ODA評価年次報告書2021 | 外務省

ODA評価年次報告書2021

2019年度 ODA評価結果フォローアップ

外務省は、第三者評価から得られた提言について対応策を策定し、その実施状況の確認を行っています。2019年度の第三者評価から得られた提言に対する対応策の実施状況(2021年9月時点)の一例を紹介します。2019年度(令和元年度)評価報告書はこちらからご覧頂けます。new window

フィリピン国別評価

提言:ミンダナオにおける平和の配当を実感できる支援の強化

これまでに築いたフィリピン側関係者との信頼関係を基に、安全面を考慮しつつ、現地の団体・人材を活用しながら、2019年2月に設立されたバンサモロ暫定自治政府(BTA)に対し、モロ・イスラム解放戦線(MILF)やモロ民族解放戦線(MNLF)、地方自治体、キリスト教徒、先住民族などを含む関係者が平和の配当を実感できるような支援を強化すべきである。

対応策の実施状況

ミンダナオにおける社会の安定化に向け、農業、上水分野の機材整備、保健医療サービス強化、職業訓練を始めとした元兵士の社会復帰支援等を実施している。また、暫定自治政府の能力強化に向け、JICA専門家を派遣した。

日本NGO連携無償資金協力の評価

提言: 手続の簡略化等による事業の効率化

日本NGO 連携無償資金協力の資金総額及び件数の増加に伴い、外務省側の業務量も増加していることから、複数年度にまたがる案件の継続契約、変更手続の簡略化、外部委嘱員の配置などを検討すべきである。また、過去の各種報告書のレビューを通じ、簡略化が可能な点や事業の促進・阻害要因を分析し、分析結果を事前相談や審査に生かすなどの対策も検討すべきである。

対応策の実施状況

令和2年度は、特に在外契約における承認・契約指示の過程の見直し、案件選定会議等のオンライン化などを実施し、業務効率化を図った。また、令和3年度実施要領では、契約書を除くほとんど全ての押印を廃止した。今後、実施プロセスにおける問題点とその解決方法について関係者で共有するほか、団体側にも資する論点についてとりまとめて共有を図るなど、さらなる業務効率化に努める。

日本NGO連携無償資金協力として、ミャンマーカレン州ラインブエタウンシップにおいて実施された教育支援事業の写真。

ミャンマーカレン州ラインブエタウンシップにおける教育支援事業
(日本NGO 連携無償資金協力の評価)

女性のエンパワーメント推進にかかるODAの評価

提言:日本のジェンダー分野を代表する案件の形成

日本が被援助国及び国際社会に対し、ジェンダー分野における貢献を十分に示せるよう、日本の代表案件となるようなジェンダー案件を形成し、日本のODAの強みを全面に押し出すべきである。また、アピールできる実績を作ることは、他ドナーとのさらなる連携に役立てることが出来、協力関係の強化、ひいては日本のジェンダー支援の強化につながることが期待できる。

対応策の実施状況

インドのメトロ事業の経験を踏まえ、バングラデシュ・ダッカ交通整備事業において、ジェンダーアクションプランの作成支援等のジェンダー視点に立った取組の支援 を実施している。

広報活動として、例えば「女性・平和・安全保障(WPS)国際会議」(令和2年12月、於:ベトナム)、外務省主催ウェビナー等の機会に、紛争影響国における女性の保護、経済的エンパワーメントの支援、紛争下の性的暴力予防のための警察・軍・司法関係者の能力強化、アフガニスタンの女性警察官支援等のプロジェクトを紹介。その他国際会議や国連での会議等の機会に、紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表(SRSG-SVC)事務所への拠出案件である、コンゴ民主共和国に対する司法制度や警察支援を好事例としてたびたび報告している。また、国際ガールズデーや国際女性デーの際にも、ジェンダーに関する取組などをJICAホームページ等で発信している。

キルギスのイシククリブランド フェルト作業所で働く女性たちの写真。

キルギスのイシククリブランド フェルト作業所で働く女性
(女性のエンパワーメント推進にかかるODAの評価)

SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)の評価

提言:「社会実装」の共通認識と長期的なフォローアップメカニズムの確立

社会実装について、定義や目指すべき方向があるものの、創設後10年を経過した現在でもSATREPSプロジェクト期間内で目指すべき到達点に関する共通認識が不十分であり、具体的な推進策を打ち出しにくい。今後は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及びJICAのそれぞれのプロジェクト資料において具体的に目指す社会実装に関する共通認識を関係機関が確立する必要がある。 また、SATREPS事業が終了してから数年後の効果を調査して分野・領域毎に俯瞰的な教訓を抽出する長期的なフォローアップが必要である。

対応策の実施状況

社会実装の目指すべき到達点または具体例について、SATREPS関係機関において検討中であり、令和3年度中に整理する予定。

長期的フォローアップについては、JSTがSATREPS事業の追跡評価(調査)を継続するとともに、令和3年度にJICAが研究の類型化や高い開発効果があった案件の教訓抽出等を目的にSATREPS事業のレビューを行う予定。SATREPS全体の教訓を抽出すべく、引き続き既存の枠組みを活用しつつ関係機関間で検討していく。

2013年度ペルーに対するノンプロジェクト無償資金協力

提言:協力内容に関する情報公開の拡大

本事業の目的や背景は、外務省及び在ペルー日本国大使館などが公開した関係資料に明確には記載されていない。

このため日本国民は、本事業がなぜ必要であったのか、どこに何が供与されたのか、事業内容や協力金額が妥当であったのかなどを知ることができない。国民への説明責任を果たす情報公開を行うとともに、国民の理解を促進するよう取り組む必要がある。

対応策の実施状況

同大使館のホームページから外務省ホームページの関連部分(評価報告書を掲載済み)にリンクを貼った。また、ペルーに対して経済社会開発計画を実施する際に、報道発表資料において、事業の目的、背景、事業内容、供与対象、金額などを明確に記載することを徹底した。

ペルー外務省公用車として活用される供与車両の写真。

ペルー外務省公用車として活用される供与車両

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