ODA評価年次報告書2022 | 外務省

ODA評価年次報告書2022

外務省ODA評価結果フォローアップ

2020年度提言への対応策の実施状況

2020年度の第三者評価から得られた提言に対する対応策の実施状況(2022年9月時点)は以下のとおりです。(2020年度評価報告書へのリンク)new window

ブラジル国別評価

提言1: 開発協力の戦略性の強化
対応策の実施状況

同国の熱帯雨林保全が世界的に注目を浴びている昨今の状況を踏まえ、「先進的レーダー衛星及びAI技術を用いたブラジルアマゾンにおける違法森林伐採管理改善プロジェクト」を2021年度より開始する等、戦略性を持った開発協力を実施している。また、同国で甚大化する洪水・土砂災害への対応に際し、緊急援助物資の供与や、過去及び実施中の防災分野における協力を活かし、日本の防災分野の専門家がブラジル関係者の土砂災害現場の視察や復旧手法の検討に参画する等、各協力手法を組み合わせた開発協力を実施している。なお、これらの取組につきSNSなどを活用した積極的な情報発信を行っており、同国及び本邦メディアでも取り上げられている。

提言2:三角協力を軸としたブラジルのドナー化支援を通したパートナーシップの強化
対応策の実施状況

日伯パートナーシッププログラム(JBPP)年次会合において、今次評価を通じて整理された三角協力に係る好事例・教訓等を共有した。また、各種ドキュメントへの電子署名の導入など、三角協力の効率的かつ迅速な実施に向けた方策をはじめとして、三角協力の発展について引き続き検討していく。

提言3: 三角協力における関係国間の対話の強化
対応策の実施状況

ブラジル国際協力庁との定期協議を引き続き実施しており、同庁との間で実施案件のモニタリング及び今後の協力の方向性を含む全体の方針等について、協議を継続している。実施中のプロジェクトについての三か国間でのモニタリング・評価体制については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研修員の渡航、受益国へのブラジル側の詳細計画策定調査団及び専門家派遣に困難が生じ、オンラインで柔軟に対応しているところ、感染状況を見つつ、引き続き検討する。

提言4: 民間連携を活用した社会課題解決の促進
対応策の実施状況

JICAと米州開発銀行多国間投資基金(IDBLab)は共催でオープンイノベーションチャレンジ「TSUBASA」を形成。ブラジルを対象にしたカーボンクレジットに関連するスタートアップ企業の参戦等、BtoG(企業対行政)のみならずBtoB(企業対企業)の枠組みでも社会課題解決に向けた環境づくりを進めている。また、JICAと日本貿易振興機構(JETRO)は現場レベルでも頻繁に協議しており、スタートアップ支援においては双方協力体制にある。さらに、JICA国内機関とJETROが連携してブラジルビジネスセミナーの実施を支援している。

モンゴル国別評価

提言1: モンゴルの持続可能な経済成長と社会の安定的発展に向けたより明確な地域開発戦略と事業計画の策定
対応策の実施状況

次期の国別開発協力方針改定にあたり、開発面からの情報となるJICA国別分析ペーパー(JCAP)骨子が策定され、外務省へ提供された。同骨子案は、モンゴル政府のみならず世界銀行(WB)、アジア開発銀行(ADB)、国際通貨基金(IMF)とも協議し、これら機関の経済協力方針との整合性を図った上で策定されたもの。地域開発戦略については、今後、モンゴル側が、各地のリソース・開発状況に合わせて、地域別の特色を出した開発戦略を形にしていくタイミングであり、それらモンゴル側の方針も踏まえて、地域別の支援策を策定していく予定。

提言2: 頻繁な人事異動に対するリスク軽減の取組強化
対応策の実施状況

2019年公務員法の改訂により、公務員が留学しても同じポストに戻ることが義務付けられるようになり、施行後運用が広がることで、プロジェクトの継続性が徐々に担保されつつある。また、公務員志願者の能力が向上した結果、合格率が2022年時点で前年比2.8ポイント改善し、徐々に能力のある人材が充足される傾向にあると言える。加えて、事業実施の面でも、プロジェクトのカウンターパート機関として、主務省だけでなく傘下の庁もワーキンググループに加えることで、関係機関に広くノウハウが残るような協力形態の導入の取組も進めている。

提言3: 省庁再編が頻繁に発生する国における取組強化
対応策の実施状況

2022年1月に国家開発庁が経済開発省へ刷新され、経済協力の担当窓口も変更になったが、速やかに情報収集を行うとともに、早いタイミングで同省へ日本の協力方針を説明するなど、省庁再編による協力関係への影響を最小限にするよう努めている。なお、本件国別評価を行った2020年以降、議会選挙は実施されていないが、次回選挙が行われる2024年に向け、選挙動向に関する情報収集に努める。

提言4: 複数の省庁が関係する事業における関係者の役割分担の明確化
対応策の実施状況

「障害児のための教育改善プロジェクト」(フェーズ1:2015 年 8月~2019 年 7 月、フェーズ2:2020 年 9 月~2024 年予定)や「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト」(2016 年 5月~2020 年 5 月)等で実施している試みに続き、今後開始予定の「モンゴル日本病院における病院運営及び医療人材教育機能強化プロジェクト」(2022年内開始予定)では、プロジェクト実施中の状況の変化に応じた協力を得られるよう、教育省と保健省をメンバーとするワーキンググループをプロジェクト開始時に立ち上げ、プロジェクト期間中は四半期ごとの会合を行うこととしている。

