保健・医療

世界保健機関(WHO)新型インフルエンザ政府間会合の結果について

平成21年5月18日

 5月15日から16日まで、世界保健機関(WHO)主催により、昨年12月に引き続き、「新型インフルエンザの検体共有及びワクチン等の利益へのアクセスに関する政府間会合」(Intergovernmental Meeting, IGM)がジュネーブで開催されたところ、概要次のとおりです(我が国からは早川専門機関課長及び井上厚生労働省国際協力室長他が出席)。

1 IGMは、2007年5月の第60回WHO総会以来、2年間に亘って続けられ、鳥インフルエンザ(H5N1)をはじめとする、新型インフルエンザの大流行(パンデミック)を引き起こす可能性のあるインフルエンザウイルスの検体をWHOに提供することと、ワクチン等の利益の提供をどのように関係づけるのかについて討議を続けてきました。

 今回のIGMでは、「枠組み文書」について進展はありましたが、最終的な合意には至らないまま終了し、残された課題の扱いはWHO総会(5月18日から22日)において検討されることとなりました。

2(1)今回のIGMでは、全ての国が検体の提供や利益の提供にコミットし、共同で行動することが再確認されるとともに、WHO加盟国は、ワクチン製造企業に対し、生産量の一部(portion)を途上国への支援のために無償でまたは割引価格で提供するよう強く求めること等については一致を見ました。

(2)検体をWHOと共有するための手続きの透明性を向上させるために、提供国やWHOの関係機関の間で利用される、標準的な契約文書(standard material transfer agreement)の作成については、日・米・EUは、簡潔で、円滑な検体提供の妨げにならないようにすることを訴えたのに対し、インドネシア、インド、ブラジルは、検体提供国の了解なしに検体が第三者によって利用されることを懸念し、詳細なものとすることを主張し、作業は進みませんでした。

(3)なお、H5N1ワクチンの国際共同備蓄については、今回のIGMの結果にかかわりなく、WHO事務局による検討が進んでいます。

3 今次会合において、我が国は、新型インフルエンザA(H1N1)の発生を受けて、WHOのネットワークを通じて検体が迅速に国際社会で共有されたことが、各国の対策やワクチン開発を進める上で大きな役割を果たしたことを指摘するとともに、すべての鳥インフルエンザのヒトへの感染の発生国が、検体をWHOに提供し、被害状況を公表するよう改めて訴えました。

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