保健・医療

鳥・新型インフルエンザに関するハノイ閣僚級会合(結果概要)

平成22年4月21日
外務省
厚生労働省
農林水産省


1 概要

 「鳥・新型インフルエンザに関するハノイ閣僚級会合」は、平成22年4月19日から21日まで、ハノイ(ベトナム)において開催され、70か国、国際機関、地域機関から約400人が出席しました(注)。我が国は、尾身茂自治医科大学教授(外務省参与、厚生労働省国際参与)を団長とし、坂場駐ベトナム大使や外務省、厚生労働省及び農林水産省の関係者が出席しました。(注:航空便欠航の影響で当初の予定者より減少)

 この会合は、ベトナム政府が主催し、国連インフルエンザ調整組織(UNSIC)、米国、欧州委員会の協力により実施され、2006年1月以来5回目の閣僚級会合となります。


2 会合の背景と主な成果

 2005年以降拡大しているH5N1高病原性鳥インフルエンザは、主催国のベトナム等で引き続き鳥やヒトに被害をもたらし続けています。また、国際社会は、2009年にH1N1新型インフルエンザのパンデミックを経験し、多くの国で多数の感染者、死亡者が発生しました。

 今回の会議では、こうした背景の下、農業分野や保健分野の政策決定者が一同に会し、
(ア) これまで各国が進めてきた鳥インフルエンザ対策がH1N1新型インフルエンザ対策にもたらした効果を評価し、動物及びヒトの両分野で対策を持続・強化すること、
(イ) H1N1新型インフルエンザへの対応を振り返り、新型インフルエンザをはじめとする新興・再興感染症の脅威への備えを強化すること、
(ウ) 鳥インフルエンザをはじめとする国境を越えて拡大するおそれのある人獣共通感染症に対処するために、国際・地域協力や多分野間協力を強化すること、
等を議論し、会合参加者による「ハノイ宣言」を採択しました。


3 我が国の鳥・新型インフルエンザ分野での国際協力総額の発表

 会合では、平成21年12月末現在、鳥・新型インフルエンザに関連する途上国支援の総額が、2005年末の累計で36億ドルにのぼることが世界銀行から発表されました。我が国は21日、坂場駐ベトナム大使の発言の中で、2005年以来我が国の国際協力の実績総額が約4.16億ドルになることを発表しました。我が国は、この分野では米国に次ぐ2番目のドナー国です。

 (日本政府ステートメント 仮訳英文


4 尾身茂団長によるプレゼンテーション

 尾身茂団長は、20日のセッションにおいて、我が国のH1N1新型インフルエンザ対策に関するプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションでは、H1N1新型インフルエンザによる我が国の致死率が他国に比べて著しく低い事実を指摘しつつ、新型インフルエンザ対策における医療体制整備や学級閉鎖措置等を具体的に紹介し、多分野にわたる政策調整や、コミュニケーションの重要性を訴え、参加者から高い評価を得ました。


【参考】

  1. (1) 国連インフルエンザ調整組織(UNSIC)
     ナバロ国連事務次長補をインフルエンザ上級調整官とし、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)、国連児童基金(UNICEF)等13の国際機関間の調整を行う機関。
  2. (2)各ドナー国・機関の国際協力総額(2005年から2009年12月末まで。単位米ドル。)
     米国15.76億、欧州委員会3.22億、豪州1.33億、英国1.12億、カナダ99百万、ドイツ88百万、世界銀行8.98億、アジア開発銀行74百万等
  3. (3) 「ハノイ宣言」の概要
    • 2005年末からの鳥及び新型インフルエンザに対する国際的な取り組みの進展を認識する。
    • 国連・国際機関、地域機関、NGOなどとの協働による長期に亘るパートナーシップに改めてコミットする。
    • 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)のウイルスが依然として動物と人に流行していることを認識する。
    • H5N1及びH1N1対策から学んだ経験から学び、情報共有を推進するとともに、国際機関等を通じて途上国の国家計画を強化するための支援を呼びかける。
    • 人獣共通感染症から来る動物からヒトへの脅威を認識し、保健システムの中に対策を採り入れる。
    • 国家対応計画の策定を呼びかける。その計画は動物-人-環境のインターフェースにおいて生じる疾病に焦点を当て、多分野の国家対応計画を策定する。業務継続計画の策定にも重点をおく。
    • 様々な関係者とのコミュニケーションが果たす重要な役割を再確認する。
    • 民間及び学術界とイノベーションのための建設的な協力をする。
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