9月25日,ニューヨーク(ミレニアムUNプラザホテル)において,メキシコ政府主催気候変動に関する閣僚級会合が開かれ,約60の国と機関が出席,我が国より前原外務大臣が出席(杉山地球規模課題審議官が同席)したところ,その概要は以下のとおり。
- 本件会合は,年末のカンクンにおける気候変動会議に向け,(1)バランスのとれたCOP決定のパッケージに不可欠な事項,及び(2)現時点での交渉の状況から如何にそのパッケージに到達すべきか,を議論することを目的として開かれた。
- 冒頭,議長のエスピノサ墨外務大臣は,カンクンで,気候変動対策のための各国の行動の基礎となる,バランスのとれた一連の決定を採択することが必要不可欠であり,それは実現可能である,しかしそのためにはここ数週間が決定的に重要な時期であるとして,切迫感をもって交渉にあたることを求めた。
- フィゲレス国連気候変動枠組条約事務局長より,交渉の現状の紹介を行った後,参加閣僚・代表がステートメントを行い,(1)カンクンにおいて,緩和,適応,技術,資金,測定・報告及び検証/国際的協議及び分析(MRV/ICA),能力構築,REDD+等につき,バランスのとれた決定に合意する必要性があること,(2)その一方で,法的拘束力を有する国際合意に達するとの最終目標を忘れてはならないこと,(3)このプロセスの信頼性を世の中に示す必要があること,(4)カンクンで成果を上げるのであれば,先進国・途上国を問わず,何らかの柔軟性や妥協が必要であること,(5)カンクンで合意に達することが可能である事項及び,明年のCOP17において合意を目指すべきことを峻別し,効率的に交渉を行う必要性があること,等が複数の閣僚・代表から指摘された。他方,AWG-LCA議長の文書の取り扱いや,京都議定書第二約束期間の是非については,意見が分かれた。
- 前原外務大臣からは,すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みを構築する,新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択が最終目標であり,そのためには,COP16において,コペンハーゲン合意の内容を更に進めた形でのバランスのとれた一連のCOP決定の採択が必要であること,また,京都議定書の第二約束期間の是非といった議論を脱する必要があり,事態の打開を図るために,COP16議長国であるメキシコに強力なイニシアティブを発揮することを求めた。また,交渉を前進させるために短期資金の迅速な実施が重要であるとの立場から,「鳩山イニシアティブ」として表明した150億ドルのうち,すでに約53億ドルの支援を実施していることを紹介。また,10月26日に,名古屋において,REDD+パートナーシップの更なる進展を目的として,閣僚級会合を主催することを紹介した。
- 終わりにエスピノサ外務大臣より,本日示された前向きの政治意志を天津におけるAWG会合においても継続すること,また,そのため,各自が自国の交渉官に対し,本日の会合で示されたようなモメンタムをもって交渉に当たるよう指示することを求めた。