地球環境

砂漠化対処条約(UNCCD)第10回締約国会議(COP10)概要
(10月10日~10月21日,韓国・チャンウォン市)

平成23年11月

【会議の主要成果】

  • 2012~2013年の作業プログラム・予算の採択
  • 地球機構(GM:グローバルメカニズム)の取扱方針の決定
  • 地球環境ファシリティ(GEF)との連携強化確認

1.期間

平成23年10月10日(月曜日)~10月21日(金曜日)

2.場所

韓国・チャンウォン(昌原)市

3.参加者

4.ハイレベル・セグメント

 10月17,18日のハイレベル・セグメントにおいて,(1)砂漠化,土地劣化及び干ばつと食糧保障,(2)Rio+20の文脈における砂漠化対処条約,(3)科学(技術)の利用等をテーマに議論が行われ,議長サマリーが作成されたほか,韓国(議長国)より「チャンウォン・イニシアチブ」の提案があった。

【チャンウォン・イニシアチブ概要】

  • 目的 持続可能な開発を促進するための世界規模の取り組みに関するUNCCDの潜在能力を最大限引き出すことを狙いとしている。
  • 主な内容
    1. (1)締約国とそのほかのステークホルダーの相互協力の促進
    2. (2)条約体が保持している,砂漠化・土地劣化及び干ばつに関する科学技術的知識に関し,UNCCDを世界的オーソリティにするための議論のレベル向上
    3. (3)民間企業や産業界の参加促進
    4. (4)「Land for Life賞」創設による優良事例実施の促進

5.補助機関会合

 今次COP10と並行し,10月11~13日に第10回科学技術委員会(CST10)が,10月11,12,13,20,21日に第10回条約実施レビュー委員会(CRIC10)が開催され,それぞれ締約国会議決定案の勧告を取りまとめた。

6.主な成果

(1)2012~2013年作業プログラム・予算

  • 2007年のCOP8で採択された「条約実施推進のための十年戦略計画枠組(十年戦略)」に沿い,結果重視マネジメント(Results-Based Management。RBM)の手法を導入した2012~2015年の多年度作業計画に基づき,2012~2013年の作業プログラムが採択された。
  • 同作業プログラムに基づき,コア予算総額は,前期比-1.4%減の16,128,344ユーロとなり,事務局ホスト国であるドイツの拠出金を除いた締約国分担分は前期比-1.5%減の15,105,760ユーロとすることが承認された。

(2)地球機構(GM:グローバルメカニズム)の取扱い

 砂漠化対処条約の資金メカニズムであるGMのあり方と今後の取扱い方針について,次のとおり決定した。

  • COPと国際農業開発基金との間のMOUを改訂し,GMについての法的な責任を国際農業開発基金(IFAD)から事務局に移転する。
  • GMの事務所をどこに置くかについては,COP11の前に開催されるCRIC11(遅くとも,2013年3月までに開催)において再度議論し,その結果を2013年秋のCOP11に報告する。

(3)地球環境ファシリティ(GEF)との連携強化

 砂漠化対処に関する取組の報告が,初めてGEFからCOPに対して行われた。COPは報告を歓迎し,GEFの資金分配方法改善を歓迎した。他方で,プロジェクト承認のための手続きの簡略化をGEFに改めて要望したほか,UNCCDとGEFの間のMOU見直し検討を決定した。

(4)チャンウォン・イニシアチブ及び「Land for Life賞」の創設

 ハイレベル・セグメントにおいて,上記イニシアチブがホスト国である韓国から提案された。また,優良事例を表彰する「Land for Life賞」が創設され,2012年6月に第1回授賞者が発表される。

(5)CST

 十年戦略の進捗を測定する指標の改良等を検討するアドホックアドバイザリーグループを設立すること,科学的なアドバイスを提供するためのオプションを検討するアドホックワーキンググループを設立すること,伝統的知識等の知識管理について更なる検討を行うこと等を決定した。

(6)今後の予定

~2013年3月
第3回CST特別会合及び第2回科学会議(テーマ:「乾燥,半乾燥及び乾燥半湿潤地域における砂漠化,持続可能な土地管理及び土地回復の経済的評価」)
CRIC11(特段の申し出がない限り,ボンで開催)
2013年秋
COP11(於:ボン)
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