9月19日,ニューヨーク(国連本部)において,「地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル」第1回会合が開かれ,我が国より鳩山由紀夫前総理が(杉山晋輔地球規模課題審議官がシェルパ)出席された。
冒頭,潘基文国連事務総長より,本パネルの重要性を指摘の上,活発な議論を期待したい旨等述べた。その後,各メンバーから基本的考えを述べた上で,活発な意見交換が行われ,開発と気候変動の関係,討議の方法,関係方面から意見を得る必要性,ステークホルダーとのやりとりを通じ透明性を確保すべきこと,作業部会の設置等につき話し合われた。
鳩山前総理は,日本が,気候変動分野において引き続き主導的役割を果たしていくこと,改めて気候変動に関する強い意識とより切迫感を持って交渉を前進させなければないこと,また,国益を超え地球益のために行動するとの精神に基づき,パネルが,国際交渉をリードするような,気候変動問題解決のための長期的ビジョンを示す必要性を訴えた。メンバーの一部からは,パネルは気候変動の交渉の場ではないとの意見も表明されたが,来年末に報告書が出る時期はCOP17の前であり,気候変動に触れないことはあり得ない,むしろ力強いメッセージを発すべき,と再度発言し,一部メンバーから賛同も表明された。
今後の進め方については,10月にも第1回の補佐(シェルパ)レベルの会合を,また,来年1月にも次回会合を開催し,それまでにも様々な形で意見交換を行っていくこととなった。
【参考】 「地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル」("High-level Panel on Global Sustainability: GSP")
潘基文国連事務総長が気候変動に関して設置した2つのハイレベル・パネルのうちの1つ(注:もう1つの「気候変動資金に関するハイレベル諮問グループ」は既に活動を開始)。
目的は,いかに持続可能な成長と繁栄を実現するのかにつき,それを達成するメカニズムとともに,展望を示すもの。気候変動問題に焦点を当て,経済,社会及び環境の3つの側面から,持続可能な開発への課題の解決方法を検討する(メンバー一覧下記参照)。
「地球の持続性に関するハイレベル・パネル」(GSP) メンバー
- 共同議長
- ハローネン・フィンランド大統領(共同議長)
- ズマ・南アフリカ大統領(共同議長)
- メンバー(アルファベット順)
- ナヒヤーン・アラブ首長国連邦外務大臣
- ズバイル・ナイジェリア大統領補佐官(MDGsアドバイザー)
- ババジャン・トルコ副首相
- バルシリー・リサーチ・イン・モーション社※共同CEO (※ブラックベリーのメーカー)
- ベドリツキー・ロシア気候変動問題大統領特別代表兼世界気象機関(WMO)総裁
- ブルントラント・ノルウェー元首相
- カルミ=レ・スイス外務大臣
- カラビアス・メキシコ元環境大臣
- カールソン・スウェーデン国際開発協力大臣
- ディオゴ・モザンビーク国会議員(元首相)
- ハン・韓国前国務総理(グローバル・グリーン成長研究所(GGGI)理事長)
- 鳩山由紀夫前総理
- ヘデゴー気候行動担当欧州委員
- ルイス・スペインOECD大使(元環境大臣)
- ラメシュ・インド環境・森林大臣
- ライス米国連大使
- ラッド・オーストラリア前首相
- トンプソン・バルバドス首相
- 鄭(てい)国光(こうみつ)中国気象局長