平成19年9月11日
日本政府代表団
要旨:「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する第3回閣僚級対話」は、9月10日から9月11日まで、ベルリン市内にて開催され、我が国より、桜井環境副大臣、小町外務省地球環境問題担当大使、伊藤経済産業省審議官、谷津環境省審議官他が参加。
G8グレンイーグルズ・サミットの結果を踏まえて、主要約20カ国・地域の関係大臣他が一堂に会し、IEA・世界銀行等からの報告を受けつつ、技術の役割、投資を増加させる必要性とその具体的方策、2013年以降の枠組みのあり方等について意見を交わした。本対話は、今後さらに議論が深められ、2008年に我が国で開催されるG8サミットにおいてその成果が報告されることとなっている。
また、桜井環境副大臣は、この機会をとらえ、中国、英国との二国間会談を行った他、多くの参加者と意見交換を行った。
(1)日時:9月10日(月曜日)~9月11日(火曜日)
(2)場所:ベルリン
(3)参加者:G8及び中国、インド、ブラジル、南ア、メキシコ等主要19カ国(及び欧州委員会)のエネルギー・環境担当大臣等、ブルントラント国連事務総長特使(元ノルウェー首相)、ラゴス国連事務総長特使(元チリ大統領)、さらに世界銀行、欧州復興開発銀行、国際エネルギー機関(IEA)、GLOBE国際議員連盟、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、NGO等の代表が参加。我が国からは、桜井環境副大臣、小町外務省地球環境問題担当大使、伊藤経済産業省審議官、谷津環境省審議官他が参加。
(4)会議の目的
グレンイーグルズ・サミットで合意された「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話」の第3回閣僚会合。
本対話では、以下の課題に取り組むこととなっている。
(5)セッション毎の概要
第1セッション:技術 -ポテンシャルの実現
気候変動に対処するためには、技術が鍵となるとの認識が共有されるとともに、技術の開発のためには、各国政府が、明確な政策方針を示すことや、研究開発を推進するなど、大きい役割を果たすべきとの点や、エネルギー効率の向上及び再生可能エネルギーの開発導入の重要性について、意見の一致が見られた。我が国よりは、アジア太平洋パートナーシップ(APP)の意義、IEAへの期待、APEC首脳会合の成果等について発言した。また主として途上国からは、さらなる技術移転を求める意見が出された。IEAからは、エネルギーを利用する各セクターでのエネルギー効率向上や、ライフスタイルの変革の必要性等について提言がなされた。
また、炭素隔離貯留技術(CCS)の重要性を指摘する意見が多く出された。
第2セッション:気候変動関連投資の拡大
気候変動関連投資の拡大に資する方策につき幅広く議論を行った。民間資金が果たす役割が大きいとの点で意見が一致し、その動員のためには、政府による政策的方向性の提示、途上国における投資環境整備などが重要との意見が我が国を含めて出され、炭素市場の有効性を強調する意見があった一方で、政府の役割などその他の様々な手段が重要であるとの意見が多く出された。
世界銀行からは、セクター別の資金手当てを行うためのカーボン・パートナーシップ・ファシリティ(立ち上げ時には5億ドル規模を想定)及び森林(フォレスト)カーボン・パートナーシップの2つの仕組みを検討しているとの紹介があった。
第3セッション:2013年以降の国際的枠組み
先進国と途上国の双方の行動が必要であり、衡平な枠組みが必要であるとの一般的な点で大きな意見の相違はなく、主要な途上国からも、「共通だが差異ある責任」の下でも、持続可能な開発を実現していくために、途上国は排出を管理する責任がある、との意見が見られた。また、多くの国から、米国が主催する主要経済国会合への高い期待が表明された。その他、緩和、適応、技術、資金の4分野がいずれも重要との意見が出され、また、国ごとの異なる状況を踏まえる必要性、森林分野の重要性等についての指摘が複数あった。
さらに、12月のバリにおけるCOPにおいて、将来枠組みの交渉のための新たなプロセスを開始すべきとの意見が強調された。我が国よりは、主要排出国がすべて参加するプロセスの立ち上げの重要性と、そのような新たなプロセスは、将来的には現在別個に行われている将来枠組みに関するAWG(先進国の更なる約束に関するアドホック・ワーキンググループ)等の議論を包含して、一つのトラックとして議論すべき旨等を発言した。
結論セッション:今後へ向けて
桜井環境副大臣から、「美しい星50」の内容に触れつつ、気候変動に関する国際交渉における本対話プロセスの役割と重要性、第4回対話を明年3月に千葉県において開催する旨紹介し、来年のG8議長国としての本プロセスへの期待について発言した。
会合の成果は、主催国(独)の責任の下、議長総括としてとりまとめられる予定。
(1)今回の会合では、主要国のエネルギー閣僚と環境閣僚とが一堂に会し、和やかな雰囲気の中で、非公式かつ自由な意見交換がなされ、共通理解が深められた。
(2)技術面での対応における政府の役割、また、エネルギー効率の向上の具体的方策等に関して、今回行われた上記のような議論は、本件対話の最終的な成果の一つにつながるものと思われる。
(3)投資の拡大のために、市場メカニズム等一つの手段のみでなく、政府の役割など様様な方策が重要という指摘がなされたことは、この対話プロセスに多様な国や関係者が参加していることがよい形で現われたものと言える。
(4)将来枠組みに関しては、南北対立に基づく議論ではなく、途上国の行動の必要性などについて前向きな議論がなされたことに意義があった。また、米国主催の主要経済国会合の第1回会合を約2週間後に控え、同会合への期待が表明されるなど、すべての主要排出国が参加する枠組みに向けての議論がきわめて活発かつ建設的に行われた。
(5)我が国は、来年3月に第4回の本件会合を主催し、G8北海道洞爺湖サミットで報告を受ける立場にあり、この対話が実のある成果を出すべく、我が国として引き続き積極的に貢献していく。