保健・医療

国連HIV/エイズ・ハイレベル会合成果文書(概要)
(HIV及びエイズに関する政治宣言-HIV及びエイズの排除に向けた取組の強化)

平成23年6月10日

宣言文(英語)(PDF)

1.概要

 参加各国は,HIV及びエイズを巡る問題が依然として国際社会における喫緊の開発課題であるとの認識に立って,2001年のエイズ特別総会で採択された「誓約宣言」,2006年のハイレベル・レビュー会議「政治宣言」及びミレニアム開発目標の第6(HIV/エイズ,マラリア,その他の疾病の蔓延の防止)を想起しつつ,包括的な予防対策,治療及びケア並びにサポートについてのユニバーサル・アクセスを達成するための努力を強化することで一致。

 今回の政治宣言では,感染者の減少(30か国以上で25%以上の減少),母子感染の減少,患者600万人以上に対する抗ウィルス薬治療の実施,対2001年比で8倍の資金が動員(年間160億ドル)されるようになったこと等,これまでのエイズ対策に関する実績についての評価が盛り込まれたことが特徴。

 さらに,ODA及び世界エイズ・結核・マラリア対策基金を始め革新的資金メカニズムの強化,途上国における保健分野への支出増,ナショナル・オーナーシップの強化,連携協調,アカウンタビリティの強化等,財政的支援の質の向上へのコミットが盛り込まれた。

 宣言には,(1)リーダーシップ,(2)予防,(3)治療,(4)人権,(5)エイズ対策のための資源,(6)保健システムの強化,(7)研究開発及び(8)説明責任の各分野について,具体的には主に以下の内容が盛り込まれている。

 同政治宣言は,10日午後の全体会合で採択された。

2.主な内容

  1. (1)多くの国の予防戦略が,感染リスクの高い集団(特に,同性間性交渉をする男性,注射器による麻薬使用者並びに性産業に従事する者及び買春する者)について考慮されていないことについて懸念する。
  2. (2)ヘルス・サービス及び教育等により女性がHIVに感染するリスクから身を守るための能力を強化するなど,ジェンダー間格差を解消する。
  3. (3)TRIPS協定の柔軟性及びパテント・プール等を活用し,ジェネリック医薬品の普及を図るなどの方法により,安価,安全,効果的で高品質な医薬品及び器具(コンドーム等)へのアクセスを確保する。
  4. (4)2015年までに,性的交渉及び注射器による薬物使用による感染を半減させるとともに,母子感染を排除する。また,同年までに抗レトロウイルス治療を受けられる人口を1,500万人にまで増加させる。
  5. (5)結核の排除に向けた取組を拡大(2015年までにHIV感染者の結核による死亡を半減する。)する。
  6. (6)共有責任(shared responsibility)の原則を通じて,2015年までにHIV及びエイズ対策のための国際的な支出を増大させ,資金ギャップを縮小する。
  7. (7)一般に対する意識啓発,重要な器具へのアクセス,秘密の守られたHIV検査及びカウンセリング及びハームリダクション事業の実施の検討などを始め,予防のための取組を倍増する。
  8. (8)2015年までのODA/GDP比0.7%の達成について公約している国についてはその実現を求める一方,アフリカ諸国に対しては,年間予算の少なくとも15%を保健予算にあてることを求める。
  9. (9)世界エイズ・結核・マラリア対策基金の重要性を強調する。
  10. (10)発展途上国におけるプライマリー・ヘルスケアを含む保健システム強化についての努力を倍増する。
  11. (11)2015年までに結核,プライマリー・ヘルスケア,リプロダクティブ・ヘルス,母子保健,肝炎,薬物使用,非感染性疾患等とHIVとを関連づけたアドボカシー及び政策を強化する。
  12. (12)相互の説明責任に基づいた,効果的で実行可能なモニタリング及び評価を行う。2012年末までにコミットメントについての指標を改訂する。また,国連事務総長は,進捗状況に関する年次報告を行う。

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