1.会合の概要
(1)日程・場所
5月2~4日 於:ドイツ・ペータースベルク(ボン近郊)
(2)主催
ドイツ・メキシコ政府(共同議長:レットゲン独環境自然保護核安全大臣,エルビラ墨環境天然資源大臣)
(3)出席者等
参加国:ドイツ・メキシコ及び以下の41の国・地域(うち35カ国から大臣が出席)
アルジェリア,豪州,バングラデシュ,バルバドス,ベルギー,ブラジル,カナダ,中国,コロンビア,コスタリカ,コンゴ(民),デンマーク,エジプト,エチオピア,欧州委員会,フランス,ガーナ,英国,グレナダ,インド,インドネシア,イタリア,日本,モルディブ,マリ,ネパール,ニュージーランド,ノルウェー,パプアニューギニア,ポーランド,ロシア,シンガポール,南アフリカ,韓国,スペイン,スイス,タンザニア,トルコ,アラブ首長国連邦,米国,イエメン
日本からは小沢環境大臣,南川環境省官房長,杉山外務省地球規模課題審議官,有馬経済産業省官房審議官他が出席。
2.議論の概要
(1)会合全般
- 本会合は,COP16(本年11月末~12月,メキシコ・カンクン)に向けた交渉の進展について共通認識を醸成するため,重要論点について閣僚同士での意見交換を行うことを目的に開催された。本会合は,COP15以降,閣僚級で全体的な議論を行う初めての会合となり,友好的な雰囲気の中で率直な意見交換がなされた。
- 今後の交渉に関して,COP15でとりまとめられたコペンハーゲン合意の内容を反映させていくことについて,概ね共通認識が得られた。
- 交渉成果として法的拘束力のある合意を得る必要性について多くの閣僚が言及した。途上国の閣僚からは京都議定書第二約束期間の合意が不可欠との発言がなされた。
- COP16では削減行動等の測定・報告・検証(MRV)や,REDDプラス(途上国の森林減少・劣化による排出量の削減と森林保全),技術,適応,資金の面で交渉を進展させるべきとの発言が多くの閣僚からなされた。
- 今次会合の建設的雰囲気を踏まえ,こうした閣僚級非公式会合を今後も継続する意義があることや,閣僚級での議論を交渉官レベルに反映する必要性について指摘された。
(2)議題別の議論
- (資金)
- コペンハーゲン合意に盛り込まれた早期資金(2010~2012年)について,COP16までに目に見える成果が必要との意見が多くなされた。また,2020年までに毎年1000億ドルとの長期支援の資金源,調達方法や,資金と行動の測定・報告・検証(MRV)の手段などが議論された。
- (技術)
- コペンハーゲン合意に盛り込まれた技術メカニズムの役割や,資金とのリンケージ等について議論された。また,各国が二国間や多国間で取り組んでいる技術協力の取組が紹介された。
- (市場メカニズム)
- 市場メカニズムの役割と活用のあり方につき議論が行われた。セクター別クレジットのような新規のメカニズムにつき,実経験を得るためにパイロットプロジェクトが有用との意見が出された。
- (温室効果ガス削減及びMRV)
- 先進国の削減目標や途上国の削減行動に関するMRVに関し,ガイドラインのあり方等について議論された。また,ドイツと南アが温室効果ガス削減及びMRVに関するイニシアティブを立ち上げることになり,関心国の参加が呼びかけられた。
- (REDDプラス:途上国の森林減少・劣化による排出量の削減と森林保全)
- REDDプラスについてはCOP16で成果を得るべきとの意見が多く出された。フランスとノルウェーが主導しているREDDプラスのイニシアティブが歓迎されると共に,日本が開催を表明した「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」について,COP16に向けた貢献として各国より歓迎された。
- (適応)
- 気候変動への適応措置の枠組みの要素について議論された。特に,適応と緩和のバランス確保や,適応基金の強化などについていくつかの国が言及した。また米国,スペイン,コスタリカが適応に関するイニシアティブを立ち上げることとなった。
(3)日本の貢献
小沢大臣は,全体会合のスピーチにおいて,地球温暖化対策基本法案について紹介するとともに,COP15の教訓を踏まえ議論を効率的,建設的に進める必要があること,コペンハーゲン合意を基に包括的な法的文書を採択することが我々の目標であること,低炭素型の技術,製品の普及による削減効果を正当に評価し,民間投資を促進するメカニズムの検討が必要であることなどを主張した。また,本年10月の生物多様性条約COP10の際に「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」を開催することを表明した。この他「鳩山イニシアティブ」による日本の途上国支援について,複数の国から評価の声や謝意の表明があった。
(4)二国間会談等
小沢大臣は,EU及び中国とのバイ会談やアンブレラグループ会合(日本,米国,豪州,カナダ,ニュージーランド,ロシア)に出席し,COP16に向けた交渉の進め方等につき意見交換を行なった。