2018年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)ガバナンス支援(不正腐敗対策を含む)

開発途上国において、経済発展の過程で公務員が関与する贈収賄や横領などの汚職事件が発生すると、国家の健全な経済成長や公平な競争環境を妨げる要因ともなります。そこで援助国は、公正かつ安定した社会の実現のため、途上国における不正腐敗対策を含むガバナンス支援にも取り組む必要があります。

■日本の取組

日本は、国際社会における腐敗対策のための唯一の普遍的枠組みである国連腐敗防止条約の締約国として、同条約の事務局である国連薬物・犯罪事務所(UNODC)への協力を通じ、腐敗に関する法執行や、腐敗に脆弱な国に対する能力構築支援に積極的に関与してきました。2018年、日本は2016年及び2017年に引き続き約10万ドルをUNODCに拠出し、各国による腐敗防止策や腐敗に関する犯罪収益の返還に向けた協力等、国連腐敗防止条約の諸規定の実施状況を審査するレビュー・メカニズムの運営を支援するなど、国際的な腐敗対策における課題の特定と解決に貢献しています。

法務省では、UNAFEIを通じて、アジア・アフリカ諸国等の開発途上国の刑事司法実務家を対象に、「汚職撲滅のための効果的な刑事司法の実務、国際協力及び市民社会との連携」をテーマとした汚職防止刑事司法支援研修を実施しました。同研修は、国際組織犯罪防止条約および国連腐敗防止条約上の重要論点からテーマを選出しており、各国における刑事司法の健全な発展と協力関係の強化に貢献しています。

ほかにも、東南アジア諸国における取組を支援するとともに、刑事司法・腐敗対策分野の人材育成に貢献することを目的として、2007年から、「東南アジア諸国のためのグッド・ガバナンスに関する地域セミナー」を毎年1回開催しています。2018年は、ベトナム・ダナンで、「最新の汚職の地域的携行と刑事司法機関における効果的な施策」をテーマに開催しました。

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