第4回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合(概要と評価)
(10月20~21日、於:三田共用会議所)
平成17年10月25日
1.会合の概要
本件会合は、日本とブラジルの共同議長(西村外務省地球環境問題担当大使・マシャード外務省環境・特別問題局長)の下で、世界の温室効果ガス排出量の約70%を占める主要先進国・開発途上国(19カ国及びEC)の政府高官等の参加を得て行われた。
各国の率直で自由な発言を促すため会合は非公開とし、発言内容は必ずしも公式の見解ではないとの前提で意見交換を行った。
2.議論の概要
(1)京都議定書以降の将来枠組みを如何に進めるか
- 多くの国が温暖化対策への努力を既に行っており、このモメンタムを生かして京都議定書以降(2013年~)の将来枠組みの議論を進めるべきとの意見があった。
- その際、COP(気候変動枠組条約締約国会議)等での議論を中心としつつ、G8プロセスやクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ等の場も活用して議論を進める必要性も指摘された。また、今回会合のような非公式な場での議論も有益であるとされた。
- 将来枠組みに対しては、多様な発想をすべきであるという意見、交渉の場でも実効的な議論をしていくという文化を作っていくべきとの意見が見られた。
- 長期的な目標を立てるためには、国民の理解を得ることが重要であるという意見、また民間セクターや関連諸分野の専門家(開発、防災等)との一層の連携が必要であるとの意見が見られた。
- 技術革新をインセンティブとすること、既存の技術の途上国への移転等による気候変動政策の重要性が指摘された。また、多くの国からCDMの重要性に言及があったと同時に、CDM体制を改善する必要があるとの指摘が多かった。また、科学的知見に基づく気候変動問題の現状と将来予測の重要性が示された。
(2)COP11及びCOP/MOP1に向けて
- 京都議定書の遵守については、必要な措置を速やかにCOP/MOP決定として採択すべきとの意見が多かった。
- また、気候変動に対して脆弱な地域における、適応についての議論も重要であると指摘された。
3.評価
- 京都議定書が2月に発効し、11月~12月に第1回の締約国会合が開かれるというタイミングで、又2013年以降の先進国の削減義務について本年中に議論を開始するとされている年に開催されたために、活発かつ自由な意見交換を通じ、率直な議論が行われた。
- 2013年以降の将来枠組みについて、COP等の場を中心としつつも、多様な場での議論や多様な発想で議論していくべきとの意見が多かったことは、今後の活発な議論の一つの呼び水となるものと期待される。
- 今後、我が国としてもG8プロセス、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ等、多様な場での関与を通じて、全ての国が参加する実効的な将来枠組みの議論に向けて積極的に貢献していくことが重要である。