ルワンダ国別評価

提言1: 貧困層が裨益する開発の継続的な推進
対応策の実施状況

栄養に係る円借款事業の効果の定着と更なる発現のために、栄養アドバイザーを派遣し、栄養普及のための政府の計画策定やモニタリングへの支援をしている。水・衛生分野においては、技術協力プロジェクト「キガリ市水道事業体運営改善プロジェクト」を開始し、キガリ市の水道事業体のサービス強化や無収水(漏水や盗水により料金徴収ができない水)対策の強化を通じた貧困層を含む水の安定供給を支援している。教育分野においても「ICTを活用した初等理数科学びの改善プロジェクト」を開始し、教育のデジタル化を推進することで教育の質とアクセスの向上を支援している。また、日本NGO連携無償資金協力による支援も継続しており、農村部での収入創出・雇用創出のために、農村部の貧困層を含む地域住民を対象に道路整備に係る職業訓練などを実施している。

提言2:アフリカ地域の情報通信技術(ICT)分野等の知識ハブを目指すルワンダの後押し
対応策の実施状況

ICT分野における技術協力プロジェクト「デジタル・イノベーション促進プロジェクト」では、ルワンダ商工会議所のネットワークを活用し、現地パートナーの紹介や実証事業選定における協力を得つつ連携していくことを検討している。また、同技術協力プロジェクトやビジネス・イノベージョン創出に向けた起業家支援プロジェクト「Project NINJA」において、近隣国とのネットワーキングの機会を創出している。

提言3: 日本企業等の多様なアクターとの連携促進
対応策の実施状況

知日派のルワンダ人人材の育成、ルワンダ企業と日本企業との間のネットワークの活用促進に向け、アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)を継続し、日本国内の企業とのマッチング機会を創出している。ICT分野の技術協力プロジェクト「デジタル・イノベーション促進プロジェクト」を開始し、引き続き両国企業の協働機会を設けることに努める。また、ルワンダ大学で継続的に日本の開発について講義を行うJICAチェアの取組を開始し、大学との連携促進も行っている。

提言4: 東アフリカ共同体(EAC)地域全体の経済連携支援の強化
対応策の実施状況

EAC加盟国の情勢を注視しつつ、従来実施してきたワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP。通常は出国側、入国側でそれぞれ輸出入の手続きを要するところを、1回で済ますことにより、物流の促進を図るもの)設立支援及び能力強化のための研修に加え、国際機関を通じた無償資金協力によるX線スキャナー等の調達や国境における保健状況の基礎調査等、多様な支援・調査を実施している。

提言5: EACやアフリカ大湖地域等地域事情のより積極的な考慮と情報公開
対応策の実施状況

今後の国別開発協力方針の改定の際には、引き続き地域事情を考慮した上、その結果を可能な限り反映させることを検討している。

提言6: 国際機関拠出金・草の根人間の安全保障無償に関わる情報公開促進
対応策の実施状況

国際機関拠出金の案件に係る引き渡し式の様子や草の根・人間の安全保障無償資金協力の案件内容など、日本の対ルワンダODAに関する情報を在ルワンダ日本国大使館ホームページに掲載した。

平27年度ヨルダンに対する経済社会開発計画の評価

提言1: 丁寧な案件説明の必要性
対応策の実施状況

その後の経済社会開発計画の案件説明では、案件の背景や開発課題、裨益対象者の設定等に関する意思決定プロセスや案件形成過程について、理解しやすい丁寧な説明を行うよう努めている。

提言2: 目標体系図の導入による成果管理
対応策の実施状況

経済社会開発計画の案件形成において、可能な範囲で、案件形成の初期段階から先方政府と設定し得る成果を共有するなど、より成果を見据えた案件形成や成果管理に努めている。

提言3: 効果的な広報の実施
対応策の実施状況

個別案件の広報においては、中東地域の安定のために重要な役割を果たし、困難がある中で経済的・社会的な課題に真剣に取り組んできたヨルダンを支持するとともに、責任ある国際社会の一員としての我が国の難民支援や人道支援のあり方を積極的にアピールする内容となるように努め、国民の理解が深まる広報に努めている。

提言4: 機材・製品の運用と維持管理にかかるモニタリングと効果測定
対応策の実施状況

引き続きモニタリングを行うとともに、その後の経済社会開発計画の案件では、どういった管理・運用状況の把握が可能かについて先方政府と相談し、可能な範囲での体制整備の模索に努めている。新型コロナウイルス感染症の状況等を考慮しつつ、状況が許せば現地視察を通じた利用状況のモニタリングを行っていく。

平成29年度モザンビークに対する経済社会開発計画の評価

提言1: 開発ニーズの分析に基づく案件の成果設定と管理
対応策の実施状況

その後実施された燃油等を供与する案件は、市場での供給量及び価格の安定化や、窮乏する政府財政の負担軽減を目的としており、効果測定指標の設定は困難だったが、プレスリリースでは期待される効果について可能な範囲で具体的な記載に努めた。

提言2: 調達品の引渡し後のモニタリングの改善
対応策の実施状況

類似案件では、先方政府に対して、消耗品の利用状況や効果の発現状況について報告書等を提出するよう求めている。

提言3: 日本及びモザンビーク国内向けの広報活動の促進
対応策の実施状況

その後実施された燃油等を供与する案件は、案件の意義・重要性を可能な範囲で具体的にプレスリリースに記述するよう努めた。先方政府に対しては署名式等の機会を捉えて被供与国国民向けに広報するよう要請しており、先方外務大臣が我が方大使とともに記者会見を行って現地メディアに対して広報した例もある。

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