2021年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力トピックス1

世界銀行グループを通じた低所得国支援
~国際開発協会(IDA)第20次増資(IDA20)~

IDA20最終会合(2021年12月)の様子(写真:世界銀行グループ)

IDA20最終会合(2021年12月)の様子(写真:世界銀行グループ)

日本は、2021年12月に、世界銀行グループの国際開発協会(IDA(アイダ))第20次増資(IDA20)交渉の最終会合を主催し、IDAとして過去最大の支援規模の合意に至りました。

IDAは、世界銀行グループの中で所得水準の特に低い開発途上国の支援に特化した機関で、超長期・低利の融資や贈与等を行う世界最大規模のドナー基金です。また、国際社会が対応すべき開発課題の方向を規定する、低所得国支援における最も重要な開発金融機関として、特定の地域・分野に限らず、各地域の低所得国の多様な開発課題に統合的に対応し、世界の貧困削減に大きく貢献しています。たとえば、貧困削減に向けた経済成長促進、生活水準向上のためインフラ、保健、教育、気候変動、防災等の分野において支援を実施しています。

新型コロナウイルス感染症危機への対応のため、低所得国においてIDAからの支援に対する需要が一層高まる中、日本政府は、IDAの資金補充の議論の開始を各国に先がけて呼びかけるなど議論を主導し、通常は3年に一度実施されている増資について、IDAの歴史上初めて1年前倒しで実施することに合意しました。

2021年12月に日本が主催した最終会合では、岸田総理大臣から、日本が途上国におけるワクチン関連支援を実施してきたことに加え、IDAもまた、パンデミックで苦しむ低所得国に対し、ワクチンを含む新型コロナ対策支援を精力的に実施してきており、危機の中でその重要性が一層高まっている旨を述べました。また、鈴木財務大臣から、変異株の流行の繰り返しを避けるためには、途上国も含めたワクチン・治療薬の普及およびユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の普及を含む将来の保健危機への予防・備え・対応を強化することが重要である旨を述べるとともに、日本として3,767億円の拠出を表明しました。こうした日本の貢献を含め、IDA20(対象期間は2022年7月から2025年6月)では、過去最大の支援規模となる930億ドルの増資パッケージに合意しました。

IDA20においては、世界で74の低所得国がIDAからの支援を受けられることになります。また、今回の増資では、新型コロナへの対応やUHCの推進を含む保健システムの強化、自然災害に対する強靭(きょうじん)性、質の高いインフラ投資、債務の透明性・持続可能性等の開発課題が重点政策に位置づけられており、各国に対する支援が実施される予定です。

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