平成20年8月
砂漠化対処条約(UNCCD)第8回締約国会議(COP8)は、平成19年9月3日(月曜日)から14日(金曜日)まで、165の締約国、諸国際機関、NGO等の参加を得て、マドリード(スペイン)で開催された。
今次会議の主な成果は、第7回締約国会議決定に基づき政府間会期間ワーキンググループ(IIWG)が作成した十年戦略計画が採択されたこと、同計画に基づき科学技術委員会、条約実施レビュー委員会、及び条約事務局と地球機構との関係などの条約実施の枠組が改組されたことである。なお、辞職したハマ・アルバ・ディアロ前事務局長の後任として、潘基文国連事務総長が、ルック・ニャカジャ元ベナン環境大臣を事務局長として指名したことが報告された(任期は10月1日から2年間)。
平成19年9月3日(月曜日)から14日(金曜日)
マドリード(スペイン)
192の締約国のうち165カ国、国連諸機関、NGO等
我が国からは在スペイン大使館吉川元偉特命全権大使以下、環境省、外務省より担当者等が出席した。
12,13日の両日、閣僚級会合が開催された。12日の午後には、11人の大臣、副大臣及び国連諸機関の代表者による円卓会議が開催され、砂漠化と気候変動適応に関するマドリード宣言が採択された。
今次COP8と並行して、4日~7日に第8回科学技術委員会(CST8)が、5日~14日に第7回条約実施レビュー委員会(CRIC7)が開催され、それぞれ締約国会議決定案の勧告を取りまとめた。
(1)条約実施を強化するための十年戦略計画と枠組
IIWGが答申した十年戦略計画と、実施のためのCOP決定が採択された。今後10年間の間にCOPに必要な目標を共有し、CRIC、CST、GM、地域調整ユニット等の任務を明確化し、成果重視管理(Results-Based Management)による管理を導入しようとするもの。
(2)国別報告書の質と様式の改善
締約国がCRICに提出することとなっている報告書の内容を改善するため、気候変動枠組条約、生物多様性条約における報告書との調和がとれた様式やガイドライン等を定めることとなった。
(3)十年戦略計画に従ったCSTの再編
十年戦略計画に従い、今後はCST会合の大半を学術会議の形式で実施することとなり、また次回CSTは「砂漠化・土地劣化の生物理学的・社会経済的モニタリング・アセスメント」というテーマの下で関連研究機関と共同で組織することとなった。
(4)2008-2009年予算
予算の協議はCOP8期間中に合意に達せず、後日再協議することとなった。11月26日に開催された第1回特別締約国会議(ニューヨーク)において、コア予算総額はユーロ建てで前期比4%増(15,919千ユーロ、事務局が所在するドイツが拠出予定の1,023千ユーロを含む)とすること、締約国分担分は前期比約3%増の14,711千ユーロとすること、差額は任意拠出でまかなうことが合意された。
(5)今後の予定
CRIC7、CST9を平成20年10月(10月20-29日)にイスタンブール(トルコ)で、COP9を平成21年秋、ホスト国を申し出る国がない限り、条約事務局が所在するボン(ドイツ)で開催することが決定された。
CST8において、COP5での決議で設置された専門家グループ(GoE)の活動の成果となる最終報告書の発表が行われ、9つのテーマのうちの1つ、「地球、地域、現場レベルでの砂漠化評価のための方法論に関する研究」について、我が国の科学面、技術面での貢献として、GoEメンバーである東京大学大学院武内和彦教授による発表が行われた。
また、今回の優先討議課題であった「気候変動と人為的活動が土地劣化に与える影響」に関して、モンゴルから日本の支援(環境省予算)を活用した日・モンゴル共同研究の成果の紹介があった。