平成21年3月
平成21年3月16日(現地時間)、ニューヨークの国連本部において開催された第95回自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際人権規約)委員会において、2007年1月より同委員会委員を務めている岩沢雄司東京大学教授が、同委員会委員長に選出された。
同委員会は、締約国による自由権規約(参考3)の実施に関する進捗状況等の検討を行うことを任務とする。委員会は、自由権規約締約国の指名に基づき、締約国会合の選挙で選出される18名の個人資格の委員(任期4年、2年ごとに半数改選)により構成される。我が国よりは1987年より安藤仁介京都大学名誉教授が委員を務めてきたが、2006年末で退任し、2006年9月に行われた同委員会選挙でトップ当選を果たした岩沢東京大学教授が2007年1月より委員を務めている。
正式名称は「市民的及び政治的権利に関する国際人権規約」であるが、「国際人権B規約」と呼ぶ場合もある。1948年の第3回国連総会で採択された「世界人権宣言」の内容を基礎に条約化したものであり、人権諸条約の中で最も基本的且つ包括的なもの。自由権規約は、世界人権宣言に掲げられた諸権利のうち、思想・良心・宗教の自由、表現の自由、身体の自由、集会・結社の自由等のいわゆる自由権を規定し、1966年の第21回国連総会において全会一致で採択された。我が国は1979年6月に批准し、同年9月に発効した。現在の締約国は164カ国。
岩沢 雄司(いわさわ ゆうじ)
1973-1977年 東京大学法学部(法学士)
1977-1978年 ハーバード大学ロースクール(法学修士)
1984-1986年 バージニア大学ロースクール(法学博士)
1977年 東京大学法学部助手
1982年 大阪市立大学法学部助教授
1997年 東京大学教養学部教授
2005年 東京大学法学部教授(現在に至る)
1991-1993年 ケンブリッジ大学国際法研究所客員研究員
1997年 ケンブリッジ大学国際法研究所客員研究員
2000-2001年 ケンブリッジ大学国際法研究所客員研究員、チャーチル・カレッジ(ケンブリッジ)客員フェロー
自由権規約委員(2007年~)、アジア開発銀行行政裁判所裁判官、世界貿易機関補助金常設専門家部会委員、難民審査参与員(歴任)、国連先住問題常設フォーラム委員(歴任)
国際法学会、国際法協会、国際法協会日本支部、国際人権法学会、ジェンダー法学会、世界法学会、日本国際経済法学会、米国国際法学会
『条約の国内適用可能性』(有斐閣、1985年)
『WTOの紛争処理』(三省堂、1995年)
『講義国際法』(共著、有斐閣、2004年)
"International Law, Human Rights, and Japanese Law: The Impact of International Law on Japanese Law"(Oxford, 1998)
"Trilateral Perspectives on International Legal Issues: Conflict and Coherence"(共編著、Washington, D.C., 2003)