グローカル外交ネット
ポルトガルにおける日本関連団体・個人のネットワーキング
JapanNET会合の開催



在ポルトガル日本国大使館
外務省では,在外公館と任国管轄内の海外自治体や現地日系人団体等との間で,交流強化や課題について意見交換を実施します。2月4日(火曜日),在ポルトガル日本国大使公邸において,第17回JapanNET会合が開催されました。JapanNETは,遡ること十数年前,当時の原大使のイニシアチブにより日本関連団体・個人を束ねるネットワーキングとして立ち上げられ,以来,会合は参加団体間の情報交換・親睦交流の場として回を重ね,今回第17回開催に至りました。計21の日本関連団体が参加した今年2020年は,江戸幕府が鎖国を終え間もなく締結した日葡修好通商条約から160年目に当たり,「日本ポルトガル修好160周年」として日本大使館主催及び各団体・個人のイニシアチブによる様々な周年イベントが開催される予定となっています。ちなみに,去る1月20日,大使公邸に日本ポルトガル議員友好連盟の衛藤征士郎会長(元衆議院副議長)を団長とする訪問団一行とポルトガルの各界代表者をお招きし「修好160周年オープニングセレモニー」を開催,墨絵で両国友好を描いた永田充氏によるデモンストレーションで締めくくり正式に一連の記念行事の口火が切られました。
JapanNET会合では,小室参事官の挨拶に続き,広報文化担当の岩波書記官から日葡修好通商条約の説明,当館のアリセ職員制作による周年記念ロゴ紹介(日本を表す桜,ポルトガルを象徴するカモメ,基調色として赤とターコイズブルーを配し,水引を連想させるJとPのイラストで永遠のシンボルをデザイン)の後,日本大使館からは,160周年記念キックオフイベントとして現在シントラ市(長崎県大村市と姉妹都市)で開催中の日本の世界遺産写真展や5月開催予定のリスボン市主催スポーツイベント「オリジピアダス」等の紹介が行われました。また,「ポルトガル柔道連盟」,「ポルトガル相撲連盟」,「ポルトガル合気道連盟」等スポーツ関連団体,「ルジタナ盆栽協会」や個人として参加の俳句専門家のアルファロビーニャ氏(先般外務大臣表彰を受章)など伝統文化関連団体等,その他「ヴェンセスラウ・デ・モラエス協会」や「コスプレ協会」,舞踏専門家,レイリア市やヴィラ・ド・ビスポ市など日本と姉妹都市を結ぶ自治体代表者等各参加団体からは,それぞれが企画するイベントの提案,紹介や概要説明等が行われました。
中でも,レイリア市は,日ポルトガル間姉妹都市の先駆けとして2019年に徳島市との提携50周年を迎え,その長年に亘る交流を通じた友好関係構築への貢献に対し,昨年10月,レイリア市にて行われた姉妹都市50周年記念式典において,外務大臣表彰を受賞しました。また,式典に併せレイリア市内の徳島通り除幕式や徳島市による日本浄瑠璃公演も行われました。徳島市は,明治期に日本に外交官として赴任したヴェンセスラウ・デ・モラエスが,公職を退いた後余生を過ごした土地であり,そのモラエスの縁から,当時日本との姉妹都市提携の可能性を探っていたレイリア市と記念すべき日ポルトガル間第一号の姉妹都市が実現しました。徳島での隠居から亡くなるまで,優れた文人でもあったモラエスは,本国ポルトガルに向け数多くの日本事情紹介記事を送り,「徳島の盆踊り」,「おヨネとコハル」,「日本精神」などの作品は後に日本語訳も出されました。また,数学者でエッセイストの藤原正彦が,父で作家の新田次郎によるモラエスをテーマとした未完作を書き継いで「孤愁(サウダーデ)」を出版しています。レイリア市はJapanNET会合を通じて知り合ったモラエス協会や武道団体とも協力の上,日本文化紹介に努めています。
また,西之表市と姉妹都市関係にあるヴィラ・ド・ビスポ市は,今年の日本ポルトガル修好160周年を記念して同市にて日本関連イベントを実施する予定にしており,書道,武道,風呂敷,盆栽のワークショップ他が予定されています。同市は,JapanNETのネットワークを最大限に活用し,今般の会合の会員に同イベントへの参加・協力の呼びかけを行いました。
かくして,様々な可能性が示唆され,建設的な話題に花が咲いた第17回JapanNET会合はつつがなく終了し,牛尾大使による挨拶の後軽食をとりながらしばし歓談・親睦を深め,今年一年を彩る周年イベントの本格実施に向けて大変意義深い会合となりました。