
第4回世界水フォーラム
閣僚宣言
2006年3月21日および22日の第4回世界水フォーラム(4th WWF)「世界の水問題解決のために地域の行動を」を機会に、メキシコシティーに集まった我々閣僚一同は、以下のことを宣言する。
- 貧困と飢餓の撲滅、水に関連する災害の縮小、衛生、農業と農村の発展、水力発電、食料安全保障、ジェンダーの平等、および環境の持続性と保護の達成など、持続可能な発展のあらゆる面において、水、特に淡水が決定的に重要であることを再確認する。そして水と公衆衛生の問題を、国家活動において、特に持続可能な発展と貧困撲滅に関する国家戦略において、優先項目に入れる必要性を強調する。
- アジェンダ21、ミレニアム宣言、およびヨハネスブルク実施計画(JPOI)で合意された、総合水資源管理(IWRM)ならびに安全な飲料水と基本的衛生の確保に関する国際的な合意目標を達成するという我々の約束を再確認する。安全な飲料水の入手や購入が困難な人々の割合を2015年までに半減させるという目標をはじめとして、これらの目標を達成し、その実行に至るまでの経過を追跡することが引き続き緊急に必要であることを改めて表明する。
- 特に、2005年4月に国連の持続可能な開発委員会第13会期会合(CSD-13)において採択された、「水、衛生、および人間居住に関する行動を促進するための政策選択肢と実際的手段」についての決定に対する我々の約束を再確認する。生態系の持続性を強化することの重要性に関心を持って注目すると共に、一部地域における雨水管理や水力発電プロジェクトの展開などの革新的活動の実施と重要性を認識する。さらに、関連する利害関係者、特に女性と青年が、水供給の計画と管理および必要に応じて意志決定プロセスに関与することの重要性を再確認する。
- 第3回世界水フォーラムの閣僚宣言に注目し、前述の目標を達成するため、加盟国の支持を得て国連組織内で実施された作業に注目する。これに関連して、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)の果たす調整的な役割を支持し、その付託の範囲内で、関連の国連組織、基金、およびプログラム間における作業を強化する必要性を強調する。また、水と衛生に関する目標に向かって現在進められている実施努力の強化に関し、国連事務総長の「水と衛生に関する諮問委員会」の意見を尊重する。「“命のための水”国際行動の10年」などの活動を引き続き支持し、また国連事務総長による「水・エネルギー・保健・農業・生物多様性(WEHAB)」の取り組みへの関心を表明する。
- 国際的、地域的、および国内の各レベルにおける能力の育成、ならびに国際的な水と衛生の問題に関する模範事例と教訓の情報交換の推進に関して、第4回世界水フォーラムとその地域準備プロセスの寄与を認める。
- 2008年に開催されるCSD第16会期会合の水と衛生に関するフォローアップ・セグメントに対するフォーラムの寄与を認める。この取り組みは、CSD-13で採択された水と衛生およびその相関関係についての決定の監視と追跡において重要な役割を果たすもので、水問題に関係するあらゆるレベルの政府、市民団体、政府間組織、非政府組織、民間部門、科学機関、パートナーシップ、および水問題に関わる国際金融機関ならびにその他の関連する利害関係者による共同参加と関与の例である。
- また、持続可能な開発委員会第13会期会合の決定のうち、特に以下のことについて再確認する。
a) ミレニアム宣言およびヨハネスブルク実施計画に示されたものなど、国際的に合意された開発目的と目標を発展途上国が達成するためには、国内、政府開発援助、およびその他の供給源などのあらゆる源泉からのリソースを大幅に増加させることが必要となること。さらに、
b) 安全な飲料水利用への環境整備、基本的衛生、持続可能で安全な施設保有、適切な保護措置の確保をさらに推進するにあたって、政府は第一の役割を担っており、あらゆる段階における統治能力の向上、適切な権限を付与する環境と規制枠組みを通じ、貧困対策を導入し、すべての利害関係者を積極的に関与させること。
- 予防、準備、リスク評価、地域社会の認識、ならびに回復力と反応などの取り組みを含めて、水関連災害を緩和する目的であらゆる段階における能力育成と協力を促進し支援するためには、国内政策および国際的な政策が重要であることを認識する。
- 水と衛生サービスの持続的利用を増加させるためおよび統合水資源管理を支援するために、さまざまな国で議員と地方自治体が果たしている役割の重要性を認識する。これらの関係者あるいは複数の関係者間における効率のよい協力体制は、水に関する我々の課題を解決し、目標を達成するための重要な要素である。
- 第4回世界水フォーラムに向けた地域準備プロセス、およびフォーラム開催期間における関係者の活動に感謝をもって注目する。また、この宣言の付属書類として添付された関係者間の地域準備プロセスの成果を示した文書にも注目する。この成果は、我々の課題に関する情報源として適切に利用することができる。また、第4回世界水フォーラムの共同作業会合で示された価値ある見解と意見に関して、参加された議員と地方自治体に対し深く感謝すると共に、この宣言の附属文書として加えられたその声明に注目する。
- 水および公衆衛生分野における「実行と模範事例に関する情報を広く伝達するためのウェブ方式ツール」を開発するというCSD-13の方針決定を実行する手段として、「持続可能な開発に関する水行動連携データベース(CSD WAND: CSD Water Action and Networking Database)」が第4回世界水フォーラムにおいて開始されたことを歓迎する。このCSD WANDは、情報や模範事例、教訓、関連する国際条約、および政策勧告を交換するための基盤の役割を果たすことになる。我々はCSD WANDが、2003~2005年のCSD実施期間において、第3回世界水フォーラムの閣僚会議の成果である水行動集(Portfolio of Water Actions)および第4回世界水フォーラムの地域活動のデータベースに収集された情報に基づいて構築されたことに留意する。
- 国家機関や国際機関のみならず、ストックホルムの世界水週間や地域開発銀行の水週間などの国際的・地域的フォーラムなどを含めたあらゆる利害関係者に対し、WANDへの情報提供とWANDを通じた情報交換を推奨する。
- 第4回世界水フォーラムの開催、ならびに、世界的課題に対する積極的な地域活動を通じて水管理の向上を推進するという決意の表明に関して、メキシコ政府と世界水会議に深く感謝する。
メキシコシティー、2006年3月22日