コラム
ODA評価において現場を確認することの大切さ

2017年度ODA評価案件の1つとして「南部回廊を中心としたメコン地域の連結性の評価」が行われ、タイ、カンボジア、ベトナム3か国において、評価チームが現地調査を実施しました。
「南部回廊」と聞くと、2015年放送の「未来世紀ジパング」というテレビ番組で、南部回廊を実際に走破したジャーナリストによる現地リポートを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、タイのバンコクからカンボジアのプノンペン、ベトナムのホーチミンを経由し、ブンタオを結ぶ大動脈を指します。
日本はこれまで南部回廊において、道路、橋、港湾施設といったハードインフラの整備、輸送や貿易の円滑化といったソフトインフラの整備、これらに関連する制度・法律の整備や人材育成、周辺の地域開発に至るまで様々な支援を行ってきました。今回はこうした支援を通じて、南部回廊のつながりがどのように強化され、メコン地域の発展に寄与したかという点からも評価が行われました。
南部回廊のうち、ベトナム・カンボジア国境が通関に最も時間がかかるとの調査結果が出ています。これを裏付けるため、南部回廊上の国道を実際に走り、現地での体験を通じて課題を認識するユニークな試みが行われました。
国境付近で貨物トラックが列を作る現場に入ったことで、貨物の積替え拠点であるドライポートが不足していること、税関の貨物検査機が1台しかなく、検査待ちの車が税関オフィスから道路まで列を作っていることなどが、渋滞の原因となっていることが分かりました。この結果、物流・貿易の円滑化を強化する点から、税関までの迂回路設置や検査機の供与の検討などが提言に盛り込まれました。
