2018年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)自然災害時の人道支援

日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府、または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。日本の人的援助としては、国際緊急援助隊の①(被災者の捜索・救助活動を行う)救助チーム、②(医療活動を行う)医療チーム、③(感染症対策を行う)感染症対策チーム、④(災害の応急対策と復旧活動について専門的な助言・指導などを行う)専門家チーム、⑤(大規模災害など、特に必要があると認められる場合に、医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う)自衛隊部隊の5つがあり、個別に、または組み合わせて派遣します。

また、物的援助としては、緊急援助物資の供与があります。日本は海外4か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテント、毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に物資を供与できる体制にあります。日本は、2018年には、ジブチ、グアテマラ、コンゴ民主共和国、インドネシアなどに対して緊急援助物資の供与を行いました。

さらに、日本は、海外における自然災害や紛争の被災者や避難民を救援することを目的として、被災国の政府や被災地で緊急援助を行う国際機関等に対し、援助活動のための緊急無償資金協力を行っています。その国際機関が実際に緊急援助活動を実施する際のパートナーとして、日本のNGOが活躍することも少なくありません。

2018年10月の日・ラオス首脳会談において、トンルン・シースリット・ラオス首相より、7月下旬に発生したダム決壊に伴う水害に対する日本政府からの緊急支援に感謝する旨が述べられた。(出典:首相官邸ホームページ)

2018年10月の日・ラオス首脳会談において、トンルン・シースリット・ラオス首相より、7月下旬に発生したダム決壊に伴う水害に対する日本政府からの緊急支援に感謝する旨が述べられた。(出典:首相官邸ホームページ)

日本のNGOもまた、ODA資金を活用して、政府の援助がなかなか届かない地域で、そのニーズに対応した様々な被災者支援を実施しています。NGO、経済界、政府による協力・連携の下、緊急人道支援活動を行う組織「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」は、自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・避難民支援のために出動し、JPF加盟のNGO団体が支援活動を実施しています。2018年には、インドネシア・ロンボク島およびスラウェシ島での地震・津波被災者支援およびラオスやモンゴルでの水害被害者支援プログラムを実施しました。

また、自然災害の多い日本とASEANにとって、災害対応は共通の課題です。日本は、2011年に設立されたASEAN防災人道支援調整センター(AHA(アハ)センター)の能力強化を目的として、情報通信技術システムの支援や人材の派遣等を行うとともに、緊急備蓄物資の提供と物資の管理・輸送体制の構築支援を行っています。

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