国別地域別政策・情報 国別プロジェクト概要

日本のODAプロジェクト

ケニア共和国 -Republic of Kenya-

技術協力
ナクル地域における環境管理能力向上
案件開始日 平成17年2月
案件終了予定日 平成21年2月



1.要請背景  ナクル市はナイロビから約160km北西に位置する人口36万人を有するケニア第4の都市である。古くからインド洋岸都市モンバサから首都ナイロビを経由してビクトリア湖畔の都市キスムへと通じる交通の要衝として、また周辺農産物の加工・流通の拠点として都市機能を拡大させてきた。1963年の独立以降、大規模プランテーションの衰退により周辺地域農民が移入、それに伴ない市北部の商工業地域面積は過去30年間で9km2から29km2に急増し、バッテリー、皮革なめし、繊維、食料品加工、蚊取線香(除虫菊)など水質汚濁物質を排出する工場が増加した。その結果、慢性的な水不足や未処理の生活排水・産業廃水による水質汚染が解決すべき問題となっている。一方、ナクル市は、マウ山脈の裾野に広がる森林、ナクル湖に流入するいくつもの河川を含む1,600km2のナクル湖集水域の中にあり、市民生活はその集水域の森林、川、地下水といった自然資源を享受することで成立している。しかし、ナクル市民と集水域内の違法住民の数が増加することで森林は伐採され、集水域の森林面積は過去30年間で47%から15%に減少、土壌浸食による森林地域の保水力低下が心配されている。また、水資源が汚染されているため住民は感染症の危険にさらされており、乳幼児の死因第一位は腸チフスという状況である。
また、ナクル市の南部にはフラミンゴの生息地として世界的に有名なナクル湖がある。ナクル湖はフラミンゴだけでなく、450種の陸生鳥類と70種の水鳥、さらに各地からの渡り鳥が生息する希少さからラムサール条約の登録地となっている。また、公園内には野生生物公社の保護管理のもとに他の大型動物も生息しているため、ケニアでも有数の来園者数を誇る国立公園となっている。しかしながら、ナクル湖は集水域の中で一番標高が低いところに位置するため、集水域内の市民生活排水や産業廃水、汚染物質は河川流入と地下浸透により湖に集中しやすく、さらに閉鎖湖であるがために流入した汚染物質は湖に蓄積されやすい。よって、湖を中心とする生態系において、ナクル市及び集水域からの汚染物質流入の影響が懸念されている。以上のように、ナクル市内の水質汚染と集水域全体の水資源の劣化は、今後の市民生活と産業活動の持続的発展や希少な生態系・自然資源の保全に関わる重要な問題である。このような中、ナクル市役所は2001年11月に環境局を新設し、ナクル湖流域における主要汚染源管理(工場廃水、生活排水、廃棄物等)を含めた環境管理に取り組もうとしているが、組織としては未だ脆弱であり、環境行政や環境管理の能力の向上が必要とされている。そして、ナクル市役所が環境管理をより効果的・効率的に執行するためには信頼性の高い科学的データの収集・管理が不可欠であるが、汚染源・汚濁化学物質の特定、定期的な水質モニタリング、湖の水収支などの調査・データ管理は未だ技術的にも経験的にも不十分な状態である。ナクル湖流域で活動するNGOや他援助機関は、森林保全、流域土地利用や廃棄物管理、野生生物保護などの環境管理に関わる活動を行っているが、各々が散発的で連携が不十分であったため調査結果や活動成果が蓄積されにくい状況にある。この状況を改善するためにも、ナクル市役所がイニシアティブを持ってより効果的かつ持続可能性をもってナクル市およびナクル湖流域の環境管理に取り組むことが期待されている。これらの状況をふまえ、ケニア政府はナクル市役所を実施機関とするナクル市の環境管理能力を向上させることを目的とした技術協力プロジェクトを要請した。なお、これまでのナクル市における我が国の協力として、1987年からの円借款による給水プロジェクト、1994年からの無償資金協力での下水道施設修復・拡張が行われた。その下水道施設修復事業の一環として、水質モニタリンOを実施するための水質検査所がナクル湖国立公園内に建設された。
2.協力活動内容 1.1 既存のモニタリングデータを取りまとめる。
1.2 定期モニタリングプログラムを設計する。
1.3 主要関連機関と共同で特別モニタリングプログラムを計画する。
1.4 設計した定期モニタリングプログラム実施のために必要なラボの改善を行う。
1.5 定期モニタリングプログラムを実施する。
1.6 特別モニタリングを主要関連機関と共同で実施する。
1.7 水質モニタリングに関する訓練を行う。
1.8 水質モニタリングのデータベースを開発する。
1.9 データベースマネジメントの訓練を行う。
1.10 定期モニタリングプログラムのレビューを行う。
1.11 特別モニタリングのレビューを行う。
1.12 モニタリングプログラムの実施状況の評価を行う。
2.1 環境管理の訓練を行う。
2.2 環境管理ツール(環境状況報告書、マニュアル等)を開発する。
3-1. 流域に関する既存のデータを収集し、編纂する。
3-2. 流域に関するGISデータベースを開発する。
3-3. 流域に関する既存のデータを統合的に分析する。
3-4. 利害関係者(ステークホルダー)で行う実際的で持続可能な流域管理活動の発掘のための調整を行う。
4-1. 教育・啓発プログラムを設計する。
4-2. 教育・啓発活動に携わるプロジェクト関連のスタッフの能力を向上させる。
4-3. 教育・情報・広報のための資料・教材を開発する。
技術協力
西部地域保健医療サービス向上プロジェクト
案件開始日 平成17年3月
案件終了予定日 平成20年3月



