2018年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)開発協力人材・知的基盤の強化

日本政府は2025年までに国連関係機関で勤務する日本人職員数を1,000人とする目標を掲げており、その達成に向けて、外務省は、大学や国際機関駐日事務所、関係府省庁等と連携しつつ、世界を舞台に活躍・貢献できる人材の発掘・育成・支援を積極的に実施しています。その一環として、人材の発掘の観点から、国内外において、国際機関の採用制度を説明するガイダンスを開催したり、国際機関の幹部や人事担当者が訪日して行う就職説明会を実施したりするなど、広報に努めています。

外務省は、国際機関の正規職員を志望する若手の日本人を原則2年間、国際機関に職員として派遣し、必要な知識・経験を積んでもらい、派遣後の正規採用を目指すジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度を実施してきており、開発協力分野を含む国際機関で活躍する人材の育成に努めています。同制度は1974年から実施し、これまでに累計約1,700名を派遣してきており、2017年度は59名を派遣しました。

ほかにも外務省は、2015年度から、平和構築・開発人材の発掘・育成・キャリア構築を包括的に実施するため、従来の事業を刷新し、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を開始しました。この事業では、平和構築・開発分野で今後キャリアを形成していく意思を持つ方を対象に国内外での研修を行う「プライマリー・コース」、および平和構築・開発分野に関する一定の実務経験を有する方のキャリアアップを支援する「ミッドキャリア・コース」、新たに国際機関でのキャリア構築を目指す実務家向けの「グローバル・キャリアコース」(2018年度より開始)を実施しています。さらに、日本政府は平和構築・開発分野の国際機関やNGO等での就職を希望する方を対象に、ポスト獲得、その他のキャリアアップに必要なスキル・知識を提供する「キャリア構築支援」を実施しています。

またJICAは、開発協力にかかわりの深い研究を行い、将来同分野において活躍する意思を持っている大学院生などに対しインターンシップを1997年から実施しており、2017年度は119人を開発コンサルタントの協力現場を含む様々な職場で受け入れています。また、2002年の第2次ODA改革懇談会の提言に基づいて、省庁、JICAやNGO、国際機関といった様々な専門的な知識や多様な経験を持つ人材に活躍してもらうため、JICA内の「国際協力人材センター」では国際協力キャリア総合情報サイト「PARTNER」(http://partner.jica.go.jp/)を通じて国際協力に関する求人情報、人材の登録、各種研修・セミナー情報の提供、そしてキャリア相談(進路相談)なども行っています。またJICAは、国際協力人材の養成確保のため、ジュニア専門員、能力強化研修などを実施しています。

さらに、日本政府は国際協力専門員制度により、高い専門的な能力と開発途上国での豊富な業務経験を持つ人材を確保しています。JICA研究所は、開発途上国の政府や国際援助のコミュニティへの発信を行いながら、国際的に通用する方法論を用いて、政策について実際の開発協力経験に基づいた研究を進めています。

日本政府は、日本が持つ強みを活かして、日本と開発途上国側の関係者間での政策研究や知的ネットワーク形成を図るなど、大学・研究機関と連携しつつ、開発協力を立案・発信するための知的基盤強化に努めていきます。

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