国際協力の現場から 04
カンボジアと培った地雷・不発弾処理の技術でウクライナの人々を守る
ウクライナ非常事態庁の関係者に、日本製のレーダーシステムによる金属探査機を使った地雷・不発弾探査の研修を行うCMACのリティサック氏(手前右)(写真:JICA)
松田駐ウクライナ日本国大使(当時)、クリメンコ・ウクライナ内務大臣、松永JICAウクライナ事務所長らとともに現地ウクライナでの地雷除去機の供与式に参加する雨宮氏(一番左)(写真:株式会社日建)
カンボジアは、ベトナム戦争とその後の内戦により、世界有数の地雷・不発弾被害を受けました。カンボジア政府は、地雷・不発弾除去を国家政策として進めてきていますが、主要な政府機関としてその地雷除去活動を牽(けん)引しているのがカンボジア地雷対策センター(CMAC)です。
1998年以来、日本は、CMACに対して機材供与や人材育成、研究開発のための資金協力、組織の能力向上に向けた技術協力を実施するなど、カンボジアの地雷対策に一貫して協力してきました。自国内の地雷除去を着実に進めてきたカンボジアは、今や地雷除去面積で世界最大の実績を誇り、世界の地雷対策をリードする存在です。自国の知見をいかした研修などを通じて、これまでにコロンビア、ラオス、アンゴラ、イラクなどの地雷対策にも貢献しています。
ロシアによる侵略が継続するウクライナに対しても、日本とCMACは協力しながら地雷対策支援を行っています。2023年以降、ウクライナの政府職員を対象とした地雷除去関連機材の使用訓練や住民への啓蒙(もう)活動に関する研修の実施、政府高官の現場視察の受入れを行っています。
2024年7月、日本はウクライナ非常事態庁に大型地雷除去機2台を供与しました。除去機を開発したのは、カンボジアでCMACと共に地雷除去機を開発した株式会社日建です。社長の雨宮誠(あめみやまこと)氏は、「カンボジアのこどもたちが走り回れるグラウンドを作りたい、先代社長のそんな思いから、地雷や爆弾の知識もないままに除去機の開発に取り組み、5年をかけて世界で唯一のショベル式除去機を開発した。」と語ります。油圧ショベル式の除去機はブルドーザ式よりも汎用性が高く、先端のアタッチメントを替えることで爆発物の危険性が高い環境でも多様な作業工程や目的に対応できます。さらに、がれきの運搬やインフラ建設用のアタッチメントに付け替えることで、地雷処理後の地域の復興をも支えます。世界でも高く評価され、現在では12か国で使用されていますが、各国の実情に応じた仕様にしています。雨宮氏は、「ウクライナでは、直接現場を見られない困難さに直面しつつ、写真や動画を見て現場の状況を研究し、またウクライナ側の声を直接聞きながら、地雷除去機側面からの飛散物を防ぐための保護カバーを追加した。」と語ります。現地からは「最新の地雷除去機は既に実際の条件で試運転されており、除去員はその機能をうまく活用している。」との声が届いています。日本はその後も地雷除去機の供与を続け、2024年12月現在、供与予定であった12台全てが出荷されました。
CMACで長年にわたり日本企業による機材開発や運用・監理に従事し、留学経験のあるウクライナへの地雷対策にも協力するスレイ・リティサック職員は、「一般的な金属探知機や建機と異なり、地雷除去関連機材は繊細な操作が求められる。訓練に加えて繰り返しの練習が必要だ。」と、継続的な取組の重要性を強調します。地雷・不発弾分野の専門家としてCMACに派遣中の林明仁(あきひと)氏は、「カンボジアで実施中の日本の技術協力では、CMACが自国の経験を他国の地雷対策に一層貢献できるよう、その組織的な能力の強化を支援している。ウクライナの地雷対策への協力についても、継続が必要という認識を共有している。」と、今後の展望を見据えます。雨宮氏は、「カンボジアは日本が何年もかけて関係を築いてきた地雷対策の仲間で、彼らと共に他国の地雷対策の歩みを進められることは誇らしい。日本は各国と協力し、平和を推進する国であってほしい。」と、この事業への思いを語ります。
日本は、引き続きカンボジアとの協力を通じて、各国の地雷対策に貢献していきます。