1.要請背景  ケニア西部地域(ニャンザ州及びリフトバレー州の一部)は、マラリアやHIV/エイズ等の感染症が多く、人口に比べ社会資本は少なく、保健医療施設は老朽化しているなどの問題を抱えている。そのような状況の中、ケニア政府は『国家保健医療政策1999~2004 (The National Health Sector Strategic Plan 1999~2004)』を策定し、地方への権限委譲、人員の適正配置等を重要課題に掲げ、ヘルスセンター(HC)等の第一次保健医療施設から県病院等の第二次保健医療施設へのリファラルシステムの構築及び医薬品・機材の使用も含むマネージメント機能を中心に、地域保健医療サービスの向上を目指している。また、ケニアにおける妊産婦死亡率は、出生10万件に対して1,000(WHO, UNICEF, UNFPA.2000)と報告されており、世界で最も高い国の一つである。対象地域の妊産婦死亡率に関する正確なデータは無いが、同地域を含む二州の施設分娩率36.0%は全国平均40.1%と比較し低い数値(Kenya Demographic and Health Survey 2003)となっており、妊産婦ケアも他地域に比べ劣悪な状況となっていると考えられる。出産時の大量出血など産科合併症が主原因である妊産婦死亡が高い背景には、妊産婦自身や伝統的産婆(TBA)が危険な兆候を認識し、医療機関を受診することの遅れ、HCなど第一次保健医療施設における基本的な産科ケアやリファラル体制の不備、病院における包括的産科ケアがタイムリーかつ適切に提供されないことがある。50%以上の出産が自宅で行われていることから、コミュニティと第一次保健医療施設との密な連携を進め、施設分娩率及び熟練助産率を向上させる必要性が高まっている。
2.協力活動内容 (1) 妊産婦ケアサービスが改善される。 成果1: HCレベルで妊産婦ケアサービスが向上する。
活動:
1-1.妊産婦ケア研修システムの確立、機能させる。
  1-1-1.研修準備を保健省リプロ課(DRH)およびDHMTと共同で行う。
  1-1-2.HCスタッフに対する妊産婦ケア(Life-saving skillなど)研修を実施する。
  1-1-3.研修のフォローアップ、On the Job training による再研修を行う。
1-2.施設整備改修、機材配備、運用体制の確立施設機材計画策定、施設改修、資機材調達、マニュアルに基づくメインテナンスを実施する。
<指標・目標値>
熟練助産を提供するHC、HCスタッフの数(割合)の増加
Maternal Death Review(MDR)結果検討会の開催数
研修完了者の総数、各HCの完了者数
フォローアップ実施回数およびフォローアップを受ける研修者数、業務評価
コミュニティのケア満足度 施設改修、機材供与を受けたHCのうち、施設・機材が1,2年後に機能しているHC数
維持管理の研修を受けたスタッフ数、定期メインテナンス実施頻度
成果2: コミュニティレベルで妊産婦ケアへの適切な対応が行われる。
活動:
2-1.活動候補地域において家庭インタビューを含めたコミュニティ調査を行う
2-2.HCスタッフおよびCORP(Community Resource Person)
注)、HC管理コミッティメンバーに対して、HCへのリファラルや地域住民の保健学習支援のための研修を実施する。
2-3.CORPによる地域住民への保健学習の実施、コミュニティによるリファラルのための搬送手段、資金確保を支援する。
