2024年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力トピックス4

中南米外交イニシアティブ
~中南米イヤーにおける日本の開発協力の取組~

コルティソ・パナマ大統領(当時)を表敬する上川外務大臣(当時)

コルティソ・パナマ大統領(当時)を表敬する上川外務大臣(当時)

ホンジュラスの医療分野における三者協力に関する署名済みの意図表明書を手にするレイナ・ホンジュラス外務大臣、グロッシーIAEA事務局長、野口中南米局長(左から順に)

ホンジュラスの医療分野における三者協力に関する署名済みの意図表明書を手にするレイナ・ホンジュラス外務大臣、グロッシーIAEA事務局長、野口中南米局長(左から順に)

2024年は、ブラジルがG20、ペルーがAPECの議長を務めるなど、中南米に世界の注目が集まる「中南米イヤー」でした。

中南米諸国の多くは、自由、民主主義、法の支配、人権などの価値や原則を共有する重要なパートナーであり、国際社会において法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が深刻な挑戦を受けている中で、こうした中南米諸国との連携がますます重要となっています。また、約6.6億人の人口と約7兆ドルの域内総生産を有する中南米地域は、大きな経済的潜在力を有するだけでなく、脱炭素化のために重要な鉱物資源やエネルギー、食料資源を豊富に有しており、サプライチェーン強靭(じん)化や経済安全保障の観点からも重要性が増大しています。さらに、日本と中南米には、歴史的に培った信頼と友好関係に加えて、約310万人の世界最大の日系社会を介した特別な絆(きずな)が存在します。

「中南米イヤー」である2024年、こうした中南米地域の重要性も踏まえ、日本はハイレベルによる訪問を含め、中南米との連携を強化してきました。

2月、上川外務大臣(当時)はパナマを訪問し、これまでの中南米外交の理念や実績、培った信頼を基盤に、新たに「中南米外交イニシアティブ」を発表しました。本イニシアティブでは、二国間および国際場裡(り)での従来の外交上の取組に、今日の国際社会で重要性を増すテーマや日本独自の切り口を横串として通すことで、中南米諸国との新たな連携を積み上げ、育てていくことを目指しています。

「中南米外交イニシアティブ」を具現化するための取組として、日本は様々な協力を実施しています。開発協力の取組としては、3月、上川外務大臣(当時)が訪日中のグロッシー国際原子力機関(IAEA)事務局長との間で、「中南米外交イニシアティブ」の下、原子力の平和的利用分野において連携・協力していくことで一致しました。これに基づき、9月に両者に加えてレイナ・ホンジュラス外務大臣との三者間で、ホンジュラスの医療分野(放射線治療)における三者協力に関する意図表明書の持ち回りでの署名が完了しました。今後、日本とIAEAが、がん死亡率の改善に取り組むホンジュラスにおいて、放射線治療の拡充に貢献することが期待されます。

また、「中南米外交イニシアティブ」では、日本と中南米との連携分野の一つとして「海洋」に関する協力に光を当てています。2024年は「日・カリブ交流年」であり、日本は2月に、ジャマイカに対して海洋調査船を供与する無償資金協力を決定しました。近年ジャマイカでは、漁獲量が減少し、水産・漁業分野、ひいては経済が多大な影響を受けていることから、日本から調査船を供与することで、気候変動が海洋生態系に与える影響を把握し、持続的な形での資源管理や水産漁業開発につながることが期待されます。

日本はこれからも、国際社会において重要性を増す分野における中南米諸国との連携を強化しつつ、多様なネットワーキングを駆使した外交により、歴史的に強固な二国間関係を強化していきます。

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