平成18年3月
2002年に「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」に先立ち、アナン国連事務総長は、5つの分野(Water(水)、Energy(エネルギー)、Health(健康)、Agriculture(農業)、Biodiversity(生物多様性))を重視し、各々の頭文字を取って、「WEHAB」(「ウエハブ」と読む。)を提唱した。
同サミットの成果文書である実施計画において、「2015年までに安全な飲料水を利用できない人口の割合を半減させる」という国連ミレニアム開発目標(MDGs)に設定された目標と、「2015年までに基礎的な衛生施設を利用できない人口の割合を半減させる」という内容が成果文書の実施計画に盛り込まれた。
CSDは今後、2年を1つのサイクルとして特定のテーマを中心に取り上げ、ヨハネスブルグ実施計画等の実施を図っていくこととされており、その第1サイクルの第12会期(CSD12)(2004年)と第13会期(2005年)(CSD13)は、水、衛生、人間居住について協議された。
2004年3月、世界水の日に、アナン事務総長がMDGsの達成を目指した「水と衛生に関する諮問委員会」を設立し、橋本元内閣総理大臣を議長とする旨を発表した。その後、同諮問委は、20名の構成メンバーは水分野の世界的な有識者・オピニオンリーダーにより構成されており、世界各地で5回の会合を開催し、2006年3月にメキシコで開催された第4回世界水フォーラムにおいて、水と衛生問題の解決に向けた「行動計画(Compendium of Actions)」を発表した。
世界水フォーラムは、世界の水問題を協議するために、3年に一度、3月22日の「世界水の日」頃に1週間程度開催されている。第1回世界水フォーラムは、1997年にモロッコのマラケシュで、第2回は2000年に、オランダのハーグで開催。第3回会合は2003年3月に我が国(京都、滋賀、大阪)で開催され、皇太子殿下が同フォーラムの名誉総裁を、橋本元内閣総理大臣が運営委員会会長を務めた。また、第2回会合より同フォーラムで閣僚級会合が開催されるようになった。第4回世界水フォーラムは2006年3月にメキシコにおいて開催された。次回第5回フォーラムは、2009年にトルコのイスタンブールにて開催の予定。
2003年のエビアン・サミットでは、日本は、第3回世界水フォーラム閣僚級国際会議の開催国として、右会合の成果も踏まえ、仏との協力の下、水問題に関する行動計画の策定に主導的役割を果たした。