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麻生外務大臣訪問時の日本の対パレスチナ支援
(ファクト・シート)

平成19年8月15日

  1. 日本はイスラエルと共存共栄するパレスチナ国家の建設によってのみ、中東和平は達成されるとの認識の下、1993年以降、人道支援、「国造り」に向けた改革支援、関係者の信頼醸成、パレスチナ経済自立化支援を柱に対パレスチナ支援に取り組んでいる。
  2. 今般、麻生外務大臣はアッバース・パレスチナ自治政府(PA)大統領及びファイヤードPA首相兼外務庁長官兼財務庁長官とそれぞれラマッラにおいて会談した際、総額約2000万ドルの対パレスチナ支援を表明した。その具体的内容は以下のとおり。

    (1)PA内閣に対する直接支援(1121万ドル)

     我が国は、イスラエルとの和平路線を堅持するアッバースPA大統領を一貫して支持しており、和平及びパレスチナ自治区の安定に尽力するPA新内閣を支持する。その観点から、今般、PA内閣に対する直接の支援となる「ノン・プロジェクト無償資金協力」1121万ドルを決定した。本資金は、PA内閣によりパレスチナ自治区における経済的困難の緩和に資する物資の購入に充てられ、自治区の経済状況の改善に貢献することが期待される。
     また、今後も、PA新内閣が推進する経済・治安分野の改革を支援するとともに、我が国の独自の取組である「平和と繁栄の回廊」構想の具体化を推進すべく、改革・人材育成支援、水資源管理や道路等のインフラ整備といった案件を検討していく旨表明。

    (2)ガザ地区も含めたパレスチナ自治区に対する人道支援(934万ドル)

     パレスチナ自治区の人道状況、特にガザ地区においては失業率約35%、貧困率70%以上と依然劣悪な状況にある。ガザ地区の孤立を放置することは出来ず、将来の和平プロセスに取り込んでいくためにも、緊急の対応としてガザ地区も含め、以下の人道支援を決定した。

    (イ)UNRWA経由「食糧援助」(431万ドル)

     我が国はUNRWAを通じ、ガザ地区、西岸地区等における重貧困者のパレスチナ難民を中心に、約35万人分に対する食糧援助を実施。本件支援により、小麦粉等(内、約60%がガザ地区向け)が調達される予定。

    (ロ)WFP経由「食糧援助」(198万ドル)

     我が国はWFPを通じ、ガザ地区及び西岸地区のパレスチナ住民(非難民)に対する食糧援助を実施。本件支援により、小麦粉等(内、約60%がガザ地区向け)が調達される予定。

    (ハ)FAO経由「貧困農民支援」(164万ドル)

     ガザ地区及び西岸地区では、紛争や内部の対立により、農地が荒廃し、また人や物資の流通制限等により農業生産性が低下し、農家の生計が悪化している。その状況を改善するため、我が国はFAOを通じ、露地園芸の復旧・強化、貯水槽・貯水池の建設、家畜小屋や井戸の再建、栽培・飼育・マーケティング等に関する能力向上支援等を実施。本件支援によりガザ・西岸両地区の中小規模の農家約2,000戸、約1万2,000人の生活状況改善が期待される。

    (ニ)UNICEF経由「パレスチナ人児童の感染症対策改善計画」(115万ドル)

     ガザ地区及び西岸地区では、PAの財政難もあり、児童に対する十分なワクチン投与が困難な状況にある。その状況を改善するため、我が国の資金協力により、UNICEF及びPA保健庁はポリオ・ワクチン約89万ドース、BCG約23万ドース及び注射器等関連機材を購入。本件支援によりガザ・西岸両地区の新生児約11万人への予防接種が実施される。

    (ホ)草の根無償資金協力による学校施設建設や村落水道整備(26万ドル)

     西岸地区において、住民の福祉向上のため、地方自治体を通じ、ジェニン県内学校校舎建設事業1件、同教室増設事業1件を、ナブルス県内村落の上水道拡張事業1件を、草の根無償資金協力(各8.5万ドル)により支援することを決定。
     また、ガザ地区においても、今後の情勢次第では、現地NGOや地方自治体を通じ、住民の福祉向上のための草の根無償資金協力を検討していく旨表明。

    (3)「平和と繁栄の回廊」構想の具体化に資する支援(132万ドル)

     西岸地区のヨルダン渓谷を中心とした経済開発を進める上で、西岸地区内の人、物の移動の促進が必要条件となる。その観点から、ヨルダン渓谷へのパレスチナ人のアクセスが制限されている中、物流促進に緊急に対応するため、我が国はUNDPを通じ、ヨルダン渓谷の中心都市であるジェリコと、西岸地区中心部に位置するタイベを結ぶ道路を整備する「ジェリコ・タイベ道路整備計画」約132万ドルの実施を決定した。

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