3 新興ドナーや民間主体による「開発途上国支援」の増加
G7開発大臣会合における議論の様子
柘植外務副大臣(当時)とタヤーニ・イタリア外務・国際協力大臣(写真:Agenzia ANSA/Italian MFA)
近年、DACメンバーに加え、DACに参加していない中国、インド、インドネシア、サウジアラビア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、トルコ、南アフリカなどの新興ドナーや民間の財団などによる開発途上国支援が増加しています。DACに実績報告を行っている非DAC諸国は少ないですが、DACの統計で集計されているだけでも、2023年では、非DAC諸国による支援は計174億ドル以上、同諸国からの民間資金は約4億ドルとなっています。また、DAC諸国および非DAC諸国のNGOなどの非営利団体による支援は計約600億ドルに達しています注9。
2024年9月の未来サミットの機会に国連総会で採択された「未来のための約束」において、開発途上国におけるSDGsの達成に向けた資金ギャップを埋めるため、「あらゆる資金源から、持続可能でアクセスしやすく、透明性があり予測可能な開発資金および必要な実施手段を開発途上国に提供し、動員する」旨言及されているように、SDGsの達成に向けて、様々な主体による資金が開発途上国に向けられることが求められています。
開発途上国への資金の流れが多様化する中、その流れを正確に把握し、限りある開発資金を効果的に活用することは国際社会が連携して開発協力を推進するために不可欠ですが、非DAC諸国などが実施する開発途上国支援の内容は、DACが作成・公表する統計では全てが明らかにならないのが現状です。また、国際ルール・スタンダードに合致しない不透明かつ不公正な貸付慣行の存在も指摘されています。
こうした状況下、2024年も様々な国際フォーラムにおいて、開発金融の透明性などについて具体的な議論が行われました。
G7では、2024年4月のG7外相会合コミュニケにおいて、開発金融の透明性を推進していくことが再確認され、続く6月のG7プーリア・サミットでは、岸田総理大臣(当時)から、債務問題にも適切に対処する必要があることを指摘し、国際ルールを遵守した透明で公正な開発金融の重要性につき全ての債権国・債務国が認識を共有することも重要である旨述べました。また、全ての開発協力の実施主体が既存の原則を遵守するために協働することに加え、開発途上国を始めとするパートナー国における融資可能なプロジェクトの開発を発展させていく決意が確認されました。これらの議論も踏まえ、10月のG7開発大臣会合では、柘植(つげ)外務副大臣(当時)から「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を始めとする国際ルール・基準を遵守し、透明で公正な開発金融を促進していくことが重要である旨訴え、同会合のコミュニケでは、G7として、質の高い、包摂的で持続可能なインフラのための高い基準を引き続き前進させるとともに、民間主体を含む様々なパートナーとの協働を推進する決意が示されました。
また、G20では、7月のG20開発大臣会合において、穂坂外務大臣政務官(当時)より、全ての開発協力の実施主体が「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を始めとする国際ルールやスタンダードを遵守した透明で公正な開発金融を行うよう、引き続きG20として取り組んでいくことを求めました。また、同会合で採択されたコミュニケでは、G20は、透明性および相互説明責任の重要性に留意しつつ、適用し得る資金関連の原則を尊重した開発金融を促進することの重要性を再確認する旨述べられました。続く11月に開催されたG20リオデジャネイロ・サミットで採択された首脳宣言では、あらゆる資金源から、国内外の新規かつ追加的な資金を動員し、同時にその有効性を高めるよう求めるとともに、透明性および相互説明責任の重要性に留意する旨記載されました。
さらに、日本が議長国を務めた5月のOECD閣僚理事会の閣僚声明では、開発協力の全ての提供者に対し、開発協力の効果、透明性および説明責任を向上させる国際的なスタンダードおよび慣行をより厳密に遵守するよう引き続き要請し、特に開発金融は、既存の国際的なルールおよびスタンダードに沿った透明かつ公正な方法で提供されるべきである旨言及されました。加えて、国際社会に対し、債務データ共有の取組などを含む全ての債権国および債務国による行動を通じて、債務の透明性をさらに向上させることを求める旨が盛り込まれました。
日本として、新興ドナーの開発途上国支援が国際的な基準や取組と整合的な形で透明性を持って行われるように、引き続き国際社会と連携しながら働きかけていきます(第Ⅲ部1(4)および第Ⅴ部1(2)も参照)。
- 注9 : OECDデータベース(OECD Data Explorer)(2024年12月)
