(2)国際協力事業関係者の安全対策
ODA事業を中心とする開発協力の実施にあたっては、JICA関係者のみならず、ODAに携わる企業、NGOなど全ての国際協力事業関係者の安全確保が大前提です。そのために、外務省およびJICAでは平素から十分な安全対策や体制整備を行っています。2023年のスーダン、ニジェール、イスラエル、パレスチナ等での治安情勢の悪化に際しては、情勢を的確に見極めながら、国際機関等とも連携し、現地の国際協力事業関係者の迅速な国外退避を実施するなど、人命最優先で関係者の安全確保に努めました。
また、2016年7月のバングラデシュ・ダッカ襲撃テロ事件後、関係省庁、政府関係機関および有識者が参加した国際協力事業安全対策会議での再検証の結果公表された「最終報告」注27を受け、外務省およびJICAは、同報告書に記載された安全対策注28の実施に取り組むとともに、国際協力事業関係者の安全対策の実効性を確保するための対応を継続・強化しています。最終報告以降に常設化された2023年の同会議では、国際協力事業関係者の安全に関わる各種情勢や対策・取組等について議論を行いました。
同事件を受け、国際協力事業関係者を含む中堅・中小企業関係者の海外安全対策を強化すべく2016年に創設された「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」注29は、日本企業の海外展開に関係する省庁や機関が参加し、局長級の本会合を年1回程度開催しています。直近では2022年11月に開催し、山田外務副大臣(当時)が出席した第7回本会合では、ネットワーク参加組織は積極的な啓発活動に取り組み、中堅・中小企業に安全情報が届くよう積極的なアウトリーチを実践していることが確認されました。次回会合は2024年の開催を予定しています。
- 注27 : 国際協力事業の安全対策 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/keitai/page22_000120.html
- 注28 : (1)脅威情報の収集・分析・共有の強化、(2)事業関係者およびNGOの行動規範、(3)ハード・ソフト両面の防護措置、研修・訓練の強化、(4)危機発生後の対応、および(5)外務省・JICAの危機管理意識の向上・態勢の在り方の5点。
- 注29 : 中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/network.html