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天皇誕生日祝賀レセプションでの地方自治体PR活動(在メルボルン総領事館)
在メルボルン総領事館

2020年2月13日,当館は,総領事公邸において令和元年度天皇誕生日祝賀レセプションを開催し,ヤーラ・プルフォード・ビクトリア州道路大臣をはじめ,400人の出席者とともに,天皇陛下のお誕生日をお祝いしました。
このレセプションでは,例年,和食や日本酒の提供,生け花の展示や茶道のデモンストレーションのほか,和太鼓の演奏等で日本文化を紹介するとともに,当地に進出する日系企業の事業や日本の地方の魅力を積極的に発信しています。
今回は沖縄県の泡盛,鹿児島県の和牛,佐賀県の日本酒,山梨県のワイン等の試食や試飲を実施したほか,同時期に徳島県から当地を訪問中の「とくしまブランド推進機構」の担当者に参加いただき,徳島県の観光や徳島県を代表する「すだち」のPRを行いました。

当地では高知県産の「ゆず」が新しい食材として既に受け入れられているので,今回のレセプションでは徳島県産「すだち」を紹介することとしました。「すだち」の果汁をソーダで割った「すだちソーダ」を提供したところ,「すだち」が持つ爽やかな香りとさっぱりとした酸味が多くの出席者を魅了しました。「ゆずとは違った風味でおいしい」「メルボルンではどこで買えるのか」といった声が多く聞かれました。

また,最近の研究で日本と豪州の交流史に徳島県が深く関係する新たな事実が分かり,これを紹介するコーナーも設けました。
これまで日本と豪州の最初の接触は,1831年にシドニーの捕鯨船が荒天を避けるために北海道南岸沖に投錨し,鎖国下において沿岸を守る駐屯兵と戦闘が行われた時とされてきました。ところが,英国人歴史研究家ニコラス・ラッセル氏による研究から,この1年前の1830年,豪州南部のタスマニア島に収容されていた囚人達により強奪された英国船キプロス号が徳島県牟岐町の沖合に漂着したことが分かりました。これが日本と豪州の最初の接触になるとして,交流史を書き換えるのではないかと注目を集めています。
当時の蜂須賀藩の侍が,漂着した船,船長,ブーメランらしき物の絵を描き記録に残しました。タスマニア島には1829年8月に出航したキプロス号の絵と囚人達の身体的特徴も含む個人台帳が残されており,これらの記述が侍により残された絵の記録と一致しました。
なお,囚人たちは大砲で追い返されることになり,日本へ上陸することは出来ませんでした。今年はこの出来事からちょうど190年目に当たります。
現時点では,徳島県と豪州の友好関係として,美波町とクイーンズランド州ケアンズが姉妹都市となっています。当館が管轄するビクトリア州,タスマニア州,南オーストラリア州と徳島県との間で姉妹都市関係はありませんが,「阿波ふうど(AWAFOOD)」促進等のビジネスや文化交流が今後一層増えていくことが期待されます。