地球環境

アフリカ気候変動対策・支援に関する政策対話 結果概要

平成23年11月2日

  • (写真)アフリカ気候変動対策・支援に関する政策対話-1
  • (写真)アフリカ気候変動対策・支援に関する政策対話-2

 10月31日(月曜日)から11月2日(水曜日)の3日間,東京においてアフリカ15カ国の気候変動交渉関係者及び在京アフリカ大使館を招待して,アフリカでの気候変動分野における支援・協力,今月末に南アにて開催されるCOP17に向けた気候変動交渉について意見交換すると共に,我が国の先端的な環境技術を利用した施設の視察等を行ったところ,概要は以下のとおり。

 本政策対話は,本年がアフリカンCOPであることに鑑み,気候変動に関して幅広い意見交換をアフリカ諸国と行うために実施したもの。関係各省・機関(外務省,国際協力機構(JICA),経済産業省,環境省及び財務省)が各対話のファシリテーターを務め,民間企業や有識者,国際機関の参加を得て,我が国の気候変動問題に対する取組や支援について紹介するとともに,アフリカ諸国との今後の協力のあり方について意見交換を行った。また,外務省がファシリテーターを務め,COP17に向けた気候変動交渉についてもアフリカ諸国と率直な議論を行った。

 アフリカ諸国の参加者からは,本政策対話を通じて,我が国の気候変動対策に対する前向きな姿勢をよく理解することができた旨の評価とともに,内容の濃いプログラムについての謝意が表明された。また,COP17に向けた各国の交渉立場が異なるが,各国が納得のいく形で成果をまとめるべく協力していきたい旨が述べられた。

1.気候変動分野における協力についての意見交換

(1)アフリカ低炭素成長・持続可能な開発戦略

 本セッションでは,本年5月にセネガルにて開催されたTICAD IV閣僚級フォローアップ会合において策定することが合意された「アフリカ低炭素成長・持続可能な開発戦略」について,日本側より本戦略についての日本側の考え方について説明し,参加者との意見交換が行われた。参加者からは,日本側のイニシアティブを評価するとともに戦略に盛り込むべき内容についてコメントが出された。

(2)アフリカにおけるグリーン成長実現に向けて

 本セッションでは,アフリカにおけるグリーン成長実現に向け,アフリカ等脆弱国において実績をおさめている民間企業や有識者の参加を得て,官民それぞれの取組が紹介された。経済産業省から3Lアプローチやアフリカへの官民ミッション派遣,NEDOの実証事業等について説明したあと,汚水を飲料水に変換する技術の実演やソーラーランタンの実機を用いた説明などの民間企業のプレゼンが行われた。参加者は,我が国の創意工夫あふれる取組と優れた技術について具体的な関心が示されるとともに,我が国の気候変動分野における取組への評価が示された。

(3)アフリカのレディネスサポート

  本セッションでは,アフリカに直面している気候変動問題に対処するためにはレディネスサポートが必要である旨の説明が行われた後,我が国として世銀やGEF,アフリカ開発銀行等国際機関と協力してこれまで支援を実施していること,またそのうち良い実施例についての紹介があった。また,カンクン合意で設立が決定した緑の気候基金についての議論の状況について説明が行われ,参加者からは本基金の制度設計に期待する旨の意見が出された。

(4)適応と緩和におけるキャパシティ・ビルディング

 本セッションでは,インベントリ等を通じた我が国のMRVに関する取組が紹介されるとともに,MRVに関するキャパシティ・ビルディングやアジアでのインベントリ策定に向けた協力等の我が国の取組について説明が行われた。また,アジア太平洋諸国における適応枠組みについて紹介し,適応分野におけるネットワーク構築の有用性について説明がなされた。これに対し,参加者からは,アジアでの取組やエネルギー統計等に関する質問が寄せられた。

(5)JICAのアプローチ

 JICAから,TICADの概要及びこれまでのTICADプロセスを通じた取組全般について説明するとともに,気候変動分野について具体的な支援実績を示しつつアフリカでの協力について紹介された。また,低炭素成長及び気候変動に強靱な開発に向けたJICAのアプローチについて紹介するとともに,MRVについて,Climate Finance Impact Tool(Climate-FIT)に触れつつ,緩和及び適応についての評価を行う取組についての説明を行った。その後,アフリカのオーナーシップやキャパシティ・ビルディングの重要性等について意見交換が行われた。

2.COP17に向けた気候変動交渉についての意見交換

 COP17のありうべき成果,現在の気候変動にかかる国際枠組みの問題点,将来の枠組みに向けた道筋等について,議論が行われた。我が国の基本的な立場,主要国が参加する新たな枠組みを構築する必要性などについて説明を行った後,参加者からの意見や質問に答える形で議論が行われた。会合の最後に,アフリカ側より,非常に率直な議論を通じて,日本の立場をよく理解することができた,今次招待とこれまでの日本の協力に感謝すると述べるところがあった。

3.環境関連施設の視察

 我が国の先端的な環境技術を活用した,太陽光発電施設,高効率の石炭火力発電施設及び廃棄物処理施設の視察を行った。参加者からは,日本の気候変動対策に関する具体的な取組について間近でみることができ本視察は有用である旨の発言があった。

  • (写真)アフリカ気候変動対策・支援に関する政策対話-3
  • (写真)アフリカ気候変動対策・支援に関する政策対話-4
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