
第4回世界水フォーラム
(概要)
平成18年3月22日
1.日本の基本的立場
水と衛生は地球規模の深刻な問題であり、世界の持続可能な開発および貧困削減の促進のため、喫緊の対応が必要。
日本は、(1)水問題の本質である「人間の安全保障」のための協力を外交の中心に据え、また(2)その国土の特性や歴史上、各分野の水政策に広範かつ優れた知見を有することから、2003年に第3回世界水フォーラム(於:京都)を主催するなど、水に関する国際的および地域的取組・協力に主導的役割を果たしてきた。
「地球規模の課題のための地域行動」をテーマとする今次第4回世界水フォーラムにおいても、前回会合の成果と約束を着実に履行しつつ、水問題に関する世界の関心喚起、政策提言、情報共有、能力向上支援等の観点から積極的に貢献。
2.概要
日程:2006年3月16日(木曜日)~22日(水曜日)
このうち21日および22日は、閣僚級会合
場所:メキシコシティ、バナメックスセンター(国際会議場)及びカミノ・レアル・ホテル(最終日のみ)
構成:フォーラム(含、約150の分科会)水関連展示、閣僚級国際会議、水関連賞授与式(ハッサン・世賞、京都水大賞)等
参加人数:約140ヶ国から約1万9千人の各国政府、国際機関、民間企業、NGO、研究機関等の関係者が参加。
我が国より、皇太子殿下、橋本元総理、江_国土交通副大臣、江田環境副大臣、西村地球環境問題担当大使、外務省、国交省、環境省、農水省、林野庁、厚生労働省、日本水フォーラム事務局、研究機関、企業の関係者300名以上が参加。
3.フォーラム(3月16日(木曜日)~22日(水曜日))
- 16日、我が国より皇太子殿下(第3回世界水フォーラム名誉総裁)が開会式に御出席され、挨拶を述べられたほか、翌17日「江戸と水運」と題する基調講演をされ、地域の実状・歴史に沿った取組の重要性に触れられた。
- 16日、橋本元総理が議長を務める国連「水と衛生に関する諮問委員会」より、水と衛生問題解決に向けた「行動計画(Compendium of Actions)」を発表。資金調達、水事業者パートナーシップ、衛生、モニタリング、統合水資源管理(IWRM)、水関連災害の各分野に係わる具体的な行動を呼びかけた。
- 全体で約150セッションからなる分科会が行われ、そのうち我が国参加者が約30以上の分科会を開催。
- 我が国は、水と衛生に関する我が国ODAの新たな政策として「水と衛生に関する拡大パートナーシップ・イニシアティブ(WASABI)」を発表。我が国の水と衛生に関する豊富な経験、知見や技術を活かし、国際機関、他の援助国、NGO等と連携しつつ、開発途上国の自助努力を一層効果的に支援することを表明。
- 2003年よりフィリピン、インドネシアおよびジャマイカにおいて行われている「日米水パートナーシップ」について事業進捗状況の報告を行い、併せてインドにおける新たな協力事案について発表を行った。
- 日中韓(日本:国土交通省、中国:水利部、韓国:建設交通部)が水問題の解決に向けた取組として、3国の共通課題である洪水管理、アジア・モンスーン地域における河川の再生、水資源情報システムの3つのセッションを初めて共催した。3国それぞれ閣僚レベルの出席のもと、水分野における3国の協力関係を強化することを確認した。
4. 閣僚級会合(3月21日(火曜日)~22日(水曜日))
[我が国より江_国土交通副大臣及び江田環境副大臣等が出席。]
- 6つのテーマ(資金調達、統合水資源管理、水の効果的利用、地方分権化、監視メカニズム、水と環境)についてのラウンド・テーブル(分科会)が開催され、議長サマリーを発出。我が国は、このうち水と環境セッションに参加し、環境保全上健全な水循環の確保に向けた総合的な取組と水環境保全に係る情報の共有と活用の重要性に言及。
- 全体としては、今次フォーラムのテーマである「地球規模の課題のための地域行動」の下、持続可能な開発に向けた水問題の重要性、国際合意や約束のさらなる推進のための今次フォーラムの貢献等について謳った閣僚宣言(日本語・英語)を採択。
- 「持続可能な開発に関する水行動連携データベース(CSD・WAND)」が新たに発表された。第3回世界水フォーラム閣僚会合の成果として我が国が主導してきた「水行動集(PWA)」を国連との協力の下で発展・拡大したもの。今次フォーラムで提示された各種地域行動をも網羅した新データベースを構築。
(参考)世界水フォーラムは、世界の水問題につき協議するために、世界水会議(WWC(注))が主催する国際会議で、3年に一度、3月22日の「世界水の日」頃に1週間程度開催されている。第1回世界水フォーラムは、1997年にモロッコのマラケシュで、第2回は2000年に、オランダのハーグで開催。第3回会合は2003年3月に我が国(京都、滋賀、大阪)にて開催され、皇太子殿下が同フォーラムの名誉総裁を、橋本元総理が運営委員会会長を務めた。また、第2回会合より同フォーラムで閣僚級会合が開催されるようになった。次回第5回会合は、2009年にイスタンブールで開催されることとなった。
(注:世界水会議:World Water Council(WWC)、水に関する政策などを検討するシンクタンク(NGO)。ユネスコや世界銀行などが中心となり1996年に発足した。本部マルセイユ)