2-4.コミュニティ活動をHCスタッフによるCORPへのスーパービジョンを通してモニターする。
2-5.モデル地域での経験を文書化する。
2-6.モデル地域での経験を、住民自身やCORP同士の現地交流に基づく相互学習、DHMTのサポートにより、他の地域へ展開していくことを支援する。
注) CORP(Community Resource Person) は伝統的産婆(TBA)、CHW(Community Health Worker)、Village Health Committee memberなどを含む地域人材である。
<指標・目標値>
研修を受けたCORP数、CORPによる分娩付き添い、リファラル回数
住民の保健学習実施回数、参加住民数、妊産婦ケアの認識度
住民やCORPの相互学習ワークショップ、現地交流の実施回数
展開後、コミュニティ活動を実施するコミュニティ数
(2) HCにおいて診療(特に妊産婦ケア)を支援する運営管理機能が強化される。
成果3: リファラル・システム(HC、県病院間)が整備され、機能する。
活動:
3-1.県病院とHCにおけるリファラルに関するインフラを整備する。県病院とHCへのコミュニケーション機材の設置、県病院の搬送用車両の確保、コミュニケーション、搬送の運営、維持管理のための研修の実施
3-2.リファラル・ガイドラインを作成し、その研修を行う。
3-3.リファラル・ケース検討会を実施し、リファラルの質をモニターする。
<指標・目標値>
合併症を持つ妊産婦の病院へのリファラル数の上昇
リファラルのための通信、搬送利用記録、維持管理実施実績
リファラル研修参加者数、リファラル・ガイドラインの利用度
リファラル・ケース検討会の頻度
成果4: HCにおいて保健医療情報システム(HIS)が整備され、診療、運営管理の向上のために有効に利用される。
活動:
4-1.HCの保健情報の記録管理/報告の現状、課題を明確にする。
4-2.情報の記録管理/報告の簡略性、信頼性、利用度を高める研修を行なう。
4-3.県レベルのHC保健情報の整理、HCへのフィードバックを促進する
4-4.HISのモニタリング・評価への利用を支援する。
<指標・目標値>
記録報告の煩雑度の減少 HISの診療/運営管理への利用度上昇
モニタリング評価への利用度上昇 HIS研修実施回数、参加者数
成果5: HCでの医薬品類管理能力が向上する。
活動:
5-1.HCにおける医薬品類の供給、在庫、処方の調査を実施する。
5-2.HCにおける在庫管理台帳、処方台帳を整備し、適切な利用を支援する。
5-3.県倉庫からHCへの医薬品類配送システムの確立を進める。
5-4.HCにおける治療ガイドラインの利用に基づく適正処方の技術指導を行う。
<指標・目標値>
医薬品類の在庫切れ率減少
在庫管理台帳、処方台帳の整備/利用度評価
HCへの配送頻度 HCでの治療ガイドラインに基づく処方の割合
成果6: DHMT(県保健局)によるHCへの支援・監督システムが強化される。
活動:
6-1.DHMTによるHCへの支援・監督の現状、課題を明確にする。
6-2.DHMTによるHC支援・監督強化のための計画を策定する。
6-3.HC支援・監督強化のための研修やロジスティクス整備を支援する。
6-4.DHMTのHC支援・監督に対するモニタリング、フィードバックを支援する。
<指標・目標値>
DHMTによるHC支援・監督の実施頻度、効果の質的評価
HC運営の質的評価
技術協力
中等理数科教育強化計画フェーズ2
案件開始日 平成15年7月
案件終了予定日 平成20年6月



