3 開発協力の適正性確保のための取組
ODAを中心とする開発協力は、開発途上国の開発や成長だけでなく、日本と開発途上国との間の友情と信頼関係の確かな絆(きずな)を築くとともに、国際社会における日本の地位の向上や、日本自身の平和と繁栄の確保に大いに貢献してきました。その一方で、ODA事業に関連して不正が行われたことや、不測の事態によって十分な援助効果が上げられなかったり、遅れが生じたりしたこともあります。
日本政府は、こうした経験を将来への教訓とするため、評価制度の整備、透明性の向上、事業管理プロセスの改善、受入国や市民社会を含む幅広い関係者との対話の実施など、様々な努力を続けてきました。日本政府は、今後もより効果的で適正な開発協力の実施に向けた不断の努力を行っていきます。
また、環境・社会面に配慮した案件の実施のため、JICAでは、開発協力の適正性を確保する取組の一環として、環境社会配慮ガイドラインを定めています。
(1)不正行為の防止
ODA事業に関連した不正行為は、適正かつ効果的な実施を阻害するのみならず、国民の税金を原資とするODAへの信頼を損なうものであり、絶対に許されるものではありません。
外務省およびJICAは、過去に発生した不正行為の教訓を踏まえつつ、これまで、監視体制の強化(不正腐敗情報に係る窓口の強化、第三者検査の拡大など)、ペナルティの強化(参加資格停止措置期間の上限引上げ、違約金の引上げ、重大な不正行為を繰り返した企業に対する減点評価の導入など)、および参加資格停止措置の対象拡大(措置対象者の企業グループや、措置期間中の者から事業譲渡などを受けた者も対象に加えるなど)を行い、不正行為を防止するための取組を強化してきました。
日本は、ODA事業に関連した不正行為は断じて許さないという強い決意の下、引き続き、不正行為の防止に向け、しっかりと取り組んでいきます。