2020年版開発協力白書 日本の国際協力

3.開発協力の適正性確保のための取組

日本が長年にわたって実施してきたODAは、開発途上国の開発、成長に様々な形で貢献してきただけではありません。ODAは、日本と途上国との間の友情と信頼の確かな絆を築くとともに、国際社会における日本の地位の向上に、ひいては日本自身の平和と繁栄をより確かなものとすることに大いに役立ってきました。一方、ODAは課題や困難に直面したこともありました。たとえば、ODA事業に際して、不正が行われたことや、不測の事態によって十分な援助効果が上げられなかったり、遅れが生じたりしたこともあります。

日本政府は、こうした経験を一つひとつ無駄にせず、将来への教訓とすべく、評価の仕組みを整え、透明性の向上に努め、市民社会を含む幅広い関係者の方々との対話を行うなど、様々な努力を続けてきました。また、不正を防ぐ仕組み、受入国側との丁寧な対話と調整、さらには、きめ細かい事業の維持管理やフォローアップのプロセスも整えてきました。日本政府は、今後もより効果的で適正な開発協力の実施に向けた努力を不断に続けていきます。

(1)不正腐敗の防止

日本のODAは、国民の税金を原資としていることから、ODA事業に関連した不正行為などが行われることは、その適正かつ効果的な実施を阻害するのみならず、ODAに対する国民の信頼を損なうものであり、絶対に許されるものではありません。このような不正行為を防止するには、たとえば、不正行為を行ったとしても、いずれ公になり、厳しいペナルティが課されることを認識させる必要があります。

そこで、外務省およびJICAは、過去に発生した不正行為の教訓を踏まえつつ、これまで、監視体制の強化として、「不正腐敗情報に係る窓口の強化」、「第三者検査の拡大」などを行い、また、ペナルティの強化として、「排除措置期間の上限引上げ」、「違約金の引上げ」、「重大な不正行為を繰り返した企業に対する減点評価の導入」などを行いました。さらに、2018年には、不正行為を行った企業などに対する措置に係る基準を改正し、措置対象者の企業グループ等に対する措置や、措置期間中の者から事業譲渡等を受けた者に対する措置を可能とする「排除措置対象の拡大」などを行いました。

日本政府は、ODA事業に関連した不正行為は断じて許さないという強い決意のもと、JICAと連携し、引き続き、不正行為の防止に向け、しっかりと取り組んでいきます。

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