ODA評価年次報告書2023 | 外務省

ODA評価年次報告書2023

編集後記

2023年6月、新たな開発協力大綱が閣議決定されました。前大綱同様に評価についても記載されており、「効果的・戦略的な開発協力のための3つの進化したアプローチ」のうちの一つである「戦略性の一層の強化」の項で、評価と改善の重要性や適切な評価とフィードバックについて言及されています。また、「実施体制・基盤の強化」では、開発協力の実施状況や評価について、幅広く、迅速に十分な透明性をもって公開する旨述べられています。

新大綱の下でのODA評価について、昨年度実施した「過去のODA評価案件(2015~2021年度)のレビュー」での提言もふまえて、改善のための取組に着手しました。コラム「新たな開発協力大綱に基づくODA評価の改善に向けて」で紹介していますが、外務省のODA評価を実施する際に評価チームが参照する「ODA評価ハンドブック」に、検証項目として包摂性や様々な主体との効果的な連携・連帯などを追記し、大綱の視点からの評価を強化します。

ここ数年世界中で猛威を奮っていた新型コロナウィルスの影響もようやく一段落し、人の往来が活発になりました。ODA評価でも昨年度はラオス、タジキスタン、トルコ、キューバで3年ぶりの現地渡航調査を実施することができました。キューバでの現場感あふれる調査の様子はコラム「ハバナを走る日本の協力:評価チームが見た現場」をご覧ください。2023年度もタイ、バングラデシュ、エジプト、ヨルダン、ウガンダの5カ国に評価チームを派遣する予定で、現地に足を運ばなければ得られない情報で評価報告書が一層充実することを期待しています。

評価は客観的、中立的に実施するべきものであることは論を俟たず、第三者ならではの視点で課題があれば指摘し、その後の改善に役立てることが重要です。ただ同時に、日本のODAによるプラスのインパクト、ODAが相手国や国際社会の平和・繁栄や、日本にとって好ましい国際環境の創出に役立っていることなども、評価を通じて広く伝えられればと感じており、それも評価の大切な役割の一つだと考えています。

大臣官房ODA評価室長
西野恭子 

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