1.要請背景  ケニア共和国の国家開発計画では2020年までに産業構造を工業化することを目標として掲げている。しかしながら、ケニアの初・中等教育における理数科教育の実態は低迷しており、その改善が緊急の課題として取り上げられてきた。かかる状況下ケニア政府の要請を受け、我が国は中等理数科現職教員研修を通じた理数科教育の改善を目標とする「中等理数科教育強化計画(SMASSE)」を9ディストリクトを対象として実施した(1998年7月~2003年6月)。
この結果、現職教員研修システムが中央及び地方で構築され、その有効性及び持続発展性が終了時評価で確認されている。地方(ディストリクト)における研修についても、一部ケニア側の経費負担により実施されるなど経済的持続性も高いと判断された。また、非対象地域と比較した場合、教員研修による授業改善(ASEI/PDSI注)のインパクトが認められた。
  プロジェクトの成果はケニア全国に広まり、ケニア中等学校校長会が2002年総会において、教育科学技術省に対して本研修を全理数科教員に対して実施するよう要望するまでに至った。他方、当該プロジェクトが実施する活動(ASEI/PDSI)は、理数科教育の低迷というケニアと同様の問題を抱えるアフリカ諸国へも普及されるべきであるという要望が高く、2001年にSMASSEプロジェクトを事務局として域内連携ネットワーク「SMASSE-WECSA」が設立された。
フェーズ1プロジェクトの成果を踏まえて、ケニア政府から我が国に対してケニア国内における研修事業と域内ネットワークの強化を2つの核とする「中等理数科教育教科計画フェーズ2」に対する支援が要請された。基礎教育・理数科教育への支援及びアフリカ域内連携の推進というプロジェクトは、我が国の援助方針に完全に合致しており、計画として実施妥当性も高いと判断されたので「中等理数科教育強化計画フェーズ2」を2003年7月から5年間実施することとした。
注)ASEI/PDSI(Activitiy, Student, Experiment, Improvisation/Plan, Do, See, Improve)
  本プロジェクトで導入した授業改造アプローチの理念を示すもの。教師中心ではなく生徒中心で、かつ生徒の到達度を確認するツールとしての実験・実習の実施及び教師の創意工夫の促進を目指す。ASEIアプローチに基づく授業の計画、実施、評価、改善というサイクルの実践を併せて啓発している。
2.協力活動内容 a)ケニア国内
  ・理数科科目(物理、生物、化学、数学)の現職教員研修に関するカリキュラム開発、教材開発、地方研修指導員(ディストリクトトレーナー)の養成を行い、中央研修を実施すると同時に、モニタリング・評価を行う。
  ・ケニア全ディストリクトにおいて、地方研修システムを構築し、地方研修を実施する。
b)域内連携
  ・SAMSSE-WECSAメンバー国の研修指導者を対象とする研修のためのカリキュラム及び教材を開発し、研修を実施すると同時に、モニタリング・評価を行う。
  ・メンバー国との合同ワークショップ開催、ニュースレター等の情報発信、国際会議の開催等を行う。
  ・メンバー国の中等教育担当者に対し、理数科の教育・学習に関するASEI/PDSIアプローチの啓蒙・啓発活動を行う。

中央研修

地方研修
写真提供/JICA  
技術協力
半乾燥地社会林業強化計画
案件開始日 平成16年3月
案件終了予定日 平成21年3月



1.要請背景  ケニア国に対する我が国の援助重点分野の一つとして、環境保全が挙げられており、中でも半乾燥地における森林保全については、2002年まで17年間に渡って協力を実施している。
  同国は、国土の8割が半乾燥地または乾燥地で、森林面積は国土の1.7%である一方、国内総エネルギーの7割以上を薪炭に依存している。とりわけ近年では、人口増加に伴う薪炭の需要増加に加え、耕地の拡大、過放牧、旱魃などの条件が相まって、森林資源の荒廃、土地の生産力低下、自然環境の劣悪化が進んでおり、問題が深刻化している。
現政権は、森林を含む天然資源管理に対する関心が高く、当国Economic Recovery Strategy 2003-2007並びに与党の公約等で乾燥地・半乾燥地に焦点を当てると共に、林業を含む生産セクターの政策強化を重点課題としている。また、環境天然資源省及びその内部担当部局である森林局においても、ケニア国における社会林業の実態である農地林業の普及強化を施策の重点課題としており、本要請はケニア国の国家政策・開発計画とも合致する。
我が国のケニア森林研究所に対するこれまでの援助を通して、技術開発面では一定の成果をおさめ、農家においても農地林造成が促進されつつある。この成果を踏まえ、森林保全及び普及を担う森林局をCPとして、この成果を農民に広く普及し、面的な拡大を図るための森林局としての体制をたてるための支援を実施している。また、自然環境の保全と農家の自己収入の拡大を図るアプローチは、アフリカにおける半乾燥地のモデルケースとしての観点からの意義も大きい。
  これまでのキツイ県における成果を活かし、半乾燥地における農地林の目に見える効果を農民に明示しつつ、持続可能な農地林が拡大する。また、ケニア森林局の組織改編に沿って、特に半乾燥地に対する普及計画が策定され、組織能力が強化される。さらに、これまでの支援及び現在実施中の技プロの成果をアフリカ諸国に普及する。
  「半乾燥地における農地林活動強化」技術協力プロジェクトは、これまでの協力の成果をキツイ県で確立強化しつつ、ムベレ及びタラカ県においても実施するとともに、森林局本部の体制整備・強化及びキャパシティービルディングを行う。
  「アフリカ社会林業適用強化」第三国研修においては、同国におけるこれまでの支援及び現在実施中の技プロの成果を国際機関とも協力しつつアフリカ諸国に普及する。
  「情報共有システムの構築」プロジェクトでは、研究成果や実施事項の広域情報発信を目的として、サービスプログラムセクションにコンピュータ技術協力隊員を配置し、研究成果の情報発信のためのインフラ整備、他国の環境保護団体からの情報入手手段の確立、内外における関連情報の共有環境構築を行い、今後の方針策定や業務効率化を目指す。
  ケニア国は、国土の8割が半乾燥地または乾燥地であり、森林面積は国土の3%以下である。他方、国内総エネルギーの7割以上を薪炭に依存しているなど、森林資源は不可欠となっている。近年では、人口増加に伴う薪炭の需要増加に加え、耕地の拡大、過放牧、旱魃などの条件が相まって、森林資源の荒廃、土地の生産力低下、自然環境の劣悪化が進んでいる。
我が国は、貧困層が多い半乾燥地における支援(キツイ県内3郡)に焦点を絞り、主にケニア林業研究所(KEFRI)に対し、17年間に渡って林業分野における協力を実施している。これら支援対象地においては、有用樹種の育苗技術が確立され、対象農民においても農地林造成に関する理解及び実施が促進されつつある。今後、この成果を他の半乾燥地において展開するためには、技術移転及び情報普及を展開する為の前提条件として、ケニア国の普及組織体制及び森林普及サービスが不可欠である。しかしながら、これら体制及びサービスの供給は十分とは言えない。また、農家において継続的な農地林造成を促すためのインセンティブとして植裁木から得られる現金収入が大きな鍵であり、その事業化に対する技術的対応がこれからの課題として残っている。
2.協力活動内容 1-1 :現状分析のためのベースライン調査を実施する。
1-2 :研修及びOJTを通じ、森林局職員の能力強化を行う。
1-3 :社会林業普及のための計画立案、実施、評価・モニタリングにかかる実践的ガイドラインを作成する。
2-1 :現状分析のためのベースライン調査を実施する。
2-2 :普及職員の活動を支援する。
2-3 :個人農家及び農家グループ自身のイニシアティブによる社会林業及び関連する活動の計画立案、実施、評価を支援する。
3-1 :現状分析のためのベースライン調査を実施する。
3-2 :地域に存在する森林・林業に関連する有用な知識・経験を発掘する。
3-3 :農民に役立つ技術の適応活動を行う。
4-1 :有用情報の現状分析のためのベースライン調査を実施する。
4-2 :情報共有化の手法を多様化する。
4-3 :ワークショップ及びセミナーを開催する。

(1)アカシアの樹木から2袋の木炭がとれる。農民は1袋40kg程度を100円で仲買人に売る。

(2)「教わる」から、自分たちでアイデアを出し合って「考える」へ

(3)ガイドライン、マニュアルを中央と地方で決める。
 
写真提供/JICA  
技術協力
アフリカ人造り拠点フェーズ2
案件開始日 平成14年8月
案件終了予定日 平成19年7月



1.要請背景  1998年10月に東京で開催された第2回アフリカ開発会議(TICADII)で採択された「行動計画」において、我が国政府は、20年以上にわたり高等教育機関としての確立・整備を進め、大きな成果をあげてきたジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)に対する協力をベースに、アフリカ地域の人造り拠点を設置し、アフリカの人材育成にかかる支援を行っていくことを提言した。この提言に基づき、2000年8月から2年間の準備フェーズ(フェーズ1)が開始され、共同研究開発、研修・普及、情報整備・発信の3機能を中心とする組織体制整備が進められ、フェーズ1に引き続き2002年8月からは、これら機能を本格的に展開するフェーズ2を実施中である。なお、本プロジェクトは、ケニア、タンザニア、及びウガンダ3ヵ国を対象とする広域プロジェクトとして位置付けられている。
2.協力活動内容 1-1 知識・技術情報を有するAICADリソースセンターを設立する
1-2 研究開発支援のための運営システム(審査基準、TOR、モニタリング・評価システムの整備を含む)を確立する
1-3 対象とする知識・技術パッケージと既存の知識・技術パッケージ、さらに両者の間のギャップを明確にする
1-4 研究活動の実施・促進
1-5 研究活動のモニタリング・評価
2-1 意識向上のための情報パッケージを作成し、意識向上のための会議を開催する
2-2 新しい参加機関との協力合意する
2-3 既存のパートナー機関とMOUを締結する
3-1 他地域における協力機関候補を発掘する
3-2 他機関との協力プログラムを作成、計画し実施する
4-1 発掘・作成された知識・技術パッケージを、普及・啓発パッケージへと転換する
4-2 全ての普及・啓発パッケージをAICADデータバンクに入力・蓄積する
4-3 普及・啓発パッケージを、実際の普及・啓発結果に基づいて見直し・修正する
5-1 AICAD普及・啓発パッケージを活用・移転する普及機関を選定し、研修する
5-2 上記普及機関の活動をモニターし、評価する
5-3 対象コミュニティーにおける貧困削減効果を測定する
6-1 関係機関やコミュニティーとの間に包括的な情報共有システムを整備する
6-2 毎年転換・移転される知識・技術パッケージについて、AICADの知名度を高めるための活動を促進する
7-1 AICADの次期フェーズに参加可能性のある国を発掘する
7-2 新規参加予定国政府との交渉を行う
8-1 組織構成及びスタッフ雇用計画を作成、実施及び改定する
8-2 人材に関する効果的な方針を設定する
8-3 適切なガバナンスの仕組みを設計し、承認を得、実施する
8-4 政府及びドナー諸国に対し、資金的支援獲得のための効果的なロビー活動を実施する
8-5 自主財源活動(IGA)経営計画を作成・実施する
8-6 モニタリング・評価システムを構築し、実施する

AICADが支援している研究の1つ。カレンジン族の伝統的な牛乳の保存・加工技術を応用し、乳製品生産に成功している。写真はヒョウタンを使った伝統的保存技術。中央の青年が手に持っている小枝でヒョウタン内部に炭をこすりつけ、ヒョウタンの中に煙を閉じ込め保存性を高める

セミナーなどに利用される新施設
写真提供/JICA


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