を走るバイク(二輪)タクシーの運転手である若者たちを「平和の担い手」として育成するプロジェクトに取り組んでいます。

バイクタクシーは、シエラレオネで広く利用される重要な交通手段の一つです。その運転手であるバイクライダーの多くは、元戦闘員を含む18歳から35歳の若者世代が占めています。一方、バイクライダーの仕事は、雇用や収入も不安定なため、社会に対する不満を抱きやすく、警察との衝突や、バイクライダー同士による暴力事件が頻発し、深刻な社会問題となっていました。

日本も主要ドナーとして貢献する国連平和構築基金の拠出を受け、シエラレオネ政府青年省との協力の下、UNDPシエラレオネ事務所では、コミュニティー間を行き来し、社会に対して潜在的な発信力を有するバイクライダーの強みをいかそうと、三つのアプローチを行っています。第一に、バイクライダーと警察の関係改善のため、双方が定期的に対話できる場を国内のプロジェクト対象地域に設け、信頼の構築を支援しています。第二に、バイクライダーが性的暴力防止や紛争予防等について学ぶ機会を提供し、乗客として多くの市民と接する彼らの意識変革を後押しすることを通じて、社会全体の変化を促しています。最後に、国連資本開発基金(UNCDF)と連携し、バイク車両購入資金などに充てられる融資の機会を提供しつつ、バイクライダーに対して金融に関する研修を実施することで、経済面からも支援しています。

本事業の中で、八代氏は、シエラレオネ青年省の大臣を含む約100名が参加した、バイクライダーと警察および道路交通安全局との平和を目指した協定の署名セレモニーを開催したほか、同三者の対話イベントを30回にわたり実施するなどの取組を主導しています。八代氏は、「紛争を引き起こす要因は非常に多面的で、平和構築には多角的なアプローチが欠かせない。バイクライダーに行動の変容を促すだけでなく、経済的な支援も行い動機付けを行うなど、関係者それぞれの強みをいかしたアプローチが有益と感じる。」と語り、「バイクライダーたちから『警察との揉(も)め事や、身近で暴力に関わる人が減った』、『仲間が悪いことをしていれば、注意できるようになった』などの言葉を聴いて、自分の仕事が平和な社会の実現に一役買っているのだと実感できてうれしい。」と、本プロジェクトの醍醐味(だいごみ)を口にします。

国際機関での仕事について、八代氏は「日本にいると世界の貧困や課題の深刻さがつかみにくいが、現地で仕事をすると、プロジェクトのインパクトが目に見える形でわかり、手応えを感じる」としつつ、「国際機関には日本人職員も多く、彼らは優秀ではあるものの、良い意味で『普通』の人たちだという認識。私自身、大学で交換留学を経験するまで英語が話せなかったこともあり、こうして国連で活躍することは夢のまた夢だと思っていた。」と振り返ります。

そして、これから国際協力の現場で働いてみたいと志望する日本の若者たちに向けて「情熱とプロフェッショナリズムがあれば、きっと活躍できる。ぜひ臆せずに挑戦し、自らの手で、世界をより良くするための貢献に喜びを感じてほしい。」と、アフリカの大地からエールを送ります。

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