2018年版開発協力白書 日本の国際協力

(5)諸外国および国際機関との連携

ア.諸外国との連携

日本は、各地域や分野において他のドナー(援助国)との協調を推進しています。それに加え、幅広い開発課題に関する対話も行っており、2018年にはEUとの対話を実施しました。ODAを効果的に活用し、国際社会全体で開発課題に取り組むためにも、他のドナーとの協力や連携の重要性は高まっています。

開発協力はこれまで、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)の加盟国、いわゆる伝統的なドナーが中心的な提供者となっていましたが、近年、中国、インド、サウジアラビア、ブラジル、トルコなどの新興国も開発途上国に対して支援を行い、開発課題に大きな影響力を持ち始めています。自らが援助を受ける側から提供する側へと主要ドナーへの道を歩んできた経験を持つ日本は、新興国を含む諸国とも連携し、新興ドナーから途上国に対する援助(南南協力)が効果的に促進されるよう、新興国への支援(三角協力)も行っています。

イ.G7開発問題における連携
カナダ・ウィスラーで開催されたG7開発大臣会合に出席した中根外務副大臣(当時)がマリー=クロード・ビボー・カナダ国際開発大臣(議長)と握手している様子

カナダ・ウィスラーで開催されたG7開発大臣会合に出席した中根外務副大臣(当時)がマリー=クロード・ビボー・カナダ国際開発大臣(議長)と握手している様子

2018年5月31日から6月2日、カナダ・ウィスラーでG7開発大臣会合が8年ぶりに開催され、日本からは、中根外務副大臣(当時)が出席しました。同会合では、ジェンダーに焦点を当てつつ開発分野の諸課題について議論し、議長総括のほか、①持続可能な開発のための思春期少女の力の解放に関するウィスラー宣言、②人道支援におけるジェンダー平等及び女性・女児のエンパワーメントに関するウィスラー宣言、③国際支援における性的搾取・虐待からの保護に関するウィスラー宣言、④開発に影響を与えるイノベーションを加速するためのウィスラー原則を発出しました。

ウ.国際機関との連携

近年、貧困、気候変動、防災、保健など、国境を越える地球規模課題に対して、国際社会が一致団結して取り組むことが強く求められている中、日本は国際機関との連携も行っています。

OECDのDACでは、2030アジェンダを含む今の時代に則した開発協力のため、新興国や民間部門等の多様な主体との連携強化を含め、取り組んでいます。具体的には、各国のODA実績が正当に評価されるための測定方法の改定や、ODAを活用した民間の開発資金の動員の方策、民間や新興ドナー国などのODA以外の開発資金を幅広く統計として捕捉(ほそく)する方策等について議論が行われています。

2016年、日本はOECD開発センターに復帰しました。同センターは、開発途上国の開発問題に関する調査・研究を行うOECD内のシンクタンクです。OECD加盟国のみならず、OECDに非加盟の新興国・途上国も参加し、様々な地域における開発について政策対話を行う場として、重要な役割を持っています。日本は、2018年4月にも「質の高いインフラの推進に関するセミナー」を同センターと共催する等、緊密に協力しており、引き続き同センターとアジアとの関係を強化する役割を果たしていく考えです。本セミナーでは、「質の高いインフラ」の概念の普及を目的として日本が同センターに対して任意拠出を行ったことを踏まえつつ、関係国・機関により質の高いインフラに関する取組みの紹介がなされ、量のみならず質を確保しつつインフラを整備していくことの重要性が参加者の間で共有されました。

日本は、2011年釜山援助効果向上ハイレベルフォーラムにて立ち上げられた「効果的な開発協力に関するグローバル・パートナーシップ(GPEDC)」においても、多様な開発主体間のパートナーシップを通じた開発援助の効果向上に関する国際的な議論に貢献しています。2016年に開催された第2回GPEDCハイレベル会合では、日本は、SDGs達成のための効果的で包摂(ほうせつ)的な連携のツールとして、自らの開発協力の実績に基づきながら三角協力の有効性を広く発信し、議論に貢献しました。

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