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在コスタリカ日本大使館における本邦自治体との取組(在コスタリカ日本国大使館)
在コスタリカ日本国大使館
総務班(地方連携担当)
日本とコスタリカを含む中米5か国(同国に加えグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア)は2025年2月に外交関係樹立90周年を迎えます。
この間に、コスタリカと本邦自治体の間で2つの姉妹都市提携がされています。1つは岡山県岡山市(1969年:首都サンホセ市)、もう1つは宮城県気仙沼市(1977年:太平洋の有数な漁港の1つプンタレナス市)です。
これらの姉妹都市交流に加え、東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、長野県松川町が同国のホストタウンとなり(2016年)、以降、いずれの自治体も工夫をこらした交流活動を行っています。
これらの交流関係を持つ都市の最近の活動について、以下のとおり紹介します。
天皇誕生日祝賀レセプション

2024年2月、駐コスタリカ日本大使公邸で天皇誕生日祝賀レセプションを開催しました。このレセプションは天皇陛下の誕生日を招待者の方々とお祝いすると同時に、日本文化や地方自治体などを紹介する機会です。そのため、前述の自治体の方々から、各地の魅力や日本文化を伝えるパンフレットや動画などを提供いただき、各地の風土・風習などへ関心を寄せてもらうための展示ブースを設置しました。招待者の方々には、自治体レベルでも両国が友好関係を築いていることを知っていただく機会となりました。
ホストタウン、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリパラ)を越えて

松川町は、ホストタウンとなる2016年以前より、「生活改善」に関するJICA海外研修員の受入を通じて、コスタリカとの縁ができました。ホストタウンとなって以降は、スポーツ(コスタリカ人柔道選手との交流)、文化(スペイン語講座、コスタリカ料理教室など)の交流を駐日コスタリカ大使館とも連携しながら積極的に実施しています。東京オリパラ以降もコスタリカとの交流は続いており、コスタリカ・オリンピック委員会との親書の交換、男子サッカーW杯2022年カタール大会、女子サッカーW杯2023年オーストラリア・ニュージーランド大会の際には、オンラインでサラス駐日コスタリカ大使臨席の下、町内でパブリックビューイングを行うなど様々な取組を行っています。
また、前述の天皇誕生日祝賀レセプションでは、町内の小・中学生などが「和のおもてなし」として、心を込めて折り紙で作成した鶴や兜などを提供してくれました。その他、町内の書道の先生が書いた「友好」の書、かわいらしい「笑い文字」のアートなどもあり、招待客の方々も大変喜んでおり、「おもてなし」の心が伝わったと感じました。
東京オリパラを機に育んだ、コスタリカと松川町の強い絆は、両国の友好関係の土台となる非常に貴重なものであると考えております。この交流が継続し一層発展することが期待されます。
新たな自治体交流の兆し

2024年3月、コスタリカ在住の日本食料理人への「日本食普及の親善大使」任命伝達式の実施に際し、総合的な日本食普及を目指し、同料理人が総料理長を務めるコスタリカ有数の日本食レストラン「富士」と同レストランを所有するホテル・コロビシ(注:オーナーは日本人)と共催で、コスタリカ政府、調理師学校やメディアを対象にしたレセプションを開催しました(アーノルド・アンドレ外相、ナジュリベ・グアダムス文化・青年相などが臨席)。
このレセプションでは、新潟市に所在する酒造会社「石本酒造」から様々な種類の日本酒(「越乃寒梅」シリーズ)の提供があり、日本酒(注)の紹介を行うことができました。
日本酒の輸入が皆無に近いコスタリカでは、この日本酒紹介活動は非常に貴重な機会となり、来場者からは日本酒の種類の多さ、味の違いに驚いていました。
またこの機に合わせ、石本酒造が所在する新潟市より、日本酒にテーマを置いた同市の観光促進動画やパンフレットの提供をいただき、日本の地方の魅力(観光資源や名産品)の発信を行いました。
なお、上述のレセプションは、日本の自治体や企業との協力により、日本の地方の観光促進だけではなく、企業の海外進出のきっかけを創出することにもなりました。
このように、コスタリカでは、これまで全く中米諸国とは関係の無かった日本の自治体や企業と協力し、国と国の大きな交流に限らず、自治体、国民との直接的な交流を通した、日本の魅力の発信が活発に行われています。
(注)同レセプションの式典挨拶で、有吉駐コスタリカ日本大使が、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への提案について言及し広報を行いました。