2012年4月16日
(英語版)
日本は,将来の枠組み及び「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会」に関する考え方を以下のとおり提出する機会を歓迎する。このサブミッションは,「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会の設立」に関する決定(1/CP.17)のパラグラフ5で要請されたものである。このサブミッションは,3月1~2日に東京で開催した「第10回気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合(日伯共催非公式会合),4月15日に同じく東京で開催した東アジア低炭素成長パートナーシップ対話第1回閣僚級会合,及び4月17日にローマで行われたエネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第13回会合における議論を踏まえて作成したものである。
日本は,ダーバン・プラットフォームはCOP17の最も重要な成果と考えており,この新たなプロセスの設立を歓迎する。「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会」(以下,ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)の議論は,全ての締約国に適用される,公平かつ実効的な将来枠組みにつながることが期待されている。特に,日本としては「全ての締約国への適用」を重視している。これを達成するために,日本は,全ての締約国が受け入れ得る枠組みはいかなるものかを模索する議論に積極的に貢献する用意がある。また日本は,将来枠組みは,各国の事情を考慮しつつ,各国の努力を最大化するような柔軟かつダイナミックな,長期間続く構造を有するべきであると考えている。また,国連気候変動枠組条約の原則はダイナミックな概念であり,その解釈は国際社会の変化に応じて進化するものと考える。
緩和については,技術革新・移転,低炭素成長戦略,分野ごとの取組,市場メカニズムを含むさまざまな手法を総合的に活用することにより,各国の緩和努力を最大化する最も現実的かつ効果的な方法を模索することが重要である。2020年以降の枠組みにおいて,緩和行動を促進し,全ての国の野心レベルを上げるためには,最も効果的かつ効率的な方法で緩和行動の透明性を確保することも重要である。
資金,技術移転及びキャパシティ・ビルディングは,途上国における行動を促進するために重要な要素である。また,気候変動の悪影響がますます顕在化している中,適応も将来枠組みにおける重要な要素である。
京都議定書やカンクン合意などの既存の仕組みにおいて得られた教訓及び経験を踏まえ,これらの仕組みのうち有用な要素は,必要な改善を加えた上で将来枠組みの中で活用していくべきである。
本年の最も重要な作業の一つは,ダーバン・プラットフォーム特別作業部会の作業を開始し,正しい軌道にのせることである。そのためには,アジェンダ設定などのプロセスの入り口で過大な時間を浪費することは避けるべきであり,本年のダーバン・プラットフォーム特別作業部会のアジェンダはシンプルかつ一般的なものとすべきである。
本年は,真に実効性があり,実現可能かつ全ての国が受け入れられる国際枠組みとはどうあるべきかという検討に議論を集中するべきである。この観点から,まずはブレインストーミングから始めることが有益であろう。公式な国連会合の議論を進めることと並行して,国際機関,産業界,シンクタンク,市民社会等のステークホルダーを招き,国連気候変動枠組条約の外でワークショップを実施することは有益であろう。日本は,将来の枠組みに関する一連のワークショップを開催することを提案する。そのワークショップでは,将来の枠組みの主要な要素を概念化するための集中的なブレインストーミングの議論を行う連続的なセッションを設け,その結果はダーバン・プラットフォーム特別作業部会に報告されるものとする。
焦点を絞った議論を行うために,ダーバン・プラットフォーム特別作業部会の作業計画は将来の枠組みの主要な要素に集中すべきである。具体的には,当面の間は,枠組みの法的形式よりも,緩和の仕組みの構造を含む鍵となるサブスタンスを集中的に議論すべきである。
適応,資金,技術開発・移転,透明性及びキャパシティ・ビルディングについては,当面の間は,カンクン及びダーバンにおける合意に基づく現行の作業,特に緑の気候基金や気候技術センター・ネットワークを含む組織的アレンジメントに関する作業を,然るべきフォーラムで引き続き着実に実施すべきである。現行の組織的アレンジメントの有益な要素は,将来枠組みで活用すべきであり,その活用方法はダーバン・プラットフォーム特別作業部会で議論すべきである。
最終成果物に向けて効率的かつスムーズに議論を進めるために,議長及び副議長の活動の継続性を確保することが重要である。例えば任期を1年とする場合には,副議長が翌年の議長を務めるべきである。