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アフガニスタンに対する無償資金協力4案件に関する書簡の交換について

平成25年3月1日

  1. 本28日(現地時間同日),アフガニスタン・イスラム共和国の首都カブールにおいて,我が方髙橋博史駐アフガニスタン大使と深澤良信国連人間居住計画(UN-Habitat)福岡本部(アジア太平洋担当)上級人間居住専門官(下記(1)),ウズマン・ギンド国連食糧農業機関(FAO)アフガニスタン代表(Dr. Ousmane GUINDO, FAO Representative in Afghanistan)(下記(2)),及び(3)ヴィディア・ガネシュ 国連児童基金(UNICEF)アフガニスタン事務所副代表(Ms. Vidhya GANESH,Deputy Representative,United Nations Children's Fund Afghanistan Country Office)(下記(3)及び(4))との間で,以下4案件(合計70億1,300万円)の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。
    • (1)紛争予防・平和構築無償資金協力「住民参加型の都市開発支援計画」(The Community-Based Municipal Support Programme),UN-Habitat連携案件,供与額:21億8,700万円
    • (2)コミュニティ開発支援無償資金協力「カブール県,バーミヤン県及びカピサ県における灌漑施設改修計画」(The Programme for Improvement of Irrigation Systems in Kabul, Bamyan and Kapisa Provinces),FAO連携案件,供与額:21億3,700万円
    • (3)コミュニティ開発支援無償資金協力「母子保健改善計画」(The Project for Improvement of Maternal, Newborn and Child Health),UNICEF連携案件,供与額:13億9,800万円
    • (4)コミュニティ開発支援無償資金協力「基礎教育環境改善計画」(The Project for Improvement of Quality of Basic Education through Application of Child Friendly Schools Approach),UNICEF連携案件,供与額:12億9,100万円
  2. 案件概要
    • (1)「住民参加型の都市開発支援計画」(UN-Habitat連携)(供与額:21億8,700万円)
       この協力は,首都カブールをはじめアフガニスタンの政治・経済の拠点である国内5県5市(カブール市,ヘラート市,マザリシャリフ市,カンダハール市,ジャララバード市)において,市役所の機能強化と道路・排水溝等のインフラ整備を住民参加型で行うものです。アフガニスタンでは,急速に都市化が進んでおり,2050年には人口の半数が都市部に住むと予測されています。急速な都市化によって,居住環境の悪化,大気汚染の深刻化,失業率の高止まり等の問題が顕在化しています。このような状況下,同国政府は都市部の安定と発展を目的として,国際社会の支援を通じて都市部の行政を担う市役所の機能強化と都市インフラの整備を図っています。我が国もUN-Habitatとの連携を通じて市役所の機能強化と都市インフラの整備に寄与してきました。
       この協力により,都市開発を担う市役所の機能が強化されるとともに,人口の急増する都市部のインフラが整備され,都市部の安定と発展が促進されることで,同国の平和と安定に貢献することが期待されます。
    • (2)「カブール県,バーミヤン県及びカピサ県における灌漑施設改修計画」(FAO連携)(供与額:21億3,700万円)
       この協力は,カブール県,バーミヤン県及びカピサ県における灌漑施設の改修,農家に対する水管理や作物栽培等に関する技術指導及び同国の農業農村開発を担う水エネルギー省の計画立案,事業実施・管理能力を強化するための研修等を実施するものです。アフガニスタンでは,人口の8割が農村部に居住し,農業はGDPの約3割を占める主要産業ですが,長期に亘る内戦により社会経済インフラは荒廃しており,国際社会の継続した支援が不可欠な状況です。また近年,カブール首都圏は,難民の帰還や首都圏の開発により,人口増加が著しく,首都圏への食料供給体制の確保が不可欠です。
       この協力により,約25,000ヘクタールの農地の生産性が向上し,約420,000人の農家の生計が向上し,生活環境が改善するとともに,水エネルギー省の水資源開発・管理能力が向上することで,アフガニスタンの食料安全保障が改善し,同国の持続的・自立的発展に貢献することが期待されます。
    • (3)「母子保健改善計画」(UNICEF連携)(供与額:13億9,800万円)
       この協力は,5県(バーミヤン県,バドギス県,ウルズガン県,ヘルマンド県,カンダハール県)における母子保健環境を改善するため,コミュニティレベルの理解促進活動及び搬送システム構築,母子保健医療環境の改善等を行うものです。アフガニスタンでは,若年出産,妊産婦検診受診率が低いこと,無介助分娩及び自宅分娩が多いこと,並びに医療機関への交通手段がないこと等により,毎年300人以上の女性が妊娠に関連する原因で死亡しています。特に地方においてはその割合が都市部の5倍になります。また,5歳児未満の死亡率は都市部の57人/1000人に対して,地方では91人/1000人となっており,アフガニスタンにおける母子保健環境を改善するためには,特に地方部と都市部の医療格差を解消することが早急に求められています。
       この協力により,対象地域において,妊産婦が安心して出産できる環境が整備され,妊産婦の死亡率を減少させるとともに,乳幼児の生存率を高めることが期待されます。
    • (4)UNICEF「基礎教育環境改善計画」(UNICEF連携)(供与額:12億9,100万円)
       この協力は,11県(カブール県,バーミヤン県,ダイクンディ県,パクティカ県,パクティア県,ゴール県,バドギス県,カンダハール県,ヘルマンド県,ザブール県,ウルズガン県)における基礎教育環境を改善するため,教員等の学校関係者に対し,「子供に優しい学校(Child Friendly Schools:CFS)」アプローチに基づく研修を行うとともに,学校インフラを整備し,また,教員養成学校のカリキュラム及び指導教材にCFSアプローチを取り入れることによって,将来の教員がCFSの理念を身につけることを図るものです。
       アフガニスタンでは,最近では教育の質の向上に努めており,教育の質に焦点を当てた支援は今後のアフガニスタンの教育支援において益々重要な位置を占めます。ユニセフの提唱する「子供に優しい学校(CFS)」は,すべての学校が,1)安全で健全かつ子供を保護する環境が整っており,2)しかるべき訓練を受けた教師がおり,3)子供の学習,才能を十分に伸ばせるような適正な身体的,情緒的,社会的条件を備えている状態を目指すものです。このようなアプローチをアフガニスタンにおいて実現することは,基礎教育の質を改善し,就学率の向上に繋がるものと期待されます。
       この協力により,対象校1,500校において,教員の質の向上及びインフラ整備が進められ,約945,000人の児童の学習環境の改善,学習達成度及び就学率の向上が期待されます。
(参考)
  1. アフガニスタン・イスラム共和国の人口は3,532万人(2011年,世銀)。面積は65.2万平方キロメートル(日本の約1.7倍)。
  2. プロジェクトサイト位置図(PDF